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観光産業について

皆さんこんにちは。今回は観光産業の経済政策について解説していきたいと思います。

観光産業の重要性

日本は近年、人口減少(労働者•消費者)が減少しており、労働生産や消費量が上がりづらい経済状況に陥っています。特に地方では、過疎化が進んでおり、地方産業や地方労働者が都市部に集中してしまい、地方経済•地方財政が衰退しています。そこで重要なのは、短期移民(外国人観光客)です。国内または地方の自然、食事、歴史文化を観光資源として使い、地方に外国人観光客からお金を落とさせ、その観光ビジネスからくる経済波及効果で雇用や生産を生み出し、国全体の経済•産業を支えることです。つまり、日本は観光立国を目指すことが大切です。

観光立国とは

観光立国とは、その国の史跡、伝統•現代文化、自然環境、食事、博物館、美術館、都市景観、スポーツ文化などの観光資源を整備して、観光ビジネスによって得られる利益を国全体の経済を支える基盤にすることです。ただ、観光立国の明確な定義はないのです。しかし、国際観光における指数から、観光立国として最低限の基準を満たさないといけません。

観光産業として大切なこと

観光立国を目指すものとして、必ず「文化、食、自然、気候」などの4つの条件です。これらの資源を上手く活用しなければなりません。また、観光には様々な種類があります。団体ツアー、富裕層向けのリゾート、個人向け観光、自然観光、歴史•史跡観光や、危険な場所で旅行する戦場観光やスラム観光、肝試し観光などの多種多様な観光があります。複数の観光サービスを提供できる国こそが、観光立国または観光大国になりえるのです。世界一の観光立国であるフランスを見れば分かりますが、史跡•文化財巡りや、フランス料理やワイン畑を楽しめる観光、リゾート旅行などの、1つの国で多種多様な観光が楽しめます。もちろん、1つだけの分野で観光政策はできますが、しかし、1つだけの観光サービスなので、外国人観光客は限られます。これでは観光立国として成り立ちができません。観光立国を目指すなら、その他の観光サービスも整備しなければなりません。

日本は観光立国になりやすい 

実は日本は、先程述べた「文化、食、自然、気候」という4つの条件を全て保有する世界でも希少な国の一つで、観光立国になりやすいのです。
例えば気候については、日本には四季があります。しかし、極端な温度の差が激しい地域はありません。また、北海道や地方の山奥でスキーや、沖縄でビーチリゾートといったように、地域ごとにその気候の特徴を活かした観光が楽しめます。
自然においても、富士山や琵琶湖、白神山地、屋久島といった他国にはないような湖や山林などが存在しています。
文化は姫路城や江戸城、法隆寺、平城京などの史跡や、茶道や書道といった伝統文化や、アニメや漫画などの現代文化など、幅広い文化があります。
食事に関しては寿司やうどん、地域ごとの郷土料理といった多種多様な食文化があります。
このように、日本は観光立国となるための4つ条件を多く全て保有しています。非常に恵まれています。

世界と日本の観光産業の現状

次に世界と日本の観光産業の現状について解説します。世界と日本の観光産業は年々と成長し続ける魅力的な産業です。世界旅行ツーリズム協議会によれば、観光産業は世界のGDPの10%となっており、雇用や他の産業に新たな需要を生んでいます。また、観光産業は外貨を稼ぐ産業ですので、輸出産業の一部とされています。国連世界観光機関によれば、観光輸出は1兆7000億米ドルとなり、平均すると毎日47億米ドルが海外旅行で支出されています。国際観光客数は2018年時点で14億に達し、コロナ期間を除いて、ずっと右肩上がりです。
日本においても、2019年は外国人観光客数は約3130万人、旅行消費額は約29兆円、雇用誘発効果は約456万人、生産波及効果は約55.8兆円、訪日外国人旅行消費額の製品別輸出額は約4.8兆円であり、自動車や化学製品に次ぐ輸出額になっており、日本経済に大きな影響を与えています。しかし、それでも課題点があり、日本は観光立国としては言えないでしょう。

かつて、観光産業は発展途上国が行う産業とされていましたが、それは昔の話で、2019年時点で約163兆円儲かっています。また、先進国は高度な投資ができるため、質の良い観光サービスを提供ができ、観光収入を大きく上げることができます。そのため、観光産業の収入は先進国中心となっており、先進国には必要な産業となっています。世界経済において観光産業はエネルギー、科学製品に次ぐ第3の基幹産業という位置づけになっています。

国連世界観光機関による観光輸出収入グラフ

日本の課題点•必要的

日本は過去に比べ、観光産業が順調に成長しており、これからも期待はできます。しかし、先ほど説明しましたが、日本は観光立国または観光大国として、まだまだ成り立っていないのが現状です。

まず1つ目は、文化を活用して稼ごうとする意識がないことです。日本には様々な史跡や文化財やが数多く存在しております。特に、奈良や京都では贅沢なほど文化財や史跡があり、保存状態も良くて、とても充実しています。京都や奈良は世界中から観光客が訪れる文化財都市であり、世界的に恵まれた都市です。しかし、ユーロモニターインターナショナルによれば、2019年の外国人訪問者数世界都市ランキングでの、日本の都市の順位は東京-17位、大阪-28位、京都-67位、福岡-93位、奈良-不明となっていました。東京や大阪さえもこの低い順位です。京都に関しては多くの文化財が恵まれているのに、67位という酷い順位です。以前よりは順位は上がっていますが、まだまだ酷い状況です。魅力的な世界都市ランキングでは東京-1位、京都-2位でした。評価は良い評判を受けました。しかし、先ほど紹介しましたが、実績的なランキングは低い状態です。これを打開するためには「稼ぐ力」を高めないといけません。打開策としては料金の引き上げや、有料エリア拡大です。京都や奈良の文化財の入場料はとにかく安すぎることが問題です。これは京都や奈良だけではなく、日本全体もこの状態です。

例(一般料)
•京都
二条城-1300円
東寺-1000円
金閣寺-500円
清水寺-400円
伏見稲荷大社-無料
•奈良
東大寺-600円
法隆寺-1500円
平城京-無料
大和郡山城-無料
•その他の都市
姫路城-1000円
大坂城-600円
兼六園-320円
鎌倉大仏-200円

ちなみに、海外の平均料金は1891円(2015年)で、日本の平均料金は593円(2015年)で海外と比べて、文化財の料金代が安すぎます。これでは、地方にお金は増えません。もっと料金を上げたり有料エリアを拡大して、外国人観光客から沢山お金を落とすべきです。
しかし、ある一部の人から「日本文化を売り物をするな」とか「日本文化を良さを分かってくれる人だけが来るべき」などの反論意見があります。私はこの主張に関しては、あまりにも感情論的でプラスにならない思考です。文化を活用して儲けるのは世界の常識ですし、文化財を維持するためのお金を調達しなければなりません。そのためにも、文化でお金儲けが必要です。文化財は観光資源として利用し、文化財で稼いだ利益を修理や整備、警備に回し、文化の保護や質を向上させ、外国人観光客にアピールし、更に文化財にお金を落とす。そうすれば、京都や奈良などの地方都市が成長し、文化も更に発展するでしょう。「日本文化を売り物にするな」や「日本文化を良さを分かってくれる人だけが来るべき」などの感情論は、いずれ日本文化を維持する体力を失わさせて、文化の衰退を招きます。自然や食文化も同じです。それと同時に地方の魅力が失われ、経済的にも衰退します。非常に危険な発想です。
話を戻しますが、各地域の歴史文化•食文化•自然ブランドを外国人観光客に提供することが、地方経済の成長へと繋げていきます。

2つ目は、ホテルや宿泊施設の整備です。ホテルは観光客にとって重要な拠点です。ホテルにも、文化、食、自然、気候と同じように様々な多様性が必要です。それと、旅行支出の中で宿泊施設の割合は高く、約30%も占めています(2019年時点)。特に高級ホテルは大きな利益に繋がります。高級ホテルは一般ホテルと違って、豪華な施設のサービスを提供しているため、高価格設定になる傾向があります。また、高級ホテルは消費支出額が高い富裕層観光客が利用しているため、一般ホテルより観光収入が多くなります。

観光庁の2017年の富裕旅行市場調査によりますと、欧米豪5市場(米•英•仏•独•豪)における富裕層旅行者数は、全海外旅行数の1%に過ぎませんが、消費額は海外旅行消費額の13.1%を占めし、観光収入に大きな影響を与えています。日本政府は、訪日外国人旅行消費額を2030年までに、15兆円の消費金額を目標にしていますが、達成する手段として富裕層誘致は必要不可欠です。

海外の富裕層を日本に来てもらうには、富裕層に合う宿泊施設のサービス提供が必要です。そうしなければ、日本に富裕層は来てもらいません。仮に富裕層が日本に来ても、ホテルに多様性がなく、安いホテルばかりだと、落としてくれる金額が限られ、結果的に観光収入は伸びません。観光庁によれば、2019年の一般客一人当たり旅行支出は15.9万円で、日本政府は2030年までに25万円まで引き上げる目標がありますが、日本の宿泊施設の現状だと達成は難しいでしょう。

日本のホテルに足りないのは高価格•豪華サービス提供の「五つ星ホテル」の少なさです。観光庁によれば、2020年6月の日本の五つ星ホテルの数は34軒しかありません。しかし、アメリカでは、五つ星ホテルの数が801軒もあります。そのお陰で、2019年のアメリカの観光収入は断トツで世界一で、米国が1,933億ドルもの収入を稼いでいます。アメリカは国際観光客数で見ると世界一のフランスに及ばす、第2位の位置にいますが、国際観光収入ではフランスは第2位で、世界一であるアメリカより観光収入は少ないのです。また、アメリカは2018年時点で、外国人観光客1人あたり観光収入(ドル)では、下のデータの中で最もお金を落としています。

観光庁-国別「五つ星ホテル」の現状より

何故、アメリカは外国人観光客を上手く消費させているのでしょうか。まず、観光大国を成立させるには、外国人観光客を増やすことも大事ですが、一人あたりの旅行消費額を最大に伸ばし、観光産業を成長させ、国内のお金の量や流通力を加速させることです。アメリカはそれを上手く発揮しています。その要因は富裕層の向けの宿泊施設である、「五つ星ホテル」が大きな影響を与えています。先程の”国別「五つ星ホテル」の状況”のデータを見ればわかりますが、高級ホテル数の高い水準のお陰で、宿泊施設へ多額の消費がされ、一人あたりの観光収入が多くなり、アメリカの観光産業を支えています。一方日本では、五つ星ホテルが少ない原因で、一人あたりの観光収入は少ないです。同じアジア諸国であるタイでは、五つ星ホテル数は112軒であり、そのお陰で一人あたりの観光収入は、日本よりも多く収入を上げています。
日本は高級ホテルに投資させる必要性があります。高級リゾートホテルや温泉旅館を整備し、五つ星ホテルを増やし、外国人からお金をたくさん落とさせることが大切です。これを実現しなければ、"15兆円"という目標は不可能でしょう。

3つ目は、観光客への無駄なアピールです。我々日本人の観光アピールの認識は、各地域のゆるキャラを作ったり、マンホールや自動販売機にデザインを製作したり、交通•治安の良さをアピールしたり、最近では、Vtuberを利用して観光紹介したりするのが、町おこしや観光アピールになると考えています。この認識は凄く楽観的で、観光動機には繋がりません。
世界にも「ゆるキャラ」は存在していますが、それはお子ちゃま専用であって、日本のような、子供から大人までもが人気なのが、外国人には理解ができませんし、観光動機にもなりません。マンホールや自動販売機のデザイン性も同じで、外国人にとっては珍しいものかもしれませんが、それは観光の途中で見つけた小さな楽しみにすぎないのです。わざわざそれを見に行くために日本へ行きません。もちろん、都市や歴史文化の景観を整備する手段としては有効です。しかし、先程説明したように観光動機には繋がらないのです。行く人がいるとしても、一部のオタクだけです。大事なのは、先に観光整備をした後に、”飾り付け”としてマンホールや自動販売機にデザインを製作するのが良いと思います。

Vtuberに関しても、各自治体がVtuberを使って観光地をアピールを行う事業を始めました。これは革新的なのは確かなのですが、しかしVtuberは市場自体が小さく、好き嫌いが分かれている。それに外国は日本みたいにVtuberは普及していないため、Vtuberが観光地をアピールしても、実際にアピール動画をみて観光しに行く人は国内外含めてVtuberが好きな一部のオタクだけであり、大した観光収入にはなりません。これはアニメ漫画も同じことが言えます。アニメ漫画は文化の一部なんですが、Vtuberも同じようにアニメ漫画目的で日本に来る外国人観光客は限られます。アニメ•漫画•Vtuberをアピールをするならば、それと同時に同じ文化派閥である伝統文化や史跡、伝統芸能も整備しなければなりません。一つだけの分野を整備しても収入は限られているため、一つだけではなく様々な多種多様な文化を外国人観光客に提供しなければなりません。Vtuberの話を戻しますが、Vtuberで観光地を宣言するサービスは最近できたものなので、注目する価値は多少あると思います。

次は交通•治安のアピールについてです。
日本は世界的にトップレベル治安や交通アクセスは良いのは事実です。日本人がこれを誇らしげにアピールするのは当然です。しかし、それは日本へ観光しに行く動機にはならないのです。治安や交通が良ければ、外国人が安全に不安もなく観光が楽しめることができます。ただ、それは観光産業の発展には繋がりません。わざわざ治安や交通が良いていう理由だけで、15万円以上も費やして観光しにいくことはありません。治安や交通は観光の安全性としては重要ではあるが、観光動機に関しては全く効果はありません。観光客が求めるのは「文化•食•自然•気候」であるので、この4つの条件を外国人観光客に向けて宣伝や整備をしなければなりません。日本人は観光認識を改めないといけません。

日本の「おもてなし」について

日本は「おもてなし」という文化があります。日本人にとっては誇らしい文化です。しかし、外国人にとっては、おもてなしはあまり良い影響はないと言われています。まず、おもてなしは”無償で提供し客と接する文化”で、供給側が、場や時の状況から客の要望を推測し、自主的にさりげなく行うことが特徴です。このように無償で対価以上のサービスを行い、客をこのおもてなしという無償で”接する文化”が、外国人にはあまり気に入れていないのです。

では、最初に「おもてなし」は観光動機になるのかを考えてみましょう。まず、先程も説明したように、外国人観光客は「文化•食•自然•気候」を求めて観光しにいきます。外国人観光客は高い出費と長い時間を使って日本にやってきます。もし、日本に四つの条件はないけど、国民全員がおもてなしをやってくれるだとしても、外国人観光客はわざわざ「おもてなし」の為に高いお金を使ってまで、日本にやってきません。観光立国の条件に「おもてなし」は必要性はあまりありません。海外を見ればわかりますが、"接する文化”が発達していない国でも、観光大国に成り立っている国はあります。「おもてなし」はあくまで、"観光の途中で体感した楽しみ"で、観光に行く動機にはなりません。

人々の意思は外国人日本人関係なく、当然違っています。日本のおもてなしは供給側の都合を押し付けて、客の意思と違った提供し、客に無理矢理不必要なサービスを提供していることが起きています。これは日本の悪いクセだと思います。例を表しますと、外国人観光客が箸が使われないのに、無理矢理箸を使わされたり、またはその逆の、箸を使うことはできるのに、外国人という理由で、スプーンやフォークを無理矢理勧められたりします。外国人観光客が”It's okay.”と言っても、供給側は「遠慮せずにどうぞお使い下さい。」と一歩も引かず、強く勧めてきます。外国人観光客の中には、箸は使われないけど箸を使って食事してみたいていう客もいるかもしれません。このように、日本のおもてなしは客の意思を無理矢理消し、供給側の都合で不必要な過剰なサービスを提供するクセがあるので、供給側はおもてなしについて見直しすべきです。供給側がおもてなしを行ったと思っていても、客側が迷惑なサービスだと思っているかも知れません。

たまに「郷に入っては郷に従え」と言う人がいます。しかし、「郷に従え」を強く強要してくる国や店は、外国人観光客にとって我慢してまで居座るメリットがないので、郷に入らなくなります。もちろん、地元の人々に迷惑をかけない程度だったら「郷に従う」必要はあるかもしれません。しかし、客の意思や価値観を否定して、強要するのは客をもてなす側にとっては、あまり良くありません。外国人観光客は日本にお金を落としにやってくる大事な客です。客の意思を否定すれば、外国人観光客はお金を落としに来れなくなります。

別に私は「おもてなし」の文化を否定しているわけではありませんし、海外のおもてなしの方が優れているとも思っていません。日本のおもてなし文化は日本の長い歴史によって生まれた大切な伝統文化だと思っています。これまでの「おもてなし」は日本人同士なら問題ありません。しかし、観光大国を目指す話しなら違う話になります。

日本が「観光立国」になるためには、様々な財やサービスを生産や整備し、外国人観光客からたくさんお金を落としてもらう目標を目指さないといけません。先程も言いましたが、外国人観光客はわざわざ「おもてなし」という無償サービスのために、高い出費をかけて日本に来ていません。外国人観光客は求めているのは、お金を払った分の様々な充実した観光サービスです。日本にある観光資源を最大限に活用し、外国人観光客が求めているものを与えて、満足をさせるべきです。払った分のサービスをしっかり与えるのが、外国人観光客にとっては「おもてなし」だと思います。日本は精神論をやめて、”お金をたくさん落としてもらい、その分の高品質なサービスを与える”という認識に改めるべきです。この方が外国人観光客による需要性を理解することができ、外国人観光客に適切なサービスを与えることができます。外国人観光客は更に日本に対して興味を抱くことになるでしょう。

日本は成長する見込みがある

最後になりますが、日本人は観光に関して認識や現状を見直さないといけません。日本には豊富な観光資源があり、観光大国•観光立国として成長する要素があります。上手くいけば、世界一の観光大国になることは充分可能です。観光業を上手く発達させれば、そこからくる大きな経済波及効果が生まれ、日本経済は成長するでしょう。また、同時に文化や自然環境が維持され、日本文化や自然環境が更に発展することができます。私はそうなるように願っています。

以上。


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