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【ネタバレあり】街とその不確かな壁⑤ :10分で読む村上春樹(#ファスト読書)

読書ノート(125日目分)

23年4月に発刊されたばかりの
村上春樹の6年ぶりの新刊の紹介です。

全部で650ページ超(約50万字)の内容を
約10分で読める約5000字に超要約して
紹介してみようという、
僕の「ファスト読書」への試みです。

前回までを含めて全5回に分けて
紹介をしてみます。


※ここからはネタバレを大いに含みますので
 今後読む予定の方はご注意ください






前回までの話は、こちらからどうぞmm


それでは本編の紹介⑤です


・「私」は姿を現した元館長に、
 少年が壁に囲まれた街に行くことを
 強く希望していることを伝え、
 自分はその手助けをすべきかを相談した

・元館長からは、
 あなたはその街への具体的な行き方を知らない。
 だから、その少年の手助けはできないこと、
・そして壁に囲まれた街に行く方法は
 人それぞれ異なり、決まった方法がないこと、
・そして少年がその街に行くときは
 「私」の手助けを借りずとも、
 自ずとその街に行くだろう、との返事だった

・そして元館長は最後に、
 最近は姿を保つことが難しくなっていることと
 もうお会いして話をすることはないだろう、
 という言葉を残し、その姿は煙のように消えた

・「私」もその夜を最後に、
 元館長の魂を感じることは無くなり、
 本当に消えてしまったのだを悟る。

・その翌日からも「私」は以前と変わらずに
 図書館長としての日常を過ごしていた
・そんな日常の中で変わったこととして、
 例の少年は数日間、図書館に姿を現さなかった

・そして、その数日後
 少年はある夜に両親と住んでいる自宅から
 突然その姿を消してしまった…

・司書の女性からの話では、
・少年の部屋の内鍵は掛かったままで、
 家中を探したが見当たらなかったこと、
・その夜はとても寒い日だったが
 上着も靴もそのまま残っており
 おそらくパジャマ着のまま姿を消したこと、
・少年は数日前から高熱を出しており、
 姿を消した翌朝のベッドは汗で濡れていたこと、
・警察には捜索願いを出したこと、
 を教えてもらう

・そして、少年の父親から「私」に対し、
 お話を伺いたいと連絡が入る

・少年の父親は「私」に対して自らの口で、
 少年とは会話がほぼ皆無であったこと、
 少年は「私」に対して関心を持っていた様子で
 あったことを打ち明けた

・「私」は少年の父親に対して、
 壁に囲まれた街について、架空の話として
 少年と街について会話をしたことを、
 家族が不安に感じると思われる箇所を
 省きながら簡潔に伝えた
・少年の父親は、息子が自宅で熱心に
 何かの地図を描いていたことを思い出し、
 その架空の街の話に少年が興味を持っていた
 ことを理解し、御礼を述べてその場を後にした

・その数日後、
 今度は少年の兄2人が捜索のために東京から
 「私」がいる図書館に訪れる
・長男は弁護士、次男は医学部に通う大学生
・少年の父親に話したとおり、
 兄2人にも架空の街の話をしたところ、次男は、
 弟はその街に自ら行きたがっていたのではないか
 と推測し、「神隠し」にあったのではないか、
 もしくは
 「比喩的にか、象徴的にか、暗示的にか、
  弟は何かしらの通路を見つけて、その街に行って
  しまったのではないか」との考えを口にした。
・長男は、架空の街に弟が行くことはSF的で
 現実的ではないと次男の考えを否定しながらも、
 「私」との会話をきっかけに、
 その街への通路のようなものを見つけたと思い、
 高熱のなか自宅を出て近くの山の中に迷い込み、
 そこで寒さのために意識を失ってしまった
 のではないかとの考えを述べた

・兄2人は、あと数日間捜索する予定だと言い、
 丁寧に御礼をし図書館を後にした


・その夜、
 「私」は長い夢もしくは夢に類するものを見る
・「私」は夜中に暗い山中を長く歩き続けていた。
 そして、その奥に一つの古びた小屋を見つける
・小屋の中に入ると奥に扉があり、扉を開けると
 1m超の木彫りの人形があることに気付く

・その木彫り人形を目を凝らして
 よく見てみると、
 あの失踪した少年に酷似していた

・そしてその口は腹話術人形のように
 上下に動く仕様になっていることがわかった
 「私」が耳を澄ませてみると、
 人形が「もっと…」と微かな声で
 囁いているように聞こえた

・「私」はその言葉の続きを聞こうと、
 人形の口に耳を近づけ「もっと何?」と聞き返した

・人形は「もっと…」「もっと…」と
 言葉を繰り返し、「私」はさらに耳を近づけた

・次の瞬間
 人形は「私」の右耳をガブりと強く噛んだ
・「私」は右耳に激痛を感じ、夢から目覚めた

・夢から覚めた「私」は
 右耳に確かな痛みを感じているものの、
 鏡を見ても傷はない様子だった

・翌日、いつものコーヒー屋に行き店主に
 右耳に何か異常は無いかと、
 触って確認をしてもらうが、
 彼女からは何ともないとの返事
・そして彼女に触られたことで、
 それまでの右耳の痛みは収まっていった

・その日の夕方
 彼女とコーヒー屋の2階の住居部屋にて
 一緒に宅配ピザを食べることに
・そして、そのまま2人はキスをする
・彼女は(「私」に限らず相手が誰であっても)
 それ以上の関係を望んでいないと言い、
 「私」も「それなら待ち続ける」と
 返事をして自宅に帰った


・その日の夜、
 「私」は”不確かな壁”を超えた、
 もしくは通り抜けたという感覚を得た
・今いる世界は、壁に囲まれた街の中であり、
 これが夢ではないとも確信した

・季節は夏
 目の前には綺麗に澄んだ浅い川が流れていた
・そしてその川は見覚えがあり、
 子供の頃によく遊んだ川だった

・「私」は上流に向かって歩き始めた
・今では40代になってしまった自分を除いては、
 当時の記憶のままの風景が続いている

・しばらく上流に向かって歩き続けると、
 自分の体が次第に若返っていることに気付く
・鏡はなくて確認はできないものの、
 手の皴などが薄れていき、
 顔の輪郭もシャープになっている
・そして、とうとう20歳頃まで身体が若返り
 「私」はまだまだ歩き続ける

・17歳頃まで歩き続けた目の前に、
 16歳の少女の時のままの「きみ」の姿を見つける

・「私」は「きみ」と再開し、
 何かを話しかけようとするが、
 なぜか「私」はうまく言葉を発することができない
・おそらく私の身体と心は
 まだひとつに結びついていないのだろう

・私は手を伸ばして彼女の手を握る。
 すると彼女もその手を握り返してくれる。
・そんな時間が過ぎていく中、
 彼女はまっすぐ私の顔を見て、
 手を握り合ったまま、打ち明けるように囁く
 「ねえ、わかった? わたしたちは二人とも、
  ただの誰かの影に過ぎないのよ」

・そして私ははっと覚醒し、
 現実の台地に引き戻される


(第3部)
・とある夕方、
 「私」は壁のある街の図書館に向かう途中、
 遠くに高校生くらいの少年を見かける
・その服装はこの質素な世界には珍しい、
 イエローサブマリンのイラストが描かれた
 緑色のパーカーを着ていた少年だった
・そしてその少年も「私」を見ているが、
 距離もあったため話しかけることはしなかった

・図書館に着くと、16歳の「君」は
 いつものように仕事をしていた
・「私」は先程見かけた変わった服装の
 少年について「君」に話をするが、
 そのような人物は知らない様子
・そして「私」の後にこの壁の中に
 入ってきた人は、まだ誰もいないことを知る
・彼女は「私」の顔を見て、驚いた様子で
 右耳が何かに噛まれたように腫れていると言った

・その翌日も、「私」が図書館に向かう途中、
 その少年はまた同じ場所に立っていて
 「私」のことを見つめている
・「私」は思わず話しかけようかと思ったが、
 そうはしなかった
・そしてその翌日、
 同じ場所にその少年の姿はなかった…

・その日の夜、
 いつものように「私」は図書館の夢読みの
 仕事を終えて自宅で寝ていた際に、
 枕元に気配を感じて目を覚ます

・枕元に立っていたのは、
 イエローサブマリンのパーカーを着た
 あの少年だった
・少年は「私」に向かって
 「あなたに頼みごとがある」と言い、話を続けた

・少年はこの世界での「夢読み」は
 自分の天職であり、そうなる必要があり、
 それが唯一の願いであること
・それは「私」と一体化することで叶えられると言う
・そして少年は、壁の外の世界の山の奥深くに
 自分の肉体を抜け殻として置いてきたこと、
 壁の外の世界で「私」の右耳を噛んだことで、
 壁の門衛を通過せずに壁をすり抜けて
 この街に入ってきたこと、
・自分は不法侵入者で、この街の住民では無いため
 正式に「夢読み」にはなれないこと
 を次々と説明した。

・少年の話によると、
 一体化するには「私」の左耳を噛めば良いが、
 そのためには「私」の認証が必要だと言う
・「私」は悩みながらも、
 少年と一体化することに合意する
・そして少年は「私」の左耳を思い切り噛み、
 「私」と少年は一体化した。


・少年と一体化した「私」は、
 今までと特に変わることがない日常を送っていた
・少年に噛まれて腫れていた右耳は、
 一体化をした後に腫れは無くなり元に戻っていた
 そして、噛まれた左耳にも異常はなかった

・普段の生活は「私」の今まで通り進んでいたが、
 夢読みの仕事の時は「私」ではなく、
 少年が前面に出てきて担っていることが分かった
・そして少年の夢読みは「私」の時よりもずっと捗っていて、
 そのことを図書館の「君」はとても嬉しそうに喜んでいた

・「私」と少年は、夜に寝ている時間帯だけ、
 ロウソクを囲んで2人で会話をすることができた
・そして、そのロウソクの火が付いている時間だけ、
 2人は話しをすることができた

・そんな日々が続いたとき、少しずつ異変が起きる

・少年と一体化してしばらくして、
 「私」の身体に変化が起き始め、そして少しずつ、
 少年も前とは違う人間になっていくように「私」は思えた
・そしてどうやら、
 このまま長くは「私」は留まれないということを悟る

・ロウソクを囲んで2人で話をする中で、
 その異変の事を少年に伝える
・少年は、このままでは存在が消滅すること、
 そして、あなたの分身の存在を信じて
 このロウソクの火を一息で消せば、
 元の世界の自分が受け止めてくれるはずだ
 ということを「私」に説明する

・「私」は、少年に向かって、
 言葉を繰り返すかのように
 分身の存在を信じることが自分の命綱になるのかと
 確認する
・少年は
 「そうです。彼があなたを受け止めてくれます。
  そのことを信じてください。
  あなたの分身を信じることが、
  そのままあなた自身を信じることになります」
 と答えた

・「私」は「そろそろ行かなくては」と言い、
 胸に大きく息を吸い込み、迷いなく
 一息でロウソクの炎を吹き消した。

・暗闇が降りた。
 それはなにより深く、どこまでも柔らかな暗闇だった。


ということで、以上が超要約でした。
記憶違いの所も多々あるかと思いますが、
もし興味をもって頂けたら
ぜひ本書を手に取ってみてください。

何よりも、村上春樹さんの
卓越した言葉の一つ一つから
自分の頭でその情景を思い浮かべる
という行為は、
まさに小説を読んでいる醍醐味だなぁ
と感じましたし、ぜひ多くの方々にも
読んで頂きたい作品だと思っています。

個人的な感想としては、
「私」とコーヒー屋の彼女との会話は
「ノルウェイの森」での
主人公と緑の掛け合いを思い出す、
そんな2人にも感じたので、
元の世界に戻った「私」と彼女が
上手く結ばれ、ハッピーエンドを迎えて
くれたら嬉しいなぁ…と思いました。

全5回、最後までお付き合いくださり、
ありがとうございました!!✨

(結果として、当初は約50万字を
 5000字に要約をしようと試みましたが
 約9000字になってしまいました…🙇‍♂️)

明日からは
またビジネス書を中心に
紹介をしていく予定です。
それではまたー!😉

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