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質問075:不安な気持ちを取り除くには?

いつもお返事ありがとうございます。
毎回丁寧にわかりやすく説明して下さるので、とても感謝しています。


※月※日には団体戦があり、とても上手な人たちの中にまじってしないといけな
かったので、とっても不安でした。


しかし、打てていないという事をわかって貰っていたので、当て馬にさせて貰い
(打てていてもこの中では当て馬ですが(^^;))、気持ち楽にでき、
殆ど緊張せずにゲームをすることができました。
一番接戦した相手には、一度か二度手がおかしくなってまずいかも(>_<)と思っ
たりしましたが、前衛さんが上手だったので、なんとか持ちこたえて勝つ事がで
き、ちょっとマシになった気がします。


試合に入るときまだドキドキしそうですが、
この前はボール以外見えていた物をチェックするようにしていたら、
落ち着いて早い球にも対応できてきたかな、と思えました。


次も試合になると・・・と、まだ不安でいっぱいなんですが・・・
試合になれていくしかないんですよね(T_T)
ボールに集中する前に、この不安な気持ちを取り除けるような、なにかいいアド
バイスがあればまたお願いします。m(_ _)m

回答


▶不安を感じないための確かな拠り所となるのは、「今」


不安は、自分が安全ではない現状を知らせてくれる感情による機能的な役立つサイン
です。
 
不安になるから「警戒できる」「備えられる」など、心身の構え(心構え、身構え)ができます。
 
ただし、程度問題です。
 
不安によって、何も手につかないとか、パフォーマンスが落ちてしまっては、本末転倒。
 

▶プレーについて頭で考えると不安になる


不安になるのは特にテニスの場合、「こういうプレーをしよう」「こういう打ち方をしよう」「こういうミスに気をつけよう」などと、頭で考えてしまうからです。
 
考えると、「こういうプレーができなかったらどうしよう」「こういう打ち方ができなかったらどうしよう」「こういうミスをしたらどうしよう」などと、上手くいかない逆もイメージされるから、ますます不安にさいなまれます。
 

▶不安の出どころは「過去」か「未来」


ではどうすればいいかというと、不安は基本的に、過去に経験した怖れの記憶を潜在意識が参照して(その間0.0001秒の早技!)、未来について「同様の出来事が起こったらどうしよう」「もう繰り返したくない」などと顕在意識で考えるから、生じる性質のものです。
 
出どころのきっかけは、「過去」か「未来」。
 
なので不安を感じないようにするには、やはり「今」こそ、確かな拠り所となるのです。

▶ボールに一点集中すればいい


とはいえテニスの場合は比較的ラクで、飛び交うボールというリアルタイムのアイテムに、ただ一点集中すればよいのでした。
 
漠然とした人生の不安などは、集中するアイテムが見つからないと、どんどん膨れ上がるから気をつけなければなりません。
 
何しろ思考は、考え出したら「キリがない」から、いつまでもどこまでも増幅してしまい、QOLを下げてしまうのです。
 
単にリストラされるだけでも、「お金がなくなったらどうしよう」「食えなくなったらどうしよう」「住む家がなくなったらどうしよう」「死んだらどうしよう」などと、なんとなんと、死後についてまで、アッという間に思考は際限なく行ってしまうのです。
 
これが、バーチャルな思考にリアルな感覚(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる)が乗っ取られて、生活が充実しなくなる原因なのでした。

▶テニスの極意は、「餅は餅屋」


不安になるのは、考えるから
です。
 
前に、心と体はつながっているとご説明しましたが、頭(のなかの思考)と体は、別物と見ることができます。
 
思考は実態のないバーチャルで、体は物体としてのリアルだからです。
 
ですから、そもそもが運動音痴の頭でプレーしようとするのではなくて、運動達者な体にプレーさせるというのが極意
 
極意というか、当たり前。
 
「餅は餅屋」の、ことわざのとおりです。
 
頭でいくら考えても自転車に乗れませんけれども、体は学べばそのうち乗りこなします。

▶「心臓が止まったらどうしよう」などといちいち不安なりますか?


思考で消化吸収できません。
 
考えても汗は止められません。
 
私たちの意志が及ばないところで、体は勝手にオートマチックで、その時々に最適な調整(運動)をしてくれます
 
頭で命令しても、体は思いどおりになんて動いてくれません。
 
「心臓を止めよう!」と考えても、意志とは関係なく動き続けます。
 
この事実をしかと心に留め、感じるままに動く体にプレーをゆだねるのです。
 
そうすれば、不安は起こりません。
 
「心臓が止まったらどうしよう」などといちいち考えないのと同じです。
 
不安になるのは頭の作業。
 
ミスを悔しがるのも頭の勝手。
 
逆に言えば、体がミスしたところで、頭はまるで他人事のように、素知らぬふりを決め込む「スルー」もできるというわけです。
 
ですからテニス上級者はミスしても「しまった!」とか「ダメだ!」とか言いません。
 
それは意志とは別に、体が勝手にやらかしたミスと捉える「スルー力」が高いからです。
 

▶上級者は、分からない。何も分かっちゃいない


不安を作り出すのは頭。
 
プレーするのは体。
 
また、頭で考えてプレーしていないのだから当然の帰結として上級者ほど、「自分がどうして上手く打てるのか分からない」というふうにもなります
 
彼ら・彼女たちは、分からない。
 
何も分かっちゃいない(※注1)。
 

▶ユーチューブ動画レッスンのミスリード


プロのユーチューブによるレッスン動画なども、機会がありましたらつぶさに(虚心坦懐に)、視聴してみてください。
 
ゲストプロを招いて「グリップはどうなの?」「スイングで意識していることは?」などと尋ねても、たいてい最初は「コンチかなぁ?」「そこはあまり意識してないですねー」というやり取りで始まります。
 
そのうち「せっかくゲストに招かれたのに、このままではレッスン動画にならないぞ……」と狼狽しつつ、動画を作成する手前答えを促すホストプロ側も「ああじゃない?」「こうじゃない?」などとしつこく尋ねるから、ゲストプロも折れて、「そういえば、左手主導で振ってるかなー」などと答えざるを得なくなる
 
ひどいとホストプロ側が「(端から見るとあなたのフォームは)こうなってるよ」と指摘した内容にゲストプロ側が呼応して、「へー、そうなっているんですね!」などと、あたかも初めから意識していたかのような展開にもなったりするのですけれども、完全にミスリードなんですね。
 
なぜ、こうなるのか?
 
頭(のなかの思考)と体とは、別物だからです。
 
それは、意志の及ばない体による調整(運動)だからです。
 
どうして心臓が動くのか、頭では分かりません。
 
だけど体は、動かすことができるのです。
 
頭(のなかの思考)と体、両者は別物という捉え方になると、テニスはメンタル的に急伸します

▶「怖れのメガネ」を外してありのままに見る技術

 
ボール以外見えていた物をチェックは、上手くいったようで何よりです。
 
見方が少し変わるだけでも、パフォーマンスは瞬時に上がりますからね。
 
曇ったフィルター越しに見る怖れのメガネを外し、落ち着いてありのままのボールを見られるようになると、見える世界がガラリと変わります
 
電車の遅延がある世界は同じだとしても、待たされて「イライラ」するか、時間ができて「ラッキー」となるかの違いにも似ています。
 
程度の差こそあれ、リストラされて「死んだらどうしよう」となるか、「ゆっくり休める」となるかの違いです。
 

▶※注1について・批判したい意図はない


「彼ら・彼女たちは、分からない。何も分かっちゃいない」と先述しました。
 
それは、批判したい他意があるからではありません。
 
分からないのが、「正解」です。

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(テニスゼロ)
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