【日記】『痛感した経験不足』~東京V戦にて~
2023年6月11日、シティライトスタジアムの殺伐とした空気が流れた。なぜなら、J2第20節ファジアーノ岡山VS東京ヴェルディの試合を担当した主審の判定が不安定だったから。試合序盤から岡山陣営は不満を募らせ、いつもは穏やかなCスタのスタンドから何度もブーイングが巻き起こった。今まで感じたことのない異様な空気に、僕の感情も今までにないほど揺さぶられていた。
審判の不安定な判定が気になって仕方がない。一つひとつの判定に疑問を抱き、ファジアーノのファウルを示す笛が鳴る度に不満も溜まった。判定によって荒れた試合を始めて経験して、僕はあまりにも未熟なことを痛感させられた。
アディショナルタイムに失点して敗れる衝撃的な結末になったことも相まって、気持ちの整理がつかないまま取材に移り、選手インタビューでは怒りの感情が生み出す勢いや凄みに圧倒された。僕は何を聞くべきなのか全く分からなかった。
そして、試合後の作業を全て終え、寺田弘幸(エルゴラッソの広島・岡山担当記者)さんから今回の判定に対する解釈の仕方、メディアの人間としての心構えを教えてもらい、僕の中に判定に対する軸がなかったことに気づかされた。
審判もミスをするし、判定は審判の主観に委ねられる部分が多くある。それがサッカーだということを、僕は分かっているつもりで分かっていなかったんだと思う。
上手な判定と下手な判定。正当な判定と誤った判定。この2つは区別しないといけないことと、下手な判定にイラついても仕方ないことを寺田さんに教えてもらい、すごく納得して帰路に就いた。
13日の練習取材の帰り道に、あるサポーターさんに「ああいうコメントが知りたかったんだよね」と声を掛けていただいた。そう言ってもらったけど、意図的に引き出せたと言えるものではない。自分の中に判定に対する軸があれば、感情的になる選手を前にしても冷静に質問することができたはずだ。
取材する立場になって1年が経った。経験不足は仕方ないのかもしれないけど、時間が解決してくれるのを待ってはいられない。リーグ戦の日程によって試合取材をできる回数は決まっていて、記者席で積むことのできる経験には限りがあっても、サッカーの試合を見る回数は自分次第で増やすことができる。今の僕に大事なことは、経験不足を受け入れることではなく1試合でも多く試合を観に行くことだ。
現場でその空気を肌で感じないと、分からないことがたくさんある。そんな当たり前のことを僕は改めて思い知った。実際、DAZNで試合を振り返ると東京V戦の印象は大きく違うもので、あのCスタの異様な空気はスタジアムにいたからこそ感じられたのだった。
今の僕に必要なことは1試合でも多くスタジアムに行って感じること。そして、感じたことを言語化すること。その後に冷静にVTRで試合を振り返って、その違いを自分の中に落とし込んでいくことなんだと思う。
僕はもっともっとサッカーに向き合える。経験を得るために僕は行動する。
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