テキサスタイプライター

ゲームやアニメの感想。マガジンを整理しました。

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記事一覧

「Life is A Will」ストーリー感想──価値・輪郭・名前

 ちとせと千夜の供給が急激に増えて嬉しい悲鳴をあげているところですが、ひとまず「Life is A Will」が非常に良かったので安心しています。  デレステのストーリーコミ…

『Fantasia for the Girls』イベ感想──必ず終わりが来るものについて

 ここまでやるのか。  FftGのイベコミュは素晴らしかった。感心もしたし、驚きもした。これほどストレートでセンシティブなテーマに踏み込んでくるというのはなかなかで…

ブルアカの元ネタの小説をひたすら読む

 「ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る②」を投稿してから半年が経過しましたが、今回はタイトルの通り、ブルアカの元ネタの小説をひたすら読んでいきたいと思います。…

第六の古則「非有の真実は真実であるか」について

 満を持して語られた第六の古則。その文言は今までの古則の中でももっともシンプルだったが、それだけに非常に意味が取りづらくもあった。しかも、これまではセイアとか連…

ブルアカ『対策委員会』3章感想──小鳥遊ホシノの長いお別れ

 ブルーアーカイブのメインストーリーアビドス対策委員会編第3章(夢が残した足跡)の感想です。全面的にネタバレを含みます。  素晴らしかった。序盤は債権者組合の仕…

ブルアカ『-ive aLIVE!』感想──放課後スイーツ部の距離感

 ブルーアーカイブのイベント「-ive aLIVE!」の感想です。同イベントの他に、イベント「甘い秘密と銃撃戦」や関係人物の絆ストーリー等の内容に触れています。  ふだん…

『伝道の書に捧げる薔薇』はアリウススクワッドの元ネタなのか?

 ブルーアーカイブに登場するアリウススクワッド(およびアリウス分校)のモチーフ(元ネタ)のひとつはロジャー・ゼラズニイのSF小説「伝道の書に捧げる薔薇」なのではな…

ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る②

 前回の記事から3ヶ月近く空いてしまったが、けっしてやる気がなくなったわけではないということは強く主張しておきたい。いろいろあって映画どころではなかったんです。…

ドルフロ『慢性虚脱』感想──創造力とは何か

 ドールズフロントラインの大型イベントシナリオ『慢性虚脱』の感想です。  ネタバレを含みます。  やたら長い回想パート、しかも記憶が改竄されているからどこまでほ…

ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る①

 ブルーアーカイブに出てくる映画ネタの元ネタをひたすら見ていきます。ただ映画を見て感想を書くだけなので、8割くらいはブルアカとなんの関係もない話をしています。(…

ブルアカ『百花繚乱編』1章感想──物語る行為の裏と表

 ブルーアーカイブのメインストーリー百花繚乱編第1章(いつかの芽吹きを待ち侘びて)の感想です。あまり整理できていないので取り留めない感じになっています。  ネタ…

ドルフロ『縦軸歪曲』感想──名付けという”ごっこ遊び”

 ドールズフロントラインの大型イベント『縦軸歪曲』のネタバレを含む感想です。  指揮官とグリフィンはほぼ登場せず、ほとんどの登場人物が初登場という異色のイベント…

アニメ『アイドルマスターシンデレラガールズU149』感想──原作の新たな切り口

 U149のアニメはとにかく手が込んでいた。リッチな画面づくりと大量の新曲など、原作からのファンたちの期待に十分応えてくれる質量だった。12話まで駆け抜けた今は感無量…

ドルフロ『静止点』感想──いちおう一区切り?

 ドールズフロントラインの大型イベントシナリオ『静止点』の感想です。  ネタバレを含みます。  どこへともなく姿を消したパラデウスを追って、指揮官とシュタージは…

ブルアカ『カルバノグの兎』2章感想──「何でもしますから」

 ネタバレあり(エデン条約1~4・最終編・カルバノグ1~2)  RABBIT小隊が変わっちまった憧れの先輩たちに戸惑いつつも、やっぱ違うだろ!とNOを突きつける展開はシンプル…

ROAD TO THE TOP感想と2000年問題

 ウマ娘RTTT、良かったですね。1999年クラシック戦線のみに焦点を絞って全4話web配信という独自スタイルで全力を傾注してくる感じがほんとうに良かった。現実の皐月賞当日…

「Life is A Will」ストーリー感想──価値・輪郭・名前

「Life is A Will」ストーリー感想──価値・輪郭・名前

 ちとせと千夜の供給が急激に増えて嬉しい悲鳴をあげているところですが、ひとまず「Life is A Will」が非常に良かったので安心しています。

 デレステのストーリーコミュ第79話の感想です。
 ネタバレを含みます

 このコミュについて語りたいことはたくさんある。千夜の過去が明確に説明されたこともそうだし、幼いころのちとせと千夜の姿が描かれたことや、千夜の長年のわだかまりが解消に向けて前進

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『Fantasia for the Girls』イベ感想──必ず終わりが来るものについて

『Fantasia for the Girls』イベ感想──必ず終わりが来るものについて

 ここまでやるのか。

 FftGのイベコミュは素晴らしかった。感心もしたし、驚きもした。これほどストレートでセンシティブなテーマに踏み込んでくるというのはなかなかできないことだし、それだけのことをやる意味があった。
 FftGは、「必ず終わるとわかっている世界をどうやって生きていくか」という話だ。それはゲームの供給の話でもあるし、フィクションの限界の話でもあるし、わたしたちの人生の話でもある。

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ブルアカの元ネタの小説をひたすら読む

ブルアカの元ネタの小説をひたすら読む

 「ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る②」を投稿してから半年が経過しましたが、今回はタイトルの通り、ブルアカの元ネタの小説をひたすら読んでいきたいと思います。更新が遅れたのは古畑任三郎を見るのに忙しかったからです。あとなぜ「映画」ではなく「小説」なんだという話ですが、決して映画に飽きたわけではなく(太字強調)、読んでおきたい小説も溜まっていたのでこのあたりで一度消化したかったからです。

 実は

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第六の古則「非有の真実は真実であるか」について

第六の古則「非有の真実は真実であるか」について

 満を持して語られた第六の古則。その文言は今までの古則の中でももっともシンプルだったが、それだけに非常に意味が取りづらくもあった。しかも、これまではセイアとか連邦生徒会長が比較的わかりやすく解説してくれたのに、今回は古則の話を持ち出したのが地下生活者なのでいかんせんどこまで真面目に読んで良いのかわからない。
 とはいえ、アビドス編3章のメッセージ性自体はわりと明快なので、そのあたりを補助線にして考

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ブルアカ『対策委員会』3章感想──小鳥遊ホシノの長いお別れ

ブルアカ『対策委員会』3章感想──小鳥遊ホシノの長いお別れ

 ブルーアーカイブのメインストーリーアビドス対策委員会編第3章(夢が残した足跡)の感想です。全面的にネタバレを含みます。

 素晴らしかった。序盤は債権者組合の仕組みがよくわからん!とか契約書どうなってんだ?とか文句を言いつつ読んでいたが、途中からそういう細かいことがどうでも良くなってくる展開になり、ヒナ参戦後はずっと最高な瞬間が更新され続けていた。圧倒的な熱量と演出でねじ伏せてくる気迫があった。

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ブルアカ『-ive aLIVE!』感想──放課後スイーツ部の距離感

ブルアカ『-ive aLIVE!』感想──放課後スイーツ部の距離感

 ブルーアーカイブのイベント「-ive aLIVE!」の感想です。同イベントの他に、イベント「甘い秘密と銃撃戦」や関係人物の絆ストーリー等の内容に触れています。

 ふだんはイベントの感想を書いたりしないんだけど、今回ばかりは興奮醒めやらぬという感じで書いている。それくらい良かった。
 前回の放課後スイーツ部イベント「甘い秘密と銃撃戦」はブルアカのイベント全体のなかでもトップクラスに好きな話で、「

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『伝道の書に捧げる薔薇』はアリウススクワッドの元ネタなのか?

『伝道の書に捧げる薔薇』はアリウススクワッドの元ネタなのか?

 ブルーアーカイブに登場するアリウススクワッド(およびアリウス分校)のモチーフ(元ネタ)のひとつはロジャー・ゼラズニイのSF小説「伝道の書に捧げる薔薇」なのではないかと思ったので、それについて説明する。
 あとそんなこととは関係なく『伝道の書に捧げる薔薇』は傑作短編集なので、これを読んだひとが少しでも興味を持ってくれたら嬉しい。

 ロジャー・ゼラズニイはアメリカのSF作家で、短編小説「伝道の書に

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ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る②

ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る②

 前回の記事から3ヶ月近く空いてしまったが、けっしてやる気がなくなったわけではないということは強く主張しておきたい。いろいろあって映画どころではなかったんです。ヒナ委員長のピアノの練習を毎日やることもできない感じの状況だったので……。
 そんなことを言っているうちにブルアカも3周年のアニバを迎えたりアニメの企画が動いていたりといろいろと話題があった。便利屋のイベントもあったし。『ロシアより愛をこめ

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ドルフロ『慢性虚脱』感想──創造力とは何か

ドルフロ『慢性虚脱』感想──創造力とは何か

 ドールズフロントラインの大型イベントシナリオ『慢性虚脱』の感想です。
 ネタバレを含みます。

 やたら長い回想パート、しかも記憶が改竄されているからどこまでほんとうなのかよくわからないという非常にトリッキーな話でいろいろ困惑させられたが、話としてはあるべきところに収まったように思う。アンジェの話というよりは、パラデウス側の内在論理が見えてきた話という印象が強い。
 また、ドルフロがずっと追求し

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ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る①

ブルアカの元ネタの映画をひたすら観る①

 ブルーアーカイブに出てくる映画ネタの元ネタをひたすら見ていきます。ただ映画を見て感想を書くだけなので、8割くらいはブルアカとなんの関係もない話をしています。(残り2割はほんのりとブルアカと関係があります)。
 映画とかブルアカのネタバレはありません。
 見ていく順番はノリで決めているので、2023年の話題が多いです。あと、映画によってぜんぜん感想の量が違います。筆が乗って、つい。ごめんっす!

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ブルアカ『百花繚乱編』1章感想──物語る行為の裏と表

ブルアカ『百花繚乱編』1章感想──物語る行為の裏と表

 ブルーアーカイブのメインストーリー百花繚乱編第1章(いつかの芽吹きを待ち侘びて)の感想です。あまり整理できていないので取り留めない感じになっています。

 ネタバレを含みます。

 

 物語る行為について

 物語というのは基本的にフィクションだけど、物語るという行為は必ずしも虚構のみを対象にしていない。つまり、まったくの嘘八百を物語ることも可能だし、現実に起こった出来事を物語ることも可能だ。

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ドルフロ『縦軸歪曲』感想──名付けという”ごっこ遊び”

ドルフロ『縦軸歪曲』感想──名付けという”ごっこ遊び”

 ドールズフロントラインの大型イベント『縦軸歪曲』のネタバレを含む感想です。

 指揮官とグリフィンはほぼ登場せず、ほとんどの登場人物が初登場という異色のイベント。マフィアの内部抗争の話とか、孤児とロボットの話とかもうなんのゲームなのかよくわからなくなってきたが、終わってみるとまあなんか良かったかなくらいのところに落ち着いた。
 汚染地域を通過する列車の中で事件が起きるというシチュエーションが良く

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アニメ『アイドルマスターシンデレラガールズU149』感想──原作の新たな切り口

アニメ『アイドルマスターシンデレラガールズU149』感想──原作の新たな切り口

 U149のアニメはとにかく手が込んでいた。リッチな画面づくりと大量の新曲など、原作からのファンたちの期待に十分応えてくれる質量だった。12話まで駆け抜けた今は感無量で、U149という作品が永久に続いてほしいというただひたすらそういう気分になっている。
 一方で、個人的には10話くらいまで、このアニメ版をどういうスタンスで見れば良いのか掴みきれていなかった。

 周知のこととして、U149はアニメ

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ドルフロ『静止点』感想──いちおう一区切り?

ドルフロ『静止点』感想──いちおう一区切り?

 ドールズフロントラインの大型イベントシナリオ『静止点』の感想です。
 ネタバレを含みます。

 どこへともなく姿を消したパラデウスを追って、指揮官とシュタージは謎に包まれた「死海」に戦術人形を派兵し、アンジェを救出するためのアエネアス作戦を決行する。過去に類を見ない苛烈な戦いが幕を開ける──。

 今回は戦闘シーンがほとんどなのでストーリーはあまり進まなかったが、ウィリアム周りの話が思わせぶりに

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ブルアカ『カルバノグの兎』2章感想──「何でもしますから」

ブルアカ『カルバノグの兎』2章感想──「何でもしますから」

 ネタバレあり(エデン条約1~4・最終編・カルバノグ1~2)

 RABBIT小隊が変わっちまった憧れの先輩たちに戸惑いつつも、やっぱ違うだろ!とNOを突きつける展開はシンプルに熱い。一方のFOXもRABBITにかつての自分たちを見出して投降するというのも、ベタながら良かった。思えばこのゲームは学園RPGを謳いながら、こういう直球の先輩-後輩ものをやってこなかったから妙に新鮮だった。
 定番の共闘

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ROAD TO THE TOP感想と2000年問題

ROAD TO THE TOP感想と2000年問題

 ウマ娘RTTT、良かったですね。1999年クラシック戦線のみに焦点を絞って全4話web配信という独自スタイルで全力を傾注してくる感じがほんとうに良かった。現実の皐月賞当日から始まって毎週日曜日更新というのも巧みだったね。

 個人的にはオペラオーのことが好きなので、終始オペラオーの器の大きさが描かれていたのが嬉しかった。どうしてもクラシックを軸に話が進むと、オペラオーはトップロードにとっての超え

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