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詩370 短詩輯18

5 - 70 夜に一人で寂しくなったら、あなたは恋人に連絡するのですか?

5 - 71 私より幸福な人はいまい。同様に、私より幸福でない人もいまい

5 - 72 自分と上手に付き合えない人は、誰とも上手くやって行けない。反対に、自分と上手に付き合える人は、誰とでも上手くやって行ける

5 - 73 神を信ずると固く決めても、胸中のどこかで神を見縊みくびる私………これの訓示とは、原罪は一生を懸けてあがないつづけなければならぬということ。しかし、何と喜ばしく、また畏れ多いことだろう ──── 神は断じて罰することなく、見放すこともなく、永遠に私を咎めないで、常にいてくださっているのだ!

5 - 74 仕事から帰宅したあとに、スイーツを食べる一時いっときが極楽で、これを私はいつまでも味わっていたい。だから、食べ終わってもずっと容器からペロペロすくっている私は、愛犬が、家族の食事の残りをあげたのを、延々と舐め取っていたのと同じ。あの子の想いを、今になって実感する:とうとう、一緒の心になれたのだと!

5 - 76 今日もまた、霞む富士が晴れ渡る空の下に凛々しい。これほど近くに臨める地に暮らしたことは、嘗てなかった

5 - 77 この世界は、想像するよりも遥かに、優しさで充ちている。このことに紛れはなく、知っているか否か………もしもあなたがこの世界に絶望しているのなら、あなたのこれまで見てきた世界は未だ本の一部であるということ。今のあなたには、未知である世界の広さを、ここから知るという楽しみが、現に残されている

5 - 78 人には、それまで接してきた人等の真似をすることしか、成しることがない。ただし、内千分の一についてのみ、まったく違う論理からの、諸々の発想や言行が可能である。全人類の文明をば、今日こんにちの段階まで推し進めてきたのは、その僅差に他ならぬ ──── 少許しょうきょの歩程こそ、神のエキスが成すものである

5 - 79 集中的に自宅を掃除して体を動かす。部屋が少しずつキレイになる;多少の汗をかく。嬉しい、気持好い、この一日。

5 - 80 現今の時代にあって、たった一つの道を歩むことの陳腐さ、危うさ。他方、手段は多角的に生活を営まむとすることの斬新さ、賢さ。しかし志だけは、我が内に、ただ一つ………ただ一点!

5 - 81 神と一時ひとときも離れることのない私は、惑うことがないし、迷うこともない。いつでも、どこでも、限りなく、神と一体である。送るは正に栄光の日々

5 - 82  “自分”のある人の前で私は活き, “自分”のない人に私は喰われる。と思う私には, “自分”はあるのか。特定の組織に私は馴染まなければならない ──── 個性を無くして、波風を一切立てずに。心の苦しみは、模写するに大いに値するもの

5 - 83 人が人を幸福にすることはできない ──── 最早、過怠にすら属することである。人が幸福となるのは、その状態に本来より在ったことを、満を持し、自ら悟入するときだ。その転移の由るのは、蓋し神の御力みちからである

5 - 85 アレは映画を観に行った日。クネクネ、高架橋を潜り抜け、新幹線を何度も見送った。移りに見渡す先にはハルの気配。土筆がニョッキリ、兄弟姉妹、ヒョッコリ伸び生え睦まじい

5 - 86 どうして誰もが問題を“解決”しようとするのか ──── 目の前の相手にただ寄り添っているだけで好いのに;論理は機械的で無機質である。学校で習って覚えた方法論は、現実社会における処世術とは大きく違うでないか!

5 - 87 成功が数で計るものならば、誰にだって呉れてやる。判断するための物差しは、すべて、この私の内にこそある!

5 - 88 芸術は、人と人とが共感し、つながり合うためのツールになり得る。芸術の持つ、そうした力が、私を芸術へと向かわせる

5 - 89 私は舞台に立っていたい:人前に立つ人間としてのめいがあるから。檜の上を歩くとき、私は決まってイキイキとする

5 - 90 あなたの横顔、浮いてきらめくアイライン。毎朝よそおう時間について、お察しします ──── 私にはない種のせわしさに、敬意を呈して

5 - 91 個性を慈育してこなかった者は、人を殺しもする。個性の希薄な者は、底抜けなほど善い人である。個性を遂に意識しなかった者は、力を握る者に簡単に乗っ取られる。個性に水を遣る機を逸した者ほど、目立たないで脆弱な者はいない

5 - 92 とにかく私は創りつづけていたい:生きていることの感覚が確かに得られるから。前途に係る閉塞感の果てし無さから自失するとき,日常の諸々に溺れるとき、創ることは我を保つ唯一の方法である

5 - 93 生活費を稼ぐための仕事とは、まったく楽しくないものだ ──── 楽しみの欠片もない。いつになったら終わるのか、ただそれが唯一の関心事。無情にも、上空は今日も青く澄んでいる

5 - 94  “解決”で問題は断じて(根本的に)解決しない ──── 短期的には解決するかも知れぬ。しかし、箒で掃いても塵が完全に消え失せる訳ではない。論理は強力なツールであるように見えるも、人心には余りに硬すぎる。神の息吹に掛からぬものには、不可避の限定がある

5 - 95 春の連れてきた陽気は、我々を活力の泉へと導いてくれる。思い出す、あの歌。笑わせてくれる、短い語らい。透き通る、もちもちした風。これほど輝かしいショットが無償とは………自然の恵みの遠大なこと幾許。耳を澄ませば聞こえてくる美声の主は、誰であるか。トビか、愛すべき友人か、はたまた神か

5 - 96 仕事終わり………疲労は思考を鈍らせる ──── 今の私は、出現しつづける“今”に溺れるしかない

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