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本棚の奥の「シリウス文書」④ 創作小説全6話

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息子

高校の授業の殆どはメタバースの中で行われる。達夫はメタバース内に長く居ることが好きではなく授業をサボりがちだったがシリウス文書を見つけてからは入り浸るようになった。さらに授業をサボることが多くなった。
19901003
キョウセン「ピラミッドを作ったのは誰なのですか。」
オッコト「変換人です。」
キョウセン「目的は何なのですか?」
オッコト「真実の意識の中心を作るための反応炉。ピラミッドは人間の意識が最終構成に昇るための方因を表しています。」

19891124
キョウセン―夢とはなんですか
オッコト「夢とは再確認するために現れた精神構造の解体次元」
キョウセン―何を再確認するのですか
オッコト「意識が生まれていくための再確認」

19891122
―人間とは何ですか
「二つの性格を持つ軸」
―二つの性格とは
「感性とシケイ」
―対立するものなのか
「地球の中においては対立する」
―地球の外とは
「真実の地球
真実の地球においては並格的なもの」
―同一という意味ですか
「同一ではない」

19901010
―位置の交換と時間の関係について教えてください。
「位置の交換により時間はなくなり、変換により時間に負の方向性が生まれ、転換により時間は無という力を持ちます。」
―負の方向性とは何ですか。
「人間の意識が過去も未来も等化できるという意味です。」


19891124
―原子とは何ですか
「意識の方向覚醒における次元の関与が行われているところ」


全てがこの調子で達夫は意味がわからなかったが、とても重要な事が書いてあるという事は直感的にわかった。夢中である。時間を忘れて無我夢中で読み漁っていた。


ママ

美和子は次の日も続きを読んだ。
「悟った人間はいない・・・」
「人間は意識を視覚野に入れ込んでしまっている」
「見たまま感じたままの空間と言語が自我と時間を延長化している空間・・・」
「反転・・・」
「奥行き・・・」
美和子は時間を忘れて読む事に集中した。実際時間は流れていなかった。
「平面世界から脱出せよ!」
全田挟宣の言葉が胸を貫く。美和子の魂が震える。
ふと本から目を離すと世界は平面で、そこに美和子の身体は入っていなかった。


⑤につづく








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