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2021年4月の記事一覧

Etude (28)「西田幾多郎-無私の思想」

Etude (28)「西田幾多郎-無私の思想」

[執筆日 : 令和3年4月6日] 

「一たび禁断の果を食った人間には、かかる苦悩のあるにも已むを得ぬことであろう」
                      西田幾多郎 「善の研究」 

 鈴木大拙の禅の次は、西田幾多郎の善かという訳でもないのですが、役所を定年退職した後は、幾つかの妄想を抱いていて、その一つが、大学で哲学を学ぼうということがありました。ただ、実社会で長く働き、そして諸外国を眺

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Etude (27)「人間とは心である」

Etude (27)「人間とは心である」

[執筆日 : 令和3年4月6日] .

 鈴木大拙の「禅の思想」は、登山家にとっても難所的北アルプスの巨峰であり、登山家でもない杢兵衛は、ここらで下山するのが賢明であるという結論に達しました。そうはいっても、多少の痕跡は残さないといけませんので、「解題」を書かれている小川隆さんが述べたことを要約しますと、「(大拙が)自らが「会心作」と述べた「禅の思想」は1943年、73歳の著で、その5年前には、英

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Etude (26)「高みを目指してー禅は善か」

Etude (26)「高みを目指してー禅は善か」

[執筆日: 令和3年4月6日]

「ある学者は、宗教とは楕円形に似ていると言った。なんとなれば、楕円形はその中に2つの中心点をもっているが、宗教にもいつも2つの中心があるからである。キリスト教風にいえば、神と人間とがそれである。仏教の術語をもっていえば、法と機とがそれである。その2つの中心のうち、いずれかに重きをおいて考えるかは、人それぞれの考え方であって、それがその人の宗教観を定める。」
増谷文

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Etude (25)「コロナ禍での平安のためにー美は人を救う」

Etude (25)「コロナ禍での平安のためにー美は人を救う」

[執筆日: 令和3年4月3日]

「幸福の存在を信じないということは、誰もが遅かれ早かれ身につける懐疑主義の一形態である。幸福に関して不平を言う者は沢山いるが、われわれがこの重要な概念を放棄するのは大方は諦めからであり、そうすることによって安堵するのである。(中略)一度も幸福だった経験のない人たちーあるいは、かつて幸福だったけれど、その幸福をもうすっかり忘れてしまって、そのことを当たり前と思ってい

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Etude (24)「科学は、テレビ塔の天辺から落ちる紙の行方を知ることはできない」

Etude (24)「科学は、テレビ塔の天辺から落ちる紙の行方を知ることはできない」

[執筆日: 令和3年4月2日]

 アフリカで活躍する同期から、同期で3月定年退職した人、或いは、4月から続けて勤務する人の話しや、公務員の65歳定年延長法案の話しなどを聞いて、日本人は、西欧人とは違う労働観、人生観を持っているんだなあと。西欧人には、働くことへの罪悪感のようなものがあるようで、イスラム教徒もしかり。日本人は、働くことを美徳として、死ぬまで働くこと、つまり、社会的承認を得ないと生き

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Etude (23)「三つ子の魂百までとは」

Etude (23)「三つ子の魂百までとは」

[執筆日: 令和3年4月1日]

 今日は、4月1日、新しい年度(会計)の始まりでございます。隠居老人には、新年度もないとも言えるし、あるとも言えるのは、行きつけの茶店のコーヒーの値段が一挙に70円も値上がっていて、なんだこれは、コロナ禍のインフレはひどいなあと。聞くところによれば、持ち帰りの代金も上がるようですし、週刊誌情報では年金額が下がるともいうし、踏んだり蹴ったりの新年度のような感じです。

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Etude (22)「さあ、あなたの暮らしぶりを話して」

Etude (22)「さあ、あなたの暮らしぶりを話して」

[執筆日: 令和3年3月31日]

 「どんな女性にとっても、最良の夫というものは、考古学者に決まっています。妻が年をとればとるほど、夫が興味を持ってくれるでしょうから」

 コロナ禍にあって、旅の事を書くのは、絵に書いた餅を眺めさせるようなものでありますし、目に毒という気もいたしますが、旅行をするためには、最低3つの要素が必要な気がします。第一は、好奇心、所謂、今生きている場所より素敵な場所があ

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