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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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2021年9月の記事一覧

『あなたはどこにいるのか』(関田寛雄・一麦出版社)

『あなたはどこにいるのか』(関田寛雄・一麦出版社)

私はそのタイトルに惹かれた。「あなたはどこにいるのか」、それはもちろん創世記3章にある、神から人への最初の呼びかけである。私はこの言葉に救われた。神の前に連れ出され、一旦は殺されたのだが、復活させられた。この言葉は私にとり命の言葉であった。諸事情で入手に手間取ったが、ついに手に入れると、期待に違わず心が癒やされ、満たされた。
 
青山学院大学第二部関田アドヴァイザーグループの企画で出版されたという

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語られる説教

語られる説教

このたび、『世界 説教・説教学事典』を手に入れてご機嫌である。以前教会の棚にあるのを見て、いつか欲しいと思っていた。だが如何せん、値段が高い。Amazonの「あとで買う」にずっと入れて、価格を見張っていたが、ふと見ると、定価の4分の1ほどで「中古品・良い」というものが現れた。溜まっていたポイントをここぞとばかりに使うと、CD一枚分で買えるのである。誰かに取られないうちに、と注文した。
 
届いたも

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『キリスト教の幼年期』(エチエンヌ・トロクメ : 加藤隆訳)

『キリスト教の幼年期』(エチエンヌ・トロクメ : 加藤隆訳)

ちくま学芸文庫から2021年8月に出たばかりであるが、これは『キリスト教の揺籃期』という題名で出ていた単行本の文庫化である。そちらをすでにお読みの方は購入の必要はない。
 
トロクメはフランスの神学者。2002年に77歳で亡くなっている。訳者はその弟子である。博士論文を書かせてもらい、それを直ちに出版するところまで連れて行ってもらっている。こうした事情は、訳者のあとがきにたんまり書かれている。特に

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キャッチボール

キャッチボール

キャッチボールをする親子を、昔は時折見かけた。だが、いま見ることがない。昔はありきたりだった風景も、時と共に見られなくなり、それに伴い、生活様式だけでなく、考え方や文化まで変わってしまうという法則をここにも感じる。
 
そもそも、キャッチボールができる「広場」がなくなった。整備して設置された「公園」は、決まって「キャッチボール禁止」である。できる場所が身近にあるというのは、特権的な価値があるといっ

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すばらしい歌

すばらしい歌

パラリンピック閉会式で最後に、ルイ・アームストロングの「WHAT A WONDERFUL WORLD」がしっとりと歌われ、心にしみた。
 
決して心安からずという状態のアメリカで、平和などどこにあるんだという気持ちの中で生まれた曲だという。だが、この美しい自然と、人々の友愛を見て、子どもたちの未来を信じて歌う「素晴らしき世界」が、障害者(この言葉が適切かどうかはここでは問わないで使わせて戴く)や子

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自称映画評論家は多いけれど

自称映画評論家は多いけれど

皆が同じテレビ番組を見ていた時代、学校に行くとその話題でもちきりだった。いつしかバラバラになり、他人は他人、と話題がつながらなくなってしまった。それを美しい言葉では「多様性」と言う。ひとの自由や趣味を尊重しているのかもしれない。ずかずかと踏み込むことを避けているのだろう。別にいろいろあっていいじゃん、というのは、互いに傷つきたくない、傷つけたくない、という距離感をも表しているようにも見える。アニメ

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