オフィスの間仕切りを再考する〜M office project〜
同い年の社長からオフィスを新しくするから間仕切りをお願いと依頼された。様々な事業を行なっている会社で各々の社員が抱える書類等が膨大な量あるという。そこで一般的なオフィス家具を使用し暗く狭いオフィスになることを避けるよう計画を始めた。
業務形態として必要とされるスペースは〈執務室〉〈社長室〉〈応接室〉を分ける必要がある。それぞれを隔てる境界面は場所として区切るだけでなくそこに働く若い社員たちや書類こそこの会社の風景となるのではないかと考えデザインしていこうと考えた。
そこで昔から場所を隔てるのに使用されていた『屏風』を用いることによって、場所としてを区切るだけでなく風景を作っていこうと試みた。
〈東京国立博物館 類聚雑要抄 画像〉
屏風はかつて漢の時代に中国で生まれたとされており、風除けの道具として使われていた。その後日本では、飛鳥文化時代に朝鮮半島を経由して屏風が伝わってきた。このとき伝えられた屏風は、複数の衝立を綴じ紐で繋いだだけの簡素なものであった。近世にかけて、唐絵や、日本画でも大和絵、水墨画、文人画など多くの屏風絵が描かれた。屏風絵は安土桃山時代から江戸時代にかけてどんどん芸術としてその地位を高めていった。屏風は折った状態で鑑賞することを前提で制作されているため、折ることで絵に立体感が生まれ、さらに正面から見るだけでなく左右に視点を変えることで絵に変化が生まれ、見る人によって様々に楽しめるよう工夫されていった。
〈屏風 画像〉
『屏風』という間仕切りを要求されている大量の資料を収納できる『棚』で構成する『屏風棚』で全体を間仕切っていく。
そこに働いてる人やこの会社に訪れた人たちが日々変化する風景を楽しめる空間を目指す。複数の素材同士が、時間の経過と共に自然と関係し合うことになる。
この一年を通して“距離感”というキーワードが当たり前になってきた。
ソーシャルディスタンスを保つのはもちろんのこと、そういった中でも新たなオフィスの風景が生まれるのではないか?といった試みでもある。
建築ユニット TAS
辻川巧(建築ユニット TAS)
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