破天荒な父。限界スレスレ
僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。
■■■ 限界スレスレ ■■■
「よし、今日は父ちゃんの限界スレスレの話をしよう」
そう言うと、父はニヤニヤしながら僕に語りだした。
父ちゃんは未知なる領域が大好きなんだ。この前、ボロボロの薄暗い健康ランドを見つけたから入ってみたんだ。
受付で「館内着は何色にしますか?」と聞かれたので「何でもいい」って言ったら、
「本当に何でもいいんですね?」
「うん、だから何でもいいって」
このやり取りに少し違和感を感じたけど、そのまま黄色の服をもらい、館内に入ったんだ。
そうすると、皆、赤と青ばかりで、黄色は自分だけだった。だから周りの人は自分をジロジロ見てくるんだ。
でも気にせず温泉の方にいったんだ。
脱衣所で黄色の服を脱いで、湯船の方に行くけど、まだ周りの人がジロジロ見てくるんだ。それでも父ちゃんは気にせずに湯船に浸かって温泉を出たんだ。
すると父ちゃんの周りにオジさんの人だかりができて、遊ぼうって言ってくるんだ。よく話を聞いてみると、そこの健康ランドはゲイ専門の場所だったんだ。
館内着にもルールがあって、赤は年下好き、青は年上好き、黄色は誰でも好きというルールだったんだ。確かに父ちゃんは館内着の色を聞かれた時に「何でもいい」って言ったけど、まさかそんな意味なんて知らなかったわ。
オジさん達に遊ばれちゃったわ。
いやぁ限界スレスレだった。
あとな、似たような体験でこんなこともあったわ。
5人ぐらいしか入れない小さい立ち飲み屋に行ったら、隣の席に所ジョージが女装したようなオジさんがいたんだよ。父ちゃんは逆の席にいたサラリーマン達と乾杯してたんだけど、背後に気配を感じたんだ。
で、振り返って見ると、その所ジョージが父ちゃんの匂いをクンクン嗅いでたんだ。
「あーなかなかいい匂いがする」って言ってたなぁ。
それがきっかけで話している内に意気投合したんだ。そうしたら所ジョージが「うちのお店に来ないか」って言ってきたんだ。断ろうと思ったけど、お店の名前が「スナックめまい」って名前だったから行かないって手は無いよな。
一緒に行ってみるとマンションの一室がスナックに改造されてたんだ。入り口ドアの上と下に鍵が2つあったんだけど、所ジョージは部屋に入ると両方ロックしてた。
中にはお客さんもいなくて貸切状態だったんだ。そこで「何を飲む?」って聞かれたから「カシスオレンジ」って答えたんだよ。
所ジョージが気合を入れて作ってくれるんだけど、もうね、今まで飲んだことが無いぐらい濃いカシスオレンジが出てきたね。乾杯して2口ぐらい飲んだら父ちゃんグルグル酔っ払ってきてさ。
しばらくすると所ジョージが「ちょっと待って」と言ってトイレに入ったんだよ。20分ぐらい経っても出てこないんだ。
嫌な予感がして、すぐに逃げられるように、ドアの2つの鍵は開けといたんだ。
やっと所ジョージがトイレから出てきたと思ったら、セーラー服姿で出てきて、父ちゃんはビックリしたよ。
「お待たせー。じゃあ服脱いで!」って言われてね。70歳ぐらいの所ジョージがセーラー服だよ。
遊ばない理由は無かったなぁ。
いやぁ限界スレスレだった。
父からは限界を超える方法を学んだ。
続く
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