詩人・竹中ゆうすけ

'93年生まれ;愛知県出身;夢は、文芸を始めとする芸術を以て、人類の恒久平和…

詩人・竹中ゆうすけ

'93年生まれ;愛知県出身;夢は、文芸を始めとする芸術を以て、人類の恒久平和を実現すること;全篇全文無料公開中;随筆も執筆中ですが、今は未だ秘密;[連絡先]qlgcuh27509アットマークme.com(;スマホ横画面推奨);★英詩

記事一覧

詩382 純白の自室

自室の窓から空を眺めた 胸中の様相とは裏腹に 遥か先まで蒼く澄んでいる 「難しく考えるな」との 私には役立たぬ助言が 虚しい大人の手に握り潰され クシャクシャ 私…

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詩381 悲しみに代わる景色 ~ 神をたぶらかすTに向けて

海の路傍 嘆きに暮れるTの霊魂は 朝暮に揺蕩う……… 〈悲しみ〉に代わる言葉を探しながら いつの日も 勝るのは面倒臭さの方 天上の園は いくら手を伸ばしても Tには…

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詩380 魔

美しく継がれる説話は凪で始まる それでも 松かさは桜の魔術に爆ぜ 言葉尻がプツプツ 途切れてしまう 解れた内臓を孕む魔物に 急な用事を捌く余裕はない ──── 胸に刻…

詩379 海の心臓

海の心臓の表皮に浮かぶ小舟 ざぁざぁざぁ 漂う プチャプチャプチャ 揺蕩う とめどなく上下する天と地が 世界の始まりと終わりとを掻き混ぜる いろどり豊かな夏の星々を …

詩378 心の噴火

歩いて 歩いて 空に向かって叫ぶ 「あぁああぁあぁ!」 と 言葉にならない 心の噴火 自分の内と 空だけに 響く この胸の奥は 蒸れて痒い 走って 走って 雲をバラバ…

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詩377 犬とベンと要らない信頼

「グルルルゥ………」 犬がベンを嚇かした 足の裏の中心にあるホクロに反応して 叶わぬ富を忘れようとしたらしい 減速するボーリング玉をかかとに載せれば ベンの胸を裂…

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詩376 暮れる秋が聞かせた声

自分が本当にいたい と思うところへ向かって 私は数々の「今日」を歩いてきたのでしょうか。 煩わしい言葉を耳元で囁かれたら 瞬時に私の冷静さが奪われる。 夕刻は青空を…

詩375 車を持たない訳

私は車を持っていない。 移動することは 未知の老化現象に花を添える。 悲しい振りをしたヒビ割れは 家の庭の鉢植えに 今朝 刻まれたもの 車を持っていないということは …

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詩374 涙越しの三日月

久しぶりに筆を執る その手が震えている。 鈍さを重ねた感覚のため 誰かの言葉に 思わず すがりたくなる けれども 自分の求める言葉は 既に内で輝いているものだ。 た…

詩373 短詩輯21

6 - 51 「何なんだ、この現実は!」と叫んでスパークした無表情の語彙力。掻き消されたり散らかされたりして、愉快な珍味 6 - 52 冬の朝の押しくら饅頭、誰も泣かない笑…

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詩372 短詩輯20

6 - 25 大都会は情報過多で目まぐるしい。目も耳も鼻も疲れるから頭も疲れる。というので、身体の所々が、次々と疲れてゆく訳だ ──── 便利さに満たされるばかりなのは…

詩371 短詩輯19

5 - 97 人それぞれ話をするペースがある。眼前の人その者を尊重するとは、話を遮らず最後まで聴いて漸く言えること。いいたがる、だから、聴きたがらない。「ベラベラ」も…

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詩370 短詩輯18

5 - 70 夜に一人で寂しくなったら、あなたは恋人に連絡するのですか? 5 - 71 私より幸福な人はいまい。同様に、私より幸福でない人もいまい 5 - 72 自分と上手に付き…

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詩369 短詩輯17

5 - 43 夕闇が薄暮に溶けゆく頃、曽我丘陵のシルエットが、凛として勇んでいる。黒く歪な曲線が、私のほぼ真ん前で東西にうねる 5 - 44 私には怖がるものは、一切ない …

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詩368 短詩輯16

5 - 16 現代人は急かされることに慣らされ、急ぐことに疑いを持たない。何にそれほどまで追い立てられるのか。急かされることに無頓着なことは虚無を定義し、急ぐことに順…

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詩367 短詩輯15

4 - 89 満月と/創るに励む/神無月/息苦しさも/誰かに届く/形に変わり/胸が悴む 4 - 91 自分のために生きること、それが世界を変えてゆく ────「何でコレがで…

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詩382 純白の自室

詩382 純白の自室

自室の窓から空を眺めた
胸中の様相とは裏腹に 遥か先まで蒼く澄んでいる
「難しく考えるな」との 私には役立たぬ助言が
虚しい大人の手に握り潰され クシャクシャ

私の双脚がこの身心を充分に支持してくれるなら
どうして人生の伴侶など 必要になろう
寂しさの種類に関わりなく 私一人で十分に対処できるなら
独り身であることは 至極妥当な選択になるだろう

人には感情の暴れて対処し兼ねる瞬間が多く
そうい

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詩381 悲しみに代わる景色 ~ 神をたぶらかすTに向けて

詩381 悲しみに代わる景色 ~ 神をたぶらかすTに向けて

海の路傍
嘆きに暮れるTの霊魂は 朝暮に揺蕩う………
〈悲しみ〉に代わる言葉を探しながら

いつの日も
勝るのは面倒臭さの方
天上の園は いくら手を伸ばしても
Tには ただ拝むだけの場所

灯が照らし出す敗者
勝負で蒙った後遺症で
鼻を詰まらせて微熱(辛うじて息は通る。)
夢の匂いは次第にぼやけ
沸々として限りないものに思われた胆力も 徐々に枯れてゆく
けれども 置かれっ放しの夢は
腐らず飽きず 

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詩380 魔

詩380 魔

美しく継がれる説話は凪で始まる
それでも
松かさは桜の魔術に爆ぜ
言葉尻がプツプツ
途切れてしまう

解れた内臓を孕む魔物に
急な用事を捌く余裕はない
──── 胸に刻まれた一節が
ひとたび
季節を越えると
耳に残らぬのに似て

「カワイイ」と持て囃されるアイコン等によって
簡略化された嗟嘆辞は加速する

社会の踝の内側:隠された声帯が不気味に震える場所

*** *** *** ***

星は有

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詩379 海の心臓

詩379 海の心臓

海の心臓の表皮に浮かぶ小舟
ざぁざぁざぁ
漂う
プチャプチャプチャ
揺蕩う

とめどなく上下する天と地が
世界の始まりと終わりとを掻き混ぜる

いろどり豊かな夏の星々を
ミキサーに掛けて振り散らすと
カラフルな魔法が大気に溶け出す

* * * * * * * * * *

じわっと沁みてくる
拠り所は要らない
という幸せ
髪を乾かす間とか
起きたあとに顔を洗う間とか
家を発って外を歩く間とか

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詩378 心の噴火

詩378 心の噴火

歩いて 歩いて
空に向かって叫ぶ
「あぁああぁあぁ!」 と
言葉にならない 心の噴火
自分の内と 空だけに 響く
この胸の奥は 蒸れて痒い

走って 走って
雲をバラバラに裂く
「あぁああぁあぁ!」 と
大声の散りゆくほどに 心の火花
いつ振りに 見たろうか 陽射しが痛く眩しい
目の前のマシュマロが また今日も我慢できない

跳ねて 跳ねて
山を舞う如く越えてゆく
「あぁああぁあぁ!」 と
力を入

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詩377 犬とベンと要らない信頼

詩377 犬とベンと要らない信頼

「グルルルゥ………」
犬がベンを嚇かした

足の裏の中心にあるホクロに反応して
叶わぬ富を忘れようとしたらしい

減速するボーリング玉をかかとに載せれば
ベンの胸を裂く「死にたい」が加速する

カリカリと前歯で囓った干し梅を用いて
水平線の両端を見付け
結晶化しようと試みている

このところベンは
旧友からの“信頼”を失い掛けている

緊迫した草原の上の闘いに
ドロドロとした風が熱狂を加えた為

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詩376 暮れる秋が聞かせた声

詩376 暮れる秋が聞かせた声

自分が本当にいたい
と思うところへ向かって
私は数々の「今日」を歩いてきたのでしょうか。
煩わしい言葉を耳元で囁かれたら
瞬時に私の冷静さが奪われる。
夕刻は青空を橙色に染めながら
淑やかな紫色に暈してもゆく。
不急の足取りのなかで
低木に成っている赤い実を発見した。
手に取ると分かる艶やかなその実は
日中に手の噴いた脂を弾くかの如く皮が照っている。
この身に起こる出来事は
悉く私と私の周囲とを惑

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詩375 車を持たない訳

詩375 車を持たない訳

私は車を持っていない。
移動することは
未知の老化現象に花を添える。
悲しい振りをしたヒビ割れは
家の庭の鉢植えに
今朝
刻まれたもの

車を持っていないということは
車の鍵もまた持っていないということ。
人の脂はクランクシャフトによる回転のための燃料には使えないから
身体の酸化は神が温存するプログラムにおいて
まさに
動機と同意である

心が人にあって機械にないものだとしたら
どうして惚けたヒビ

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詩374 涙越しの三日月

詩374 涙越しの三日月

久しぶりに筆を執る
その手が震えている。
鈍さを重ねた感覚のため
誰かの言葉に 思わず すがりたくなる けれども
自分の求める言葉は 既に内で輝いているものだ。
ただ
それら 内なる言葉の数々は
やはり 鋭く
手が痺れそうだから 触りづらい。
こういうときばかりは
自分の強みである〈優しさ〉が仇となる。
この躰に鞭を打ち 苦労を塗りつづけ 必死になる私は
何を求めるからか。
年の瀬の喧騒に耳を塞ぐ

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詩373 短詩輯21

詩373 短詩輯21

6 - 51 「何なんだ、この現実は!」と叫んでスパークした無表情の語彙力。掻き消されたり散らかされたりして、愉快な珍味

6 - 52 冬の朝の押しくら饅頭、誰も泣かない笑わない、何もいわない冷やさない:鉄箱のなかの密集地蔵

6 - 53 コンカフェの女の子が配るティッシュをもらうのがものスゴく恥ずかしくて、距離を取りつつ会釈だけして通り過ぎる;一人の男の行く道に、満を持して差し出された腕は

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詩372 短詩輯20

詩372 短詩輯20

6 - 25 大都会は情報過多で目まぐるしい。目も耳も鼻も疲れるから頭も疲れる。というので、身体の所々が、次々と疲れてゆく訳だ ──── 便利さに満たされるばかりなのは相応の各種エネルギーを知らず識らずに換えているから、ということに気が付きたい

6 - 27 上質で高遠な芸術を目に給するに、都会へ出て人波に揉まれ、廉くない代金を払って味わうのが主流の鑑賞様式ならば、この実情は誠に認め難い ───

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詩371 短詩輯19

詩371 短詩輯19

5 - 97 人それぞれ話をするペースがある。眼前の人その者を尊重するとは、話を遮らず最後まで聴いて漸く言えること。いいたがる、だから、聴きたがらない。「ベラベラ」も,「ボソボソ」も、話す速さはどうであれ、喋り様はその人を如実に物語る

5 - 98 人に憤怒する人は〈脳のない人〉;怒気を人に打つけるしか方途の浮かばぬ人は〈無能な人〉;感情を抑制するを人たる“道具”を以て行う人は〈塵埃に等しい人〉

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詩370 短詩輯18

詩370 短詩輯18

5 - 70 夜に一人で寂しくなったら、あなたは恋人に連絡するのですか?

5 - 71 私より幸福な人はいまい。同様に、私より幸福でない人もいまい

5 - 72 自分と上手に付き合えない人は、誰とも上手くやって行けない。反対に、自分と上手に付き合える人は、誰とでも上手くやって行ける

5 - 73 神を信ずると固く決めても、胸中のどこかで神を見縊る私………是の訓示とは、原罪は一生を懸けて贖いつ

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詩369 短詩輯17

詩369 短詩輯17

5 - 43 夕闇が薄暮に溶けゆく頃、曽我丘陵のシルエットが、凛として勇んでいる。黒く歪な曲線が、私のほぼ真ん前で東西にうねる

5 - 44 私には怖がるものは、一切ない ──── 神様の我が内におられ、その御業の完く働くなかに在りぬるを思えば

5 - 45 年歳を超え信仰について師と語り合った日の臥床前、疲れを感じるほどに、私は誰かに「愛している」といいたい。そして直感する:人生の最後の日に

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詩368 短詩輯16

詩368 短詩輯16

5 - 16 現代人は急かされることに慣らされ、急ぐことに疑いを持たない。何にそれほどまで追い立てられるのか。急かされることに無頓着なことは虚無を定義し、急ぐことに順応することは無力を暗示する ──── 我々の長年の歩みのなかで

5 - 17 経験とは、得手を獲得することのみならず、不得手を認知することもまた、その効用である。自己を知ることにおいて最も有用なのは、経験を通じて、である。真理への接

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詩367 短詩輯15

詩367 短詩輯15

4 - 89 満月と/創るに励む/神無月/息苦しさも/誰かに届く/形に変わり/胸が悴む

4 - 91 自分のために生きること、それが世界を変えてゆく ────「何でコレができないんだ」とか、嘆く前に

4 - 92 今日も一日を上手く終えられるか、という不安をまとう朝に、空へと食い込む銀杏の、一本の喬木が、落ち葉を舞わせ、暖冬に凪を据えている。今朝はいつもより、見知らぬ人たちの様子が、期せずして

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