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詩368 短詩輯16

5 - 16 現代人は急かされることに慣らされ、急ぐことに疑いを持たない。何にそれほどまで追い立てられるのか。急かされることに無頓着なことは虚無を定義し、急ぐことに順応することは無力を暗示する ──── 我々の長年の歩みのなかで

5 - 17 経験とは、得手えてを獲得することのみならず、不得手ふえてを認知することもまた、その効用である。自己を知ることにおいて最も有用なのは、経験を通じて、である。真理への接近または同化を目指すか試みる者において、経験はこれの細部に亘って軽んじない。寧ろ、その細部をば重んじる

5 - 18  ”みんな“の視線がどこへ向かっているか分からない。私には日常に埋没しているようにしか、どうしたって見えない。“みんな”はどこに生き、どこへ行こうとしているのか、あるいは帰ろうとしているのか………皆目分からない ──── たとえ、先方でも同様に、はっきりしなかろうが………

5 - 19 正論によって、泣かされる。正論は弱さの盾となって誰かを守り、同時に(近くの)誰かの口を塞ぐ。正論は無尽蔵に、強いというよりも乱暴で、無慈悲で鋭利な凶器である。“正しさ”は人の心を殺す力がある。しかし、それらは、悉く、そして畏れ多くも、神の見せる業である

5 - 20 毎日休まず同一の家屋へ出入りし、心身の多くを(、しばしば要らぬものまで)消費し、疲れ果てては短時間の睡眠を甘受する日々。不条理が押し付ける苦悶のなかで、私が勤め人に向いていないことを、じっくりと悟る。この恵みの、大いなる喜びといったら………あゝ

5 - 21 お金が十分になく困窮する生活もまた、神様から賜る大いなる恵み

5 - 22 社屋の階段を上がる。ゴツゴツとした山々の向こうにとつとして構える富士の峰。雪の衣をまとって麗しい姿は、凛としている ──── この目に勇ましく映る;まるで、ちっぽけな一体の人間を、絶えず、しめやかに鼓舞するようだ。私は只今、会社員

5 - 23 私は幸福である:ここに永遠に、神様がおられるのだから(胸に両手を重ねながら言おう。)。そのことを幸福と言わずして、一体、何というのか

5 - 24 日常は、恐ろしいほど単調に、怖いほど淡々と、途切れずに訪れる。私はこれに、易々と抵抗できない

5 - 25 陰口を叩き合うのでなく、好いところを見付けて褒め合いたい。私たちはその特長を養い育て、互いに認め合いたい。幸福は探すものとするのでなく、既に己の内にあると気付くものとしたい。自分の心を鋭く見詰めるほどに、他者の心が見えてくる。決して、その逆ではないのだ

5 - 26 信じることで心は軽くなる、不安は減る。世界で一番大切な人は、誰よりも自分だ。私は一所懸命やっている。私の有りさまは美しいのだ!

5 - 27 悲しいならそれを言葉にするしかない:放っておけば内側で朽ち、異臭を漂わすだけだから

5 - 28  「本日」は、ひっくり返せば「日本にっぽん」だ。それが何かと言われれば、風に吹かれるまで

5 - 29 自分を癒せるのは自分しかいない。いつだって、ゼッタイ勘違いしてはいけない癖に、私はよく、それを忘れる。沼で足を汚し、沢で洗ってはまた嵌まる………そのことの繰返し

5 - 30 以下の事柄、とある中華食堂にて:何の気持もこもっていない「ご注文お伺いします」「以上でよろしぃですかー」という棒読みが当然の如し;頼んだ餃子の運ばれるは男臭いカウンター席;仕切りによってせばまるスペース一人分では肘をついて食事するのが楽 ──── 行儀の善悪を評して口挟む者は一切おらず

5 - 31  「ありがとう」と頭を下げられる姿、なんて美しいのだろう。あなたの姿を、私も素直に見習いたい

5 - 32 自分のことが大好きな〈今〉を、私は生きている ──── いつだって変わらぬ心掛け。その〈今〉に集中すべきことは、どのときも断じて忘れまい

5 - 33 今のこの孤独の苦しみも、他のあらゆる事柄と同様に、主神が、私を含めた命を養い育てるために準備された試練。これを喜んでお受けすることこそ、真なる信仰であると思う

5 - 36 私はいつでも、前向きでドリーミーな仲間たちと、私たちの未来をどう造るかについて話し合っていたい

5 - 37 愛の欠乏から高まる向上心がある。ただ、それは偽かも知れぬが、ときに見上げるほどのものになり得るから、侮るべからず

5 - 38  「好き」と送って「好き」と返ってこない虚しさ ──── 心の空洞に自ら振り回される女に、私固有の優しさの為、またしても惑わされる

5 - 39 今日も未来に向かって焦り、自ら独り

5 - 40 時々の“今”を切り取れば、私は「私であろう」として自然である ──── 客観的に自身を見ることの難しさが………

5 - 41 陽光・ぽかぽか・春模様。サイクリングに打って付け。こんな日は、無性に金鍔が食べたくなる

5 - 42 生活する上での手段において労働が主である以上、仕事は決して楽しいものならず。存分に楽しめる仕事など、まず、あるはずがなく、呉々も期待してくれるな

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