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詩369 短詩輯17

5 - 43 夕闇が薄暮に溶けゆく頃、曽我丘陵のシルエットが、凛として勇んでいる。黒く歪な曲線が、私のほぼ真ん前で東西にうねる

5 - 44 私には怖がるものは、一切ない ──── 神様の我が内におられ、その御業みわざまったく働くなかに在りぬるを思えば

5 - 45 年歳を超え信仰について師と語り合った日の臥床前、疲れを感じるほどに、私は誰かに「愛している」といいたい。そして直感する:人生の最後の日に「生きた!」という心地を得、きっとそれの、この上なくかぐわしいだろうことを

5 - 46 自分のことが好きでいられる満足感,神様に愛される喜び。それらを上回る幸せなど、最早どこにもない!信仰とは深めれば深めるほど幸せを実感できるものであり、当人の時々の境遇などは、これにまったく関与しない

5 - 47 そう簡単に人生は行かぬから、手を取り支え合う仲間が必要だ

5 - 48 心的独房への恐れから、人を求めて彷徨さまよえば、善の関係など築き得ない

5 - 50 たとえ、酷く辛いことを長く経るに至ったとしても、終わりにはいつか必ず辿り着けるのであり、そうなってみれば、束の間のことであったようにも思えよう。であるなら、私は今このときを、苦しみ尽くすことはできているか

5 - 51 自分は駄目ではない。自分は自分のままで好い、変わろうとなどしなくて好い。責めるべきことは何一つない。私の存在価値は永久に不変だ

5 - 52 自分にしかない価値を信じ抜いて大切に守り通す先に、自分という存在の絶対化がある

5 - 53 人生において取り組むべき仕事は〈自分でいること〉、ただそれだけだ。そして人は,〈自分でいること〉だけが、できる唯一のこと:自分以外の存在になることは、断じてできないから

5 - 54  「この人を褒めたらどう応えるんだろう。」そう思える人をこそ、俄かに褒めたくなるものだ。褒められ足りない、愛の乏しい人にはらざりけり ──── 吸い取られゆくエネルギーの行方を思えば、途方を失う

5 - 55 現状への不満や疑いこそが、前進するモチベーションである。飽くことなく、自分のことを大切に………「自分の在り方が正しいのだ」と信じる強さを、私は求めつづける。私の心にとって安全な所へ行きたい、居たい。「安全な所」とはどこだ、どこにある!

5 - 56 すべての出逢い、関係に感謝すべき、とは随分なキレイ事 ──── いかにも偽善的でありながら人間的

5 - 58 私たちは神の名によってしか、生きることはできない。私たちにとって犯し得る罪は、たった一つしかない。それは、人を見ているということ。罪のない姿とは、すなわち、己を見ているということであり、己の内にあられる神を見ているということである

5 - 59 私が人に嘗められているのではない。私が神を嘗めているのだ。人を恐れるのでなく、神を畏れよ

5 - 60 帰宅中に感知する空腹は、一日の健闘を証している

5 - 61 男にとって性交は、射精してからが本番だ

5 - 62 夜気のなかを漂泊する。疲労をしょわされチョコをむとき、私は束の間の安穏あんのんを得る

5 - 63 世界はどこにでもつながっている。私はどこへだって行ける。永遠に私は孤児ではない。人生はどうしてこれだけ楽しいものなのか

5 - 64 心に感じることを、あらゆる形で残しておきたい。慰労のために足を伸ばした箱根までの個人的旅は、まるで誰かに連れてきてもらっているような………やや上目遣いに構える山々は、撫でたらモサモサ、抜群そうな肌触りに手は落ち着かない

5 - 65 どんなに輝かしい時代性を飾り付けようとも、やがては朽ちて剥がれ落ちるもの。それでも残り得る芯とは、如何なるものか ──── おのが内に御座す神を通じ、眈々たんたんとして思い巡らす

5 - 66 色鮮やかな登山列車を降りて離れ、苔生す園に静寂の歩を差し出す………クールなカップルが淑やかに闊歩する;煮立った小虫こむしが限局的に蒸散する ──── 趣向に垢抜けた観光地が故の、控えめな喧騒が、冬の最中さなかにもうららかな空気を、却って粛然とせしむ〈素朴な街・箱根〉

5 - 67 いつも誰かとつながっていなければならない煩わしさ、鬱陶しさ、忌ま忌ましさ。「安否確認」という面を被った正論が、意表を突くように私を襲う

5 - 68 昔も今も将来も、神のいざない給いた御国みくにを旅している ──── 世の物理からして、私という存在は甚だしく小さかろう。しかし、これほど眩しく輝く宝が内側に確然としているのを悟るとき、力は漲る

5 - 69 行政機関は実力を以て如何に国民を“管理”するか・企業は規律を以て如何に社員を“管理”するか・親は拳をば下ろしもする躾を以て如何に子を“管理”するか、これらが謬論でなくて何であろう

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