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【2021年版】怒涛の読書会セルフレビュー

【序文】

2021年1月から12月にかけて私は「信州読書会」様に参加させて頂いた。

こちらの読書会は、参加者全員が対面で課題図書に関する議論を交える形式ではなく、参加者が書いた「読書感想文」を主催者が紹介してその所見を伺うといった形式をとる。そのため、参加者は事前に感想文を準備しておく必要があり、僭越せんえつながら私も感想文を書いて提出した。
それ自体は別段差し支えはないのだが、感想文提出後の私の姿勢に問題があった。

というのも、私という人間は一体どういう訳か、一度感想文を提出してしまうとそれに満足してしまい、自身の感想文における主張の妥当性、他者の見解、他者の感想文との比較検討を全てなおざりにしていたということであり、要は、自身を振り返るということを一切しなかった。この行為を別の事柄に例えるとするなら、カレーライスを調理して完成したと同時に排水溝へぶちまける行為、半年かけて育てたプチトマトを植木鉢もろともベランダから投げ捨てる行為ともいえる。完成したカレーが辛いのか甘いのか、育てたプチトマトは酸っぱいのか苦いのか、それらを試食した上で評価し、そこで問題があるなら原因分析を行いスパイスおよび肥料配合を修正すべきであり、これを放置するようでは一流のカレー職人、プチトマトマイスターには一生かかってもなれない。

読書会も多分にれず、参加後に改めて自己評価を行い問題点を洗い出して改善に繋げるべきであり、それがひいては自己成長に結びつくのである。それを放棄して自身を顧みなかった私は愚か者以外の何者でもない。

以上の経緯により、本稿は「2021年の読書会で扱われた課題図書」「課題図書に対する読書感想文」を順次振り返り、そして再評価することで見識の向上に努めようとする試みである。これを簡単に言うと『最近ヒマだから俺が書いた感想文をもっかい読んでみるかー』である。

【評価・採点について】

▼評価対象:
2021年1月~12月期間において読書会で扱われた課題図書および自身の読書感想文を対象とする。

▼採点方式:
前述の評価対象を10点満点で定量的に採点する。
なお、数値が大きいほど評価も高くなるものとする。
※例:10点=良い、5点=まあまあ、0点=悪い

▼評価の進め方:
◎ 課題図書:読書会が終了した現時点であらためて作品を振り返り、その完成度の高さを吟味する。
◎ 感想文:自身の感想文について、他の読書会参加者の感想文を考慮に入れた上でその完成度の高さを吟味する。また、自身の感想文に対する評価となるため、第三者が書いたものとして可能な限りの客観的視点から判定を下すことにする。

以上を踏まえた再評価結果は以下の通り。
※下記に嘘偽りは一切ない。誓って、すべてが本音である。

チャタレイ夫人の恋人

◎読書会開催日:2021年1月8日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★☆☆(8点)

▼各評価の根拠
 - 課題図書:
長い。作品舞台が狭いからか人物の行動もパターン化・制限化されており、ただただ長い。そのため過激描写に興奮したりと没入にまで至らなかったのが残念であった。まあ長い。2点。
 - 感想文:
文中の『色ボケ母ちゃん細腕忍法帖』は名作だといえる。ゴリラ50頭分というフレーズも絶妙な分かりにくさを発揮している。ただ、感想文なのかと言われるとなんか違う気がするので2点減点して8点。

金閣寺

◎読書会開催日:2021年1月15日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★☆☆☆(7点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)

▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
「絶対の美」なるものに苦悩する、その苦悩からなる追求の過程が複雑だが読ませる内容である。登場人物の突飛な行動も然り。ただ、セリフ回しがことごとく不自然なので1点減点。売春宿のくだり等々、作中後半において、このくだり必要かあ?が散見されるためさらに2点減点して計7点。
 - 感想文:
母乳抹茶のくだりを「金閣=抹茶」「放火=母乳」として自論展開されている。がしかし根拠が弱い。マツガエに語らせたのは「空虚」を意図したとみえるが、これがかえって分かりにくい。で、結局読みづらい。この駄文を提出したオマエの度胸に1点だけあげる。

罪と罰(上巻)

◎読書会開催日:2021年1月22日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★☆☆(8点)

▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
ドストエフスキー作品全般にも言える事だが、彼の小説は最初退屈で読み進めると面白くなる。そのため上巻では面白さにはまだ至ってない。ここでは鬱屈した青年の境遇を描く程度にとどまっている。
 - 感想文:
椎名林檎の『罪と罰』になぞらえて感想文を強引に書いた。我ながら上手くこじつけた。「▼1行目:頬を刺す朝の山手通り~」はこじつけるのに苦戦した記憶がある。ただ、感想文なのかと言われるとなんか違う気がするので2点減点した。

罪と罰(下巻)

◎読書会開催日:2021年1月29日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★☆☆(8点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★☆☆(8点)

▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
宗教だけでなく哲学的な要素もあればサスペンス的な要素も多く特に主人公と刑事のやりとりは緊張感があって良い。刑事の皮肉も上手い。8点。
 - 感想文:
上巻と同様、下巻の感想文も椎名林檎の『罪と罰』になぞらえて感想文を強引に書いた。ラカンにこじつけた箇所は冗長かつバカバカしくて素晴らしい。ただ、感想文なのかと言われるとなんか違う気がするので2点減点した。

ゴドーを待ちながら

◎読書会開催日:2021年2月12日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
ほぼ記憶になし。ギャグがそこそこ多かったような気がしたがそのギャグがなんだったのかすら記憶になし。この本、持ってなかったので久々に神保町に買いに行った。出不精の私をわざわざ本屋に向かわせた本書の推進力にプラス1点。
 - 感想文:
感想文は本文中のギャグを列挙しただけである。手抜きはやめろ。本来なら0点でもいいがギャグを列挙した手間賃として2点。

レ・ミゼラブル(第1部:ファンティーヌ)

◎読書会開催日:2021年2月26日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
長い。話が極端で作為の感が出まくっている。あと長い。ただ、挿絵がついてて助かるのでそれを加味して1点。
 - 感想文:
感想文を書く際、内容よりも先に『レ・バ刺し』というタイトルが浮かんだので、それに沿ってレミゼの内容を逐一適用したら全く要領を得ない駄作が産まれた。随筆として読んでも退屈。読書会参加賞として1点。

二人の友

◎読書会開催日:2021年3月12日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★★☆(9点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
ほぼ記憶に無いが変な友人に関する思い出話だった気がする(3点)。なお、作中の「君」を「きみ」or「くん」のどちらで読むべきかという議論について、私は「きみ」かと思う。執筆当時の明治時代、いや明治以前にも常用的に使われることのない「くん」で読ませたければ、本文の「君」に「くん」とルビぐらい振っとけ!と言いたい。そもそも「くん」「きみ」は語意は同じなのでどちらで読んだとしても作品を読み違えるということはあり得ない。だからどっちでも大丈夫。
 - 感想文:
二人称小説に関する説明が少し足りない。それを除けば、主張がよりクリアになったのにホントに惜しい。とはいえ全体的な判断根拠の整合はついており、チャーリーの例えも道理である。二人称の説明不足を1点減点して9点。

好人物の夫婦

◎読書会開催日:2021年3月19日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
『暗夜行路』の箸休めとして書いたのか、それとも構想段階の選り抜きアイデアなのか、全体的に物足りなさがある。主観が強くて読みづらい。
 - 感想文:
落語の枕調に本書のあらすじを書いてみただけ。妻の辛抱を「ブルブル→振動→しんどう→辛抱」と掛けたのは少々無理がある。新作落語「時ペペロンチーノ」も再考の余地あり。コイツは何がしたいんだ。2点。

レ・ミゼラブル(第2部:コゼット)

◎読書会開催日:2021年3月26日(金)
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◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
長い。ただただ長い。脱線はやめろ。次脱線したらお前をしばく。挿絵付きを考慮して1点。
 - 感想文:
レミゼ本文に書かれた脱線こぼれ話「修道院のくだり」が要約されているが「▼修道院批判:」の説明が不親切極まりない。だが、あの冗長な文章を要約した功労賞としてプラス5点。 

それから

◎読書会開催日:2021年4月9日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★★★(10点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★☆☆(8点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
傑作。どー考えても面白い。主人公が一人で苦悩する内容も簡潔明瞭、さらにこの理屈もある種言い得ており読んでいて1ミリも飽きない。そして会話がとても自然で引き込まれる。漱石はセリフ回しが達者だと心の底から感心する。ラストシーンにおける頭脳の混雑具合も巧なり。10点
 - 感想文:
『文学論(下巻)』における「対置法」という手法を本書『それから』の文中から探り出して解説する、といった試みであり、今読み返しても成功していると思う。コイツ、上手いこと書きやがって。ホント勉強になります!ただ、作品に対する所感の記載がなく、読書感想文とは言い難いので-2点。

レ・ミゼラブル(第3部:マリユス)

◎読書会開催日:2021年4月23日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★★☆(9点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
長い。とにかく長い。これを読んでるときに常に思っていたのは『早よせーや』であった。挿絵があるからプラス1点。
 - 感想文:
後半の「▼特徴その② ~ 岩波文庫版は難解な表記が多い ~」の「ねんこ」「ぞっこん」「どんたく」の解説ギャグは難産だったが、これ、バカバカしすぎて面白い。だが、前半の『テナルディエの外見は「小林薫の100年後みたいな顔面」』については、まだなんか上手いこと言えたはずなので-1点。

李陵

◎読書会開催日:2021年4月30日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★★☆(9点)
◎読書感想文の評価:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
感想文においても触れた通り、本書『李陵』は「静寂の悲劇」であり優れた作品である。作中最後の歌も悲しさに満ちている。9点。
 - 感想文:
小説が良かったので真面目に解説してしまった。もっとボケろとコイツに言いたい。感想文に占めるボケのウェイトが少なすぎる。って感じで、あまりにバランスが悪いので4点。


日の出前

◎読書会開催日:2021年5月7日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
◎読書感想文の評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(0点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
非常に読みやすかった覚えがある。太宰治の小説はどれも読みやすい。余計なことをダラダラ書かない素晴らしい作家である。にも関わらず、これといった印象が残らなかったため-5点。
 - 感想文:
他の参加者の読書感想文と発想がモロカブリしたから0点。


雨蛙

◎読書会開催日:2021年5月21日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
志賀さん。これは『暗夜行路』の構想段階でしょうか。不足の感が否めない。3点。
 - 感想文:
落語の枕調に本書のあらすじを書いてみただけ。枕は川柳・狂歌から本題に導入するケースが多くこれは代表的なパターン。「雨蛙」→「あまがえる」→「女(あま)帰る」は思い付くまでに約30分を要したが、今振り返るとどうってことない発想。馬鹿かオマエは。2点。


レ・ミゼラブル(第4部:叙情詩と叙事詩)

◎読書会開催日:2021年5月28日(金)
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◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
相変わらず話が長い。挿絵ですら邪魔くさいと感じてきた。余談になるが、フローベールがレミゼを痛烈批判している文章を読書会主催者の方から教えて頂いたことを思い出した。流石フローベール。痛快である。
 - 感想文:
書くことがなかった。なので叙情詩と叙事詩を書いてみた。自作の叙事詩『オデュッ星矢』の <<薄雲のかかった夜空に月が浮かんでいたので彼はこうつぶやいた。『薄雲のかかった夜空に月が浮かんでいるなあ』と。>> はくだらなくて良い。一方、自作の叙情詩はというと、レミゼ側の叙情詩に比べて文章が短すぎるので双方の文章をリンクさせて書いた方がいい。つまり、レミゼをフリにして、お前がしっかりボケろ。7点。


ある心の風景

◎読書会開催日:2021年6月11日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★☆☆(8点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
私にとっての鬼門・梶井基次郎。読解甚だ困難なり。おそらく本書のカギとなる「投影」を念頭に置き読んだ。読んだだけ。私の能力不足を痛感。投影による作用だろうか、この小説には惹きつける何かがある。取り急ぎ8点。
 - 感想文:
この感想文は『喬陰茎切断願望説(タカシインケイセツダンガンボウセツ)』というフレーズを言いたかっただけであり、これを書くためだけに無理やり拵えた文章でしかない。これが私の限界だが、まあ読書会参加賞として1点。
 - 参考:
なお、今回の読書会に参加されていた青乃様の感想文↓は「投影」をさらに深めた非常にユニークな見解が述べられており必見である。
 ◎青乃様の感想文 →コチラ
 ◎青乃様の感想文(後記) →コチラ

トニオ・クレーゲル

◎読書会開催日:2021年6月18日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★★★★★☆☆☆(7点)
◎読書感想文の評価:★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
主人公の理想と現実を顧みての挫折が悲劇的とまでは言わないが寂しさが伝わってくる。あと、読みやすい&分かりやすいのが良い。ただ、感想文にも書いたがその後の主人公の人生に関する記載があってもよさそうなのに唐突に終わった感が否めない。7点。
 - 感想文:
「③批評的鑑賞」について、わざわざ漱石の『文学評論』を持ち出さなくても説明がつく話ではないか。まあくどいわこの人。アタシ・クドイ人・キライ。4点。

レ・ミゼラブル(第5部:ジャン・ヴァルジャン)

◎読書会開催日:2021年6月25日(金)
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◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
読み終えて思ったことは「古典の名作だからといって完全無欠の傑作とは限らない」である。1点。
 - 感想文:
冒頭に書いた <<「スーパーミラクル恋愛アドバイザー」という肩書きを持つ私がこれまでに成立させたカップルの総数は、三千八百六十二万二千九百五十八組という件数にのぼる。>> は良いのに、それ以外はダラダラと長い。ボケの所在も分かりにくい。失敗したオマエには2点。

賭博者

◎読書会開催日:2021年7月9日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★★★★★★☆☆(8点)
◎読書感想文の評価:★★★★★☆☆☆☆☆(5点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
これ面白い。頭のイカレタ奴らが多く登場する小説は総じて面白い。ドストエフスキーは「イカレ」を書くのが達者である。8点。
 - 感想文:
中盤に記載した <<根拠なき自負の幻影(=チャンス様)>> というのは上手いこと言った。他は平凡。感想文末尾の <<といったことを考えながら、(中略)父は私の通帳カード類を焼き捨て、母は静かに泣いていた。>> のパターンにもいい加減飽きた。ずっと平凡。5点。

潮騒

◎読書会開催日:2021年7月23日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★★★★★★☆☆(8点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
よみやすい。わかりやすい。直球のストーリー展開にも関わらず何故か飽きず、かえって清々しい。8点。
 - 感想文:
タイトルの『変人五衰』は、『豊饒の海』の第4部:天人五衰から取ったもの。本書『潮騒』も良いが『豊饒の海』シリーズも良い。ただ、第1部:春の雪、第2部:奔馬ぐらいまでは非常に面白いのだが、第3部:暁の寺あたりから雲行きが怪しくなってきて、第4部:天人五衰に至ってはだめだこりゃ……という印象であった。左記の根拠は別途どこかで。で、感想文はというとやる気がなかったのか、当たり前のことしか書かれていない。1点。

黒い雨

◎読書会開催日:2021年7月31日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★☆☆☆☆☆☆(4点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
やはり全編を通して陰惨ではあるものの、最後は前向きに終わったのが救いか。とにかく暗い。複雑な要素が絡み合って暗いのではなく、原爆一点張りの暗色である。4点。
 - 感想文:
私の感想文の性質上、戦争文学との相性はメチャクチャ悪い。そのため、『黒い雨』読書会に参加すべきか迷ったが一応感想文らしきものを無理やり書いて提出した。で、戦争の話には一切触れず飯の話でお茶を濁しただけ。参加賞で1点。

斜陽

◎読書会開催日:2021年7月31日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★☆☆(8点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
よみやすい。わかりやすい。太宰治は要らんこと書かない優秀な作家だとつくづく思う。お母さまの様相が変化していく過程が目に映るように捉えられる。なぜなら、要らんこと書いてないから。8点。
 - 感想文:
お母さまの放尿と市長の金メダル噛みの連結が弱い。『放尿に学ぶ処世術のご紹介』というインパクトのあるタイトルにも関わらず、本文の処世術が要領を得ない。いわゆる肩すかしといったところか。タイトル(1点)+参加賞(1点)=合計2点。


高慢と偏見(上巻)

◎読書会開催日:2021年9月3日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★★★★★★★★(10点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
よみやすい。わかりやすい。登場人物は多いがそれぞれの特徴がはっきり表れていて飽きない。会話が軽妙&洒脱&皮肉&ユーモア満載でありそれでいて不自然なところもなく、まあスラスラ読める。皮肉屋が展開するユーモラスな会話というのは傍から見ていて痛快である。10点。
 - 感想文:
どうみても手抜き感想文。理由は、上巻だけでなく下巻を交えた作品全体の感想文を書きたかったから。読書会参加賞1点おめでとう。


うらおもて人生録

◎読書会開催日:2021年9月10日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★☆☆☆(7点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
色川氏の優しい語り口による人生のアドバイスは一見して信頼に足るものだが、取捨選択の余地が若干残る。つまり、適用できないケースがあるということ。これは私固有の問題なのか、色川氏の考え方が2021年現在とマッチしてないのか、いずれにせよ判定が難しいのだが、色川氏の持論には適用困難なケースが(多少ではあるものの)見受けられる。そこを-3点減点して計7点。
 - 感想文:
この図、すんごいわかりやすい。図解のおかげで読む気力が湧く。それでも、麻雀を知らない人にとってピンとこない箇所が後半部分に多い(-3点)。一見して精神論にも見える色川氏の考え方を麻雀に適用していてふと思ったのは、精神論ではなく緻密に計算された理論めいたものがあるのではないか、という憶測。

高慢と偏見(下巻)

◎読書会開催日:2021年9月17日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★★★★★★★☆(9点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★☆☆☆(7点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
上巻と同様、非常に面白い。ただ、大甘なラストに関しては、読む者の好みの問題はあるにせよ若干甘すぎる様に思う(-1点)。
 - 感想文:
よく整理されており読みやすい。ジェーンに関する人物評価が深められてない(-1点)。というか、コイツの結婚観について私は興味がない(-2点)。


三四郎

◎読書会開催日:2021年9月24日(金)
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◎課題図書の評価: ★★★★★★★★★★(10点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★☆☆(8点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
文句なしの傑作。よみやすい&わかりやすい。群像劇の側面としても面白く、作品通して一貫されたある思想についても常に関心を引かされる。ラストシーンの stray sheep, stray sheep も印象的で良い。また、ありとあらゆる箇所に張りめぐらされた伏線が見事に片づけられている。この小説には欠陥が見当たらない。欠陥があるとすれば文庫版表紙の美禰子の顔がブサイクなことぐらいか。そしてやっぱり!漱石は会話を書くのが非常に上手い。特に女性のセリフは違和感一切なし。10点
 - 感想文:
美禰子が「森の女」ではなく「迷羊」である、とした根拠が弱いのでもう少し説明しろ馬鹿野郎(-2点)。あとは問題無し。 

古都

◎読書会開催日:2021年10月1日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★★★(10点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★★★(10点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
主観的な表記が多いにも関わらずなぜか引き込まれる(理由は不明)。これは傑作『雪国』も然り。生き別れの千重子と苗子、それぞれが背景にもつ自然を軸としながら邂逅を果たすも、話を読み進めれば進めるほど「苗子」という存在だけがなぜか「幻」かのように消えていくラストシーンは秀逸。それは雪の描写による効果、あるいは北山杉かそれとも京都全体によるものなのかは判然としないが、じわじわと悲しさがこみ上げてくる。冒頭で述べた通り、川端康成独特の表記はあらためて振り返ってもよく分からなかったが、いずれにしても言えることは、この小説には魔力がある。10点
 - 感想文:
千重子と苗子の関係性を「春の花」「冬の花」になぞらえながら非常に上手く解説できている。「北山しぐれ」は、自身を「幻」と称した苗子の象徴である、とは見事なり。いつもの <<といったことを考えながら>> のギャグも小説との関連性が深くマナカナという今更感のあるネーミングチョイスも良い。各説明の根拠も過不足無し。
お、お、お前…… やればできるやないか!!!!!!!!この感想文は傑作や!!喜べ!!お前には10点くれてやる!!

城のある町にて

◎読書会開催日:2021年10月8日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★☆☆☆(7点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
我が鬼門・梶井基次郎。これもやはり『ある心の風景』と同様に、心象および投影を念頭に置いて読んだが要所要所で難航した。読み違えこそ無いとは思うが、作中の様々な事柄を通して「感傷」が浮かび上がっている効果を加味して7点。
 - 感想文:
タイトルに『屈辱の読解断念記』とある通り、読解に難航したため中断した駄文。参加賞1点。
 - 参考:
また、今回の読書会で優れた見解として紹介したいのが、読書会主催者の感想文↓である。
 
 ◎主催者の感想文はコチラ
 
上記の感想文冒頭における、
「2.024 Substance is what exists independently of what is the case. (実体は何が事実として成立しているかとは独立に存在するものである)
「2.025 It is form and content.
(実体は内容と形式からなる)
というウィトゲンシュタインによる二つの命題を援用して、本書『城のある町にて』の難関である「感傷」を見事に読み解いており、はっきりいってこの感想文は「梶井基次郎短編集」の解説ページに全文掲載しても支障は無いと思える程の一品。

妄想

◎読書会開催日:2021年10月22日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
ほぼ記憶にない。自愛が込められたお爺ぃの回想録だったか、いや忘れた。それぐらいの印象。3点。
 - 感想文:
この感想文は酒を飲みながら書いた。タイトルに『雑感彩々』とある通り、飲みながら思いついたことを点々と書いただけでありこれといって特筆すべき点はない。参加賞1点。

山科の記憶

◎読書会開催日:2021年10月29日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★★★☆☆(8点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
ほぼ記憶にない。繰り返しになるが、『暗夜行路』で全てカバーできる内容だった気がする。それぐらいの印象。3点。
 - 感想文:
この感想文、面白い。「馬鹿みたいなテンプレートを使って鬱陶しい文章をダラダラ書く」というコンセプトが良い。コイツ、また腕上げたな。これからもこの品質を保てよ。やればできるんだから。ただ、ストーリーへの言及が少ないので-2点減点して合計8点。


蟹工船

◎読書会開催日:2021年11月12日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★☆☆☆☆(6点あるいは0点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
『蟹工船』は賛否ある作品かなって思う。これに関しては感想文でも触れたが、もし仮に、この作者が読者をある思想に扇動しようとする意図の元にこの小説を書いたとしたら言語道断、0点でいい。政治経済思想等々、そうした主義主張はそれ相応の場でしかるべき手続きを踏んで展開すべきであり、どうしても『蟹工船』を用いなければならないのなら論文に挿入すればよい。作者存命当時の時代がそれを許さないのであればまた別の手段を講じればよい。小説は所詮小説である。よって、この小説、各個人が独立の精神を学ぶのであれば読む意義は大いにある(6点)。
 - 感想文:
この本は視点を変えると二通りの読み方があるからそれを前後半に書いといたよー、っていうだけの注意書きでしかないのでお前は2点。

食魔

◎読書会開催日:2021年11月19日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★☆☆☆(7点)
◎読書感想文の評価:★★★★★★☆☆☆☆(6点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
こんなの1時間で読み終わんだろ、とナメた態度でかかったら4時間かかった。読みづらい。かの子氏についていけない。中盤の回想部分がとにかくダルい(-3点)。ただ、回想録後は一気に面白くなる。最終場面の「無限に降るあられむさぼり食う闇」とは常人の域を超えた著者独自の優秀なフレーズなり。また、読書会の場において議論になっていた「最終場面における主人公の心境」について一言しておくと、ラストの << 鼈四郎のまぶたには今まで見たことの無い露が一粒光った。>> を私は前向きなものとして捉えた。理由は、芸術と決別して自分らしく生きんとする決意が見られたからである(※感想文の後半に記載の通り)。
 - 感想文:
作中に登場する料理を再現、っていう発想は実践的でなかなか良い。ただ、「料理再現のくだり」を「▼結果報告」に生かしきれてない。ちょっと強引過ぎたか。-4点して合計6点。

月と六ペンス

◎読書会開催日:2021年11月26日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★☆☆☆☆☆☆☆(3点)
◎読書感想文の評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(0点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
長い。天才画家がイカレタ奴ってのは分かるが、絵の凄さが伝わってこないなーと読書中ずっと考えていた(3点)。
 - 感想文:
この感想文は泥酔状態で書いた。このクズ人間はダラダラと何を書いているのか。あらためて読んだがお前カスみたいなエピソード連発しとるやないけオッサンこら待たんかい!待たんかーい!これぞまさしく酩酊乱筆駄文お粗末。文句なしの0点。

幇間

◎読書会開催日:2021年12月3日(金)
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◎課題図書の評価: ★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
◎読書感想文の評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
幇間という職業を紹介した文章。特段な展開はない。また、語り手が「ですます調」である必要性はない。「である調」であっても雰囲気が損なわれることはない様に思うが、何か意図があってのことなのか。誰かに宛てた書簡文と仮定しても、書簡である必要性が見当たらない。とにかくそれぐらいしか印象に残らなかったので2点。
 - 感想文:
当たり前のことしか書かれていない。「オチン ( 中略 ) 」「パイオツ ( 以下省略 ) 」という新ギャグだけが印象的な駄文。ギャグ開発の功労賞として2点。


外套と青空

◎読書会開催日:2021年12月10日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★★★★★★★★☆☆(8点)
◎読書感想文の評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(0点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
『白痴』と同様、徐々に現実がひらかれていく展開が良い。「キミ子の人形」も不気味で良い。ただ、物語の終わり方が著者の他の小説(白痴、いずこへ)と同様であるため、なにか別の示唆を与える引き際があってもいいのではないか(-2点減点)。
 - 感想文:
お、おっさん、お前、過去の感想文丸パクリしとるやないけ(0点)。あと、<<『堕落論』に詳しい>> ってせっかく書いたんなら「詳しい」で終わらせずにちゃんと具体的に説明しろ、あたし、優しくない人、キライ。

青年

◎読書会開催日:2021年12月17日(金)
◎感想文URLリンク:ココをクリック
◎課題図書の評価: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
◎読書感想文の評価:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆(1点)
 
▼各評価の根拠:
 - 課題図書:
長い。ダルい。わかりにくい。つらい。死にたい。死んでしまいたい。俺という生ゴミなんてこの世から消えてしまえばいいんだ。この本はそんな感じで読んだ。鴎外の父ッつぁんは『阿部一族』的な作品を書いて下さい。どうかお願いします。この私が直々にお願いしています。この私が。大作家であっても駄作は少なからず存在する。1点。とにかく長い。わかりにくい。
 - 感想文:
たしかこの感想文はベロベロに酔っぱらった状態で書いた。この餓鬼、やる気ないな。▼雑感①~▼雑感③はわざわざ取り上げて書かなくてもいい内容だから全カットでいい。▼雑感④にスポットを当てて、自身の不平不満をジョーク交えながら書けばなんとかなったはずなのに、やれ万歳思考プロセスがどうしただの、地獄がどうしただの、ドッグランがどうしただの…… 私いつも言ってるでしょう。酒飲みながら感想文書くなと。そんなお前には参加賞1点。

以上、2021年に開催された読書会における課題図書および読書感想文のセルフレビュー結果となる。

【セルフレビュー結果に関する所感】

▼課題図書:
この結果から、まずは課題図書に関して言うと、私は評価の主軸に「わかりやすいか?」「自然な描写になっているか?」を置いている。そのため『三四郎』は高得点である。例外は『古都』のみ。
また、ほぼ記憶に残っていない作品はその程度の印象しかないということでことごとく点数は低い。例えば、『ゴドーを待ちながら』はまさにそうであり、書籍を購入した記憶しかないのは残念である。

本レビューにおいても繰り返し述べてきたが、大作家であっても駄作は存在する。漱石にも芥川龍之介にもモーパッサンにもシェイクスピアにも駄作は少なからず存在する。私達も人間であり彼らも人間である以上、欠陥が無いわけがない。不運なことに読書会の場でそういった作品に遭遇しただけの話であり、著名な作家の小説だからとりあえず賞賛するというのは思考停止に陥ることと同義である。やはり小説は平等に読むことが肝心だと私は思っている。
 
▼読書感想文・その他:
次に読書感想文についてだが、「根拠が明確に述べられているか?」を念頭に置いて評価した。例えば、『罪と罰』読書感想文の評価は高い。一見、めちゃくちゃにも思えるこの感想文だが、椎名林檎の歌詞の注釈という体裁を取りながら一行毎に説明が記載されており理屈だけは通っているため、その点を私は評価した。

また、世に展開されている様々な文章を読むにつけ思うのは、根拠が述べられていないものがとにかく多すぎるということであり、なにかしらの主張がしたいならそこに至る経緯も加えて判断根拠を明記すべきである。根拠なき主張はただの詭弁にちる。根拠を度外視した主張だけを乱暴に書いていると気分が良い。手間も省けて楽チンである。言いたい放題のおかげで自分が偉くなった気さえしてくる。とまあTwitterを始めとするSNSが流行するのは左記の様な事情かと思われるが、誰かになにかを伝えたい場合、一番の近道は根拠を書くことである。納得に導けばいいのだから。

ここで、私の感想文の後半戦(10月以降の読書会)を見てみると、酒に酔っぱらった状態で書いているものが多く、それらの感想文はすべて0点~1点とした。別にこれは酒飲んで感想文を書く様なだらしないヤツには0点、ということではなく、明確な根拠が示されていない文章が多いからという理由に尽きる。私の場合は特にそうなのだが、酔っぱらっていると思考が鈍くなり、陽気な気分ではあるものの身体はなにやらだるいしとにかく眠い。となると、感想文は楽なほうへ楽なほうへと進路を変え、根拠の欠落したやりたい放題の詭弁満載の感想文になり果てる。そうして書き上げられた文章を読まされる側としてはこれ、地獄である。例えば、『妄想』『月と六ペンス』『青年』の読書感想文なんかがそれに該当しており、これは希代のゴミ感想文となっている。これに関しては反省しきりである。
というわけで、そういう失敗を回避すべく私は今後、絶対に酒を飲まずにシラフの状態で読書感想文を書くことにする。という努力をするための検討を見据えた準備に着手できそうならしないでもないこともない。

それでは最後に、ここまでに挙げたレビュー結果のサマリーを付記として以下に紹介して本稿の締めくくりとする。

【課題図書おもしろランキングベスト3】

特に完成度の高い小説三作品は下記の通り。

🥇第1位🥇:古都
        川端康成 著
🥈第2位🥈:三四郎
        夏目漱石 著
🥉第3位🥉:高慢と偏見(上巻下巻
        ジェーン・オースティン 著

【課題図書ワーストランキング3】

これはダメかなーと感じた小説三作品は下記の通り。

💀第1位💀:レ・ミゼラブル
        ヴィクトル・ユゴー 著
🤷‍♂️第2位🤷‍♂️:ゴドーを待ちながら
        サミュエル・ベケット 著
💔第3位💔:青年
        森鴎外 著

【読書感想文おもしろランキングベスト3】

特に完成度の高い読書感想文三作品は下記の通り。

🥇第1位🥇:ふたりっ子ちゃん
         ※『古都』感想文
🥈第2位🥈:頬を指す朝の山手通り
        セヴンスターの香り味わう如く
         ※『罪と罰』感想文
🥉第3位🥉:僕チャーリー
         ※『二人の友』感想文

【読書感想文ワーストランキング3】

これはクソ以下だなと感じた読書感想文三作品は下記の通り。

💀第1位💀:君、手抜きはやめなさい
         ※『外套と青空』感想文
🤷‍♂️第2位🤷‍♂️:屈辱の読解断念記
         ※『城のある町にて』感想文
💔第3位💔:月と六ペ●ス
         ※『月と六ペンス』感想文

【あとがたり】

私は課題図書を読む際、付箋ふせんを貼ることにしている。

決まって付箋を貼る箇所といえば「違和感を覚えた表記」であり、感動した場面、作品の欠陥部分には貼らない。そういう箇所は意外と脳裏に刻み込まれているもので、反対に違和感のある表記こそ直ぐに心の内から去っていくことが多いため、そうならないよう必ず付箋の助けを借り、読後に該当箇所を読み返すことにしている。

登場人物の引っかかる言動、地の文における意味深な表記、心理描写に対する素朴な疑問等々、数え上げればキリがない私の違和感。煩わしいがとりあえず付箋を貼っておく。すると読み返した際、そんな違和感は払拭ふっしょくされていることに気付く。
作品全体の構造を把握したことで過去の違和感が知らず知らずの内に整合されて腑に落ちていたのである。私は課題図書の読解はこれで決着をつけてきた。しかし、例外も多く存在する。例えば『城のある町にて』および『古都』は、今現在も大量の付箋が貼られたままであり、これは私の能力では解決できない事柄が多いため剥がすに剥がせなかったのである。

そうしたこれらの付箋は、読書会を通じて主催者を筆頭とする各参加者の知見を借りて剥がされることもあれば、反対に、参加者の知見を契機とした新たな「気付き」により追加の付箋が貼られることもある。
一冊の本をたった一人で読み解くのは過酷なもので、ともすれば独りよがりの自論に陥ってしまい誤った見識のまま解されている可能性もある。決してそれが時間の無駄とまでは言わないが、極力回避すべき問題であることには違いない。

今も大量の付箋が貼られたまま本棚にしまってある『城のある町にて』と『古都』。私は、数多く残るこれらの付箋を読書会参加者の皆と自らの手で一枚一枚剥がせていけたらこれ本望である。

といったことを考えながら、今年の読書会をあと少しだけ思い返してから今日は寝ることにする。

以上

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