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たまこんぶのエッセイ

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ワーママの日常で感じた喜怒哀楽をエッセイにした記事をまとめています。たまに思い出話もします。
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#子育てママ

2歳児に勝負を挑まれた話

2歳児に勝負を挑まれた話

「ママ、いっしょにやろ!」と息子が誘うので、パズルを一緒にすることになった。夕飯を食べた後のプレイタイム、いつもはトミカで遊ぶかYoutubeを見せろと騒ぐのが、その日は違った。2歳9ヶ月になり、急速に頭が良くなっているのか、ほんの最近20ピースのパズルを一人で完成させたので、調子に乗った私が24ピースの新しいパズルを買ってあげたのだ。

ものの2、3日で新しい新幹線の24ピースのパズルを一人で完

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虫嫌いの男の子が虫を克服?した話

虫嫌いの男の子が虫を克服?した話

「むし、こわい!」と息子がはっきり言うようになったのは、2歳と半年くらいが経った頃。寒さが和らぎ、桜が咲き、虫がチラホラと出てきて、虫と遭遇するとギャッ!と叫ぶのだ。玄関から出て、外に虫が飛んでいると体が硬直してしまい、「こわい」と動けなくなってしまう。

虫が嫌いになってしまったのには心当たりがある。昨年の夏、群馬の実家に帰った時のことだ。実家の目の前は大きな畑で、肥料にする牛糞で嫌な臭いがして

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2歳の息子と仏の座の蜜を吸ってみた話

2歳の息子と仏の座の蜜を吸ってみた話

子供の頃、道端に咲いていた花の蜜を吸ったことがあった。確か、同じ幼稚園に通っていた同級生が仏の座の花が甘いことを教えてくれたのだった。その同級生と一緒に、幼稚園の庭に咲いていた仏の座の蜜を吸い散らかしたことを覚えている。春の暖かな日差しの下で、紫色の小さな花を積んでは口の中に入れて、少しの冷たさの後に甘みを楽しんだ、平和な思い出。

そんなことを2歳の息子を連れて夫と義母と公園を散歩している時に思

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亡くなった祖母の手作りベビードレスの話

 初めて子供を産んで、沢山の贈り物を頂いたけれども、一番驚いたのは母からもらったベビードレスだった。黄色の生地に、小さな蜜柑、りんご、葡萄の柄が散りばめられた柄で、花柄の青いボタンがついたベビードレスは随分と色褪せていた。明らかに新品ではなく、誰かのお古だった。かなり使い古された印象だったのは、私を含めた私の姉、兄の3人が赤ちゃんの時に着た30年前のドレスだったからだ。

「お姉ちゃんが生まれた時

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息子が卵白アレルギーを克服した話

息子が卵白アレルギーを克服した話

息子の卵白アレルギーが発覚したのは生後八ヶ月の頃の事。私が過労で入院している時、義母と夫が卵うどんを食べさせた直後に蕁麻疹が出て、即病院に連行してアレルギー検査を行ったそうだ。検査の結果は、息子は卵白とオボムコイドのクラスが2で、しっかり陽性の判定だった。

息子が卵白アレルギーと知って、夫と二人であわわと慌てた。そして困った。市販品の食品には割りかし何でも卵が入っている気がするし、外食がそう簡単

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スーパーカーが我が家にやってきた日のこと

スーパーカーが我が家にやってきた日のこと

男の子は、車派か電車派に分かれるんですよと保育園の先生から聞いた。我が家の一歳児は、ものの見事に車派となり毎日「ブーブ」と言ってはミニカーに戯れている。家にいる時は常に両手にミニカーを一台ずつ持っていて、抱っこをせがむ時も決して離さない。寝る時も一緒である。

息子がミニカーの魅力にハマったのは、義母が彼にプルバックカーを買い与えた日が起点になった。

小さな手でミニカーを握りしめて、床にタイヤを

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抱っこが教えてくれる、愛された記憶

抱っこが教えてくれる、愛された記憶

息子が言葉を覚え始めて、抱っこの事を「あっこ」と言うようになったのは一歳六ヶ月くらいの事だった。一歳十ヶ月になる今でも、一日で一番話している言葉は「あっこ」で、毎日何度も何度も「あっこあっこ」と言って抱っこをせがんでいる。初めは「だっこだよ」と訂正していたけれども、舌ったらずに「あっこ」と言うのが可愛らしくて、ずっと「あっこ」でも良いかなと思う事もある。

私の母に、息子が「あっこ」っと言っては抱

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魔法の言葉「あっち」を覚えた息子の話

魔法の言葉「あっち」を覚えた息子の話

息子が一歳十ヶ月になった。子供を産む前は、ひと月ごとに子供の成長の節目を感じるとは思わなかった。ひと月の節目を迎えると、深呼吸を一つして天井を仰ぎ、今月も良く頑張ったと自分を褒めてあげたい気持ちになる。そして子供の成長の早さに毎月驚いている。

一歳九ヶ月と一歳十ヶ月の何が違うのか。コミュニケーションの引き出しが明らかに増えてきた。言葉の数が飛躍的に増えたわけではない。抱っこの事は相変わらず舌った

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息子がタマタマを手術した話

息子がタマタマを手術した話

息子が生まれて10ヶ月くらいが経った頃。区の定期検診で「タマタマがちゃんと袋に入ってないですね」と指摘された。その時は、成長と共にちゃんと発達して正常になる事があるので、このまま見守りましょうという事になった。

遊走精巣、停留精巣というらしい。タマタマが正しい位置に固定されず、お腹の上の方に遊びに行っちゃう異常だ。そんな事があるのだと驚いた。一歳半健診でも異常が続けば手術と言われて、ゾクっと体が

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母乳をやめた話

母乳をやめた話

疲れている、という実感はなかった。母乳か、ミルクか。できることなら母乳で育てたいと思っていた。母乳は母親の免疫を渡すことができるし、哺乳瓶の消毒の手間もないし、子供とのスキンシップで愛情形成もできるという。母乳はミルクより良いものだという神話が知らず知らずに頭に刷り込まれ、ついには「母乳で育てられないのは子供が可哀想だ」と謎の考えに支配されていた。

しかし息子が生まれて1ヶ月の頃、私は息子に搾乳

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一歳児が車のオーナーになった話

一歳児が車のオーナーになった話

「お土産買ってきたわよ」

と義母が我が家に着くなり言った。ばあばが大好きな1歳9ヶ月の息子は、ばあばの膝にちょこなんと乗っかり、鞄から出てくる手のひらサイズの小さな箱に目を見張った。SUBARUのフォレスターである。非売品のキャンペーン商品だ。悪路走行を演出する紙製の坂道コースまでついている。箱には「登る!止まる!」と誇らしげに書いてあった。

「チョロQですか、ありがとうございます」と義母にお

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幸せを感じる時

その日はとにかく疲れて、夕飯を作る気がなかった。冷蔵庫には玉ねぎとニンニク、卵、豆腐くらいしかなく、ご飯さえも炊いていない。息子の保育園のお迎えの帰りに買い出しをすべきだったのに、子連れの買い物は大変疲れるので、とんとスルーしてしまったのである。

「夕飯なんにする?」

と冷蔵庫事情をよく知っているはずの夫が聞いてくる。家事は何でも自発的にできる。正直言って主婦スキルは私より断然上の彼である。そ

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