マガジンのカバー画像

読書暮らし

94
本を読んで、暮らしています📚
運営しているクリエイター

#読書

心地よい言葉探し

心地よい言葉探し

このごろ「言葉」についてよく考えるようになりました。

文章を書くお仕事をさせてもらっているので、もちろん「伝える」とか「読んでもらう」ための工夫はしているつもりだけれど、それは自分が純粋に心地よいと感じるものとはやっぱり少しだけ違うように思うのです。

お仕事で書く文章はわたしのものであって、わたしのものではないので、そんなの当たり前かもしれないけど、じゃあわたしが自分のために文章を書くときに大

もっとみる

とある本読みのいちにち

何をやり通すとか、貫くことがとことん苦手なのでルーティンなんて夢のまた夢の言葉だったのだけど、このごろ少しできてきました。

…ので、忘れないようにの備忘録。

なんだかんだと毎日PCを開く日々が続いているのですが、あんまりそういうのはすきじゃないなあとどこかできゅっと頑張って、週のうちでいちにちは画面に向き合わない日を作るようにしています。

その結果生まれるいちにちは、前日からわくわくを仕込み

もっとみる
「未来は過去を救う」という言葉について

「未来は過去を救う」という言葉について

少し前に読んだ本に「未来は過去を変えることがある。未来が過去を救うことだってあるんだ」と書いてあった。

これを読んだとき、ああそういう表現でこの感覚が言葉にできるんだ、とすとんと落ちる感覚があった。

そのときに考えていたのは羽海野チカさんの『3月のライオン』のこと。

いじめに遭ったひなちゃんという女の子が「わたしは悪くないから絶対に負けない」と主人公の零くんに宣言したシーン。零くんも子どもの

もっとみる
本の世界で過ごした年月

本の世界で過ごした年月

読書が趣味だということを小さい頃から自覚してきたし、多分この先もずっと変わらない気がするけど「なんで?」と言われたらなんでだろう、と思っていた。

思って、考えだしてみるといくつか思い当たるうちのなかでやっぱりいちばん大きな理由は「違う世界をのぞけること」だと思う。

片手で持てるくらいのささやかなモノのなかで、想像することすらできないような世界が広がっている。

それはたったの何時間かの世界を切

もっとみる
「やらないではいられないこと」ってなに?『ムーミン谷の11月』

「やらないではいられないこと」ってなに?『ムーミン谷の11月』

ムーミンシリーズのこと、実はずっとずっと気になってました。

去年の夏、初めてムーミンを読んでからいつかシリーズ通して読んでみたい。ムーミンのことをもっと知りたいって考えていて。

よしゃ読むぞ!と決めてから、どうせならとお友達を誘ってムーミンバレーパークにも足を運びました。

これが最高に楽しかったです…!物語のシーンがあちらこちらで再現されていてここかああああと興奮しました。

何よりよかった

もっとみる
英雄じゃない主人公。『ローワンの魔法の地図』

英雄じゃない主人公。『ローワンの魔法の地図』

今年はもっと意思をもって本が読みたいなと、毎月課題図書を設定することにしていました。

読む本のテーマは「名作児童文学」。

すきだすきだといいながら、もしかしたら忘れてしまっているものもたくさんあるんじゃない?と、思ったから。

一月のはじめに毎月のなんの本を読むかを決めたから、それをひと月でシリーズを読み通す。可能であれば作者のことも調べる。たったの12回ではなんにも変わらないかもしれないけど

もっとみる
3月に読みたい、わたしの本棚

3月に読みたい、わたしの本棚

3月に入るとすぐに桃の節句がきて、そしたら寒い日と暖かい日が交互にやってきて、ああもうすぐ春が来るんだなあと少しずつ心がうきうきするのを感じています。

このごろはおうちで働く人や、おでかけを控えようだなんてお話もたくさん聞くけれど、わたし自身はあまり変わりなく、ぼやりぼやりと毎日を生きています。

今日は春先に読みたい本を思い出してみることにしました。

◆『アラビアの夜の種族』古川日出男間違い

もっとみる
わたしが2月に読むのなら

わたしが2月に読むのなら

1日に書きたいな〜と思っていたのに気がついたら節分も、そして立春も終わろうとしている…!

(なんなら1月から書きたかったのです、月日が経つのってほんとうに早い)

読みたい本がとにかくたくさんあるわたしは、目につくものをひたすらに読み尽くす日々を送っています。

だけど、季節だったり時期を大切にして味わうように読んだら、もっと一冊一冊が大切な思い出になるんじゃないかしら、と年末にふと思いました。

もっとみる
今はただ「過去は変えられる」のだと思いたい。/『マチネの終わりに』

今はただ「過去は変えられる」のだと思いたい。/『マチネの終わりに』

基本的にあまり恋愛小説を読まない。

嫌いなわけではないのだけど、ファンタジーや推理小説、青春ものと違って、恋愛というジャンルはあまりにも身近なものすぎるのだ。

わたしは本を読むときは徹底的な”物語性”を求めているのだと思う。

そうなると自分に置き換えられすぎてしまうと苦しい。特に「泣ける」「切ない」だなんて恋愛ものは避けて通ってきた自信がある。

だから『マチネの終わりに』を読んだのも、本当

もっとみる
2019年のわたしと読書

2019年のわたしと読書

何かあるたびに手帳やノートに振り返ったり、野望?を書き出すわたしにとっても、1年間の総括はやっぱりちょっとだけ特別です。

お仕事についても、そうじゃなくても、いろいろと変化の多い一年でした。

総評としては「まあまあ面白かったな」と言えるのだけど、だいすきな読書については来年に向けて課題がいくつかあるので振り返りも兼ねて書き出してみようと思います。

エッセイを読むようになった昔から物語を読むこ

もっとみる
記憶を繋いでくれる出合い

記憶を繋いでくれる出合い

少し前まで読んだ本のことをたくさんnoteに書いていた。

わたしの頭の中はけっこうなポンコツで、楽しかったことも、悲しかったことも、怒ったこともすぐに忘れてしまう。

国内も海外も随分旅をしたけれど、それだって今となってはどれもが遠くて、特別印象的だったことはかろうじて覚えているものの、それがどこの場所でどんな風に起きたのかきちんと覚えているものはほとんどない。

忘れっぽいから旅に出るのだろう

もっとみる
夜の美術館の過ごし方/『クローディアの秘密』

夜の美術館の過ごし方/『クローディアの秘密』

遊園地が楽しいのも、映画館にわくわくするのも、デパートのそわそわするのも「非現実」を味わうことができるからだと思う。

そういう場所にいるとき、わたしはほんの少しだけ背伸びをする。背が低い方ではないけど、そのほうがより多くのわくわくを見逃さないような気がするからだ。

非現実な場所には終わりの時間がある。

閉園時間があるし、上映時間は決まってるし、夜になったら閉店する。

それは当たり前のことだ

もっとみる
「思い込み」の力ってすごい/オズの魔法使い

「思い込み」の力ってすごい/オズの魔法使い

『オズの魔法使い』(ライマン・フランク・ボーム:新潮文庫)は、1900年、100年以上前に生まれた物語だ。

そう思うとかなり昔の作品のような気もするけど、そういう意味での古臭さは全くない。

ただ、なんとなく知った気でいたこの物語だけど、ドロシーたちの願いを叶えてもらうまでこんなに時間がかかっていたのか…というのが、読み終わったあとに抱いた感想かもしれない。

【あらすじ】ある日突然、大きな

もっとみる
ゲームの世界ってとんでもなく理不尽だ/選ばなかった冒険

ゲームの世界ってとんでもなく理不尽だ/選ばなかった冒険

人としての役割は一体どこでつけられてしまうんだろう。
わたしと君の違いはなんだろう。

与えられた役割を全うする。
それでいいのかな。

本当にいいのかな。

***

読み終わった直後から、や、途中から悶々としてくる。

ゲームの世界に飛び込んでしまって、その中で過ごすことになる主人公。

今回読んだ「選ばなかった冒険-光の石の伝説-』(岡田淳:偕成社文庫)の本当に簡単なあらすじはこうだ。

もっとみる