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リスキリングとは “行き先のない旅”

column vol.963

トヨタが「自動車業界は100年に1度の大変革期」と語り、自動車製造業から「モビリティ・デザイン・カンパニー」にトランスフォーメーションしましたが、大変革期を迎えているのは自動車業界だけではないでしょう。

そんな中、リスキリング(学び直し)の重要性が謳われていますが、社会人が勉強する上で何が大切なのでしょうか?

『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』の著者で、NewsPicksなどスタートアップ企業のアドバイザーとして関わる荒木博行さん「ビジネスパーソンの学びに「理由」がいらない」と語ります。

〈東洋経済オンライン / 2023年3月24日〉

一体、どのようなことなのでしょうか?

目的を定めると「学びが狭まる」

いきなり手段に走るな。まずはWhyを問え

ビジネスの現場で常套句として使われる考え方です。

しかし、荒木さんは「学びの領域において、この教訓は必ずしも正しくない」と指摘します。

なぜなら、Why(目的)の問いを最初に追求してしまうと、必然性のある学びしか目に見えなくなる危険性があるからです。

例えば、デザインを学びたいと思っても、「それがこの先、自分にとって何の役に立つか分からない」と冷静に判断してしまえば、最も興味のあることなのに後回しにしてしまうでしょう。

…ただ、本当に役立つ学習というのは、完璧に計算できるものでもない

目的を持って学んだことが後で役に立たないと思うことがあったり、逆に役に立たないと思っていたことが後の自分の人生を助けることもあります。

変化の激しい時代ですから、キャリア自体も不確実であり…

目標としていた仕事や役職があったとして、数年後にそれがそのまま残っている保証はどこにもありません。テクノロジーの進化、加速する組織の流動化などをあわせて考慮すれば、キャリアの賞味期限は驚くほど短くなっていると思っていた方が健全です

と、荒木さんは注意を喚起しております。

スキル自体も日進月歩で進化しており…、大抵「こういうものを学んだ方が良い!」と世に情報が出回る時は、そのスキルがピークであることが多く…

学び終わって実践しようとすると、新しいスキルが誕生していて学んだことが古くなっている…ということは往々にしてあるでしょう…

目的を持って何かを学ぼうとすると裏切られる場合があるというのは、そうなのかもしれませんね…

“期待してなかった”学びが後の自分を救う

一方、全く何も期待しないで取り組んだことが、後々の自分にプラスになっていることもあります。

私の場合ですと、例えば「マラソン」「運動指導(コンディショニング)」がそうです。

マラソンはクライアントへの接待で始めたのですが、30代の10年間ハマり続けました。

ここで得たスキルは「時間管理能力」

忙しい仕事の合間を縫って練習の時間をつくらないといけません。

時間はどんなお金持ちでも24時間しかないので、いかに時間を有益に使えるかがポイントになりますが、この時の経験が活きて40代の今、お金持ちならぬ「時間持ち」になれているとは思います。

あとは、マラソン好きが乗じて、体調改善運動アスリートの体調管理に使われる運動メソッドを提供している「日本コンディショニング協会」の広報の仕事を依頼された際

同協会の運動指導資格を取ったことも今考えると大きいと思いました。

結果、コンディショニングスキルにハマって最高資格まで取得したのですが、その結果、当社のクライアントである大正製薬養命酒などの健康企業から、運動指導イベントの講師として招かれるようになったのです。

まさに予想外のプラス

時には100人規模のイベントもあったのですが、コロナでその仕事は壊滅的に…一時は無駄になりました…(涙)

しかし、その後、noteマーケティング関連の仕事(本業)の記事を発信したことも相まって、今ではマーケティング関連の講演をよく行うようになりました。

この講演活動に、コンディショニング(運動指導)の経験が相当活きており、最近つくづく「人生分からないものだなぁ…」と感じています。

“好奇心”の先に見える「次の自分」

学びには「意図と結果は常に異なる」という黄金律がある。

荒木さんが仰る通り、何が後の人生に活きる学びになるかは分からない

ですから、まずは「面白そうだから学ぶ」で十分なのでしょう。

先ほどのデザインを学ぶという話も、学んでいる過程で「ひょっとして、自分がデザイン領域を学んでいるのは、こういうことを実現するためなのかもしれない」と後づけで気づくかもしれません。

もっと言えば、好奇心を持って学んだことは、必ず後の自分に活かせるとも思っています。

好奇心を持っている状態というのは主体的な姿

そこには創意工夫があるはずだからです。

そういった考え方にリンクする話として、荒木さんは「学びとは属人的である」と言及されております。

その根拠として、認知科学の専門家である鈴木宏昭さんが書いた『私たちはどう学んでいるのか』の文章を引用されております。

相手からの情報、その記憶が知識となるためには、それらの素材を用いて知識として構成していかなければならないのだ。構成するのはもちろんあなただ。あなたのこれまでの経験は人と異なるだろうし、これから出会いそうな場面も異なるだろうから、構成される知識は人によって少しずつ異なってくる

例えば、10代の頃読んだ小説大人になって見返した時、全く異なる感想を持つことはないでしょうか?

それは、10代の頃と大人の自分の経験の差です。

つまり、同じことを学習しても、人によって捉え方活かし方千差万別

とある学びが、ある人にとっては「学んだ良かった」と思い、ある人にとっては「無駄だった」と感じることは、ごくごく自然なことなのです。

結局のところ、何を学んだ方が良いのか、それをどう活かしていけば良いのかは、それぞれの人次第なのです。

そう考えると、やはり好奇心を優先すれば良いと思いますし、好奇心の先に新しい自分が見えてくるということが理解できますね。

どこでも何でも学べる時代へ

もちろん、近々に必要なスキルを学ぶこともあるでしょう。

それは前提としつつ、やはり好奇心をベースにさまざまなことを勉強していくことが良いという感じですかね。

最近では、ちょっと前まで考えられなかったような学びを手にすることができる時代です。

社会人ながら大学で学ぶ「社会人大学生」が多くなってきましたが、イギリスの名門「ケンブリッジ大学」を始めとして、オプションで「オンライン通信教育」を選べる大学が増えてきています。

〈幻冬舎 GOLD ONLINE / 2023年3月19日〉

通信教育で大学に通えるとなると、ピザ申請が不要であったり、現地での滞在費が節約できたり、非常に大きなメリットがあります。

AIの翻訳機能がより進化していけば、英語が得意ではなくても、「世界最高峰の授業」を同時通訳することができ、日本語で理解することだって可能になるわけです。

まさに興味さえあれば、何でも学べる時代がやってくる。

そう考えると、ワクワクしますね〜

好奇心を優先した学習とは、まさに行き先のない旅を楽しむようなもの。

そこには、人生を変えるような素晴らしい知識や知見と出会いがあるかもしれません。

そんな考え方で、学びに向き合っていけると良いですね😊

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