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創作 「アメリカの大学生の日常」
間接照明がほの明るく光る部屋で、僕たちは草を吸っていた。Boseのスピーカーからは、Sadeの 『By Your Side』 が流れていた。
最近は、草を吸ってもアガらない時が多かった。前にやった紙のバッドトリップが、ずっと尾を引いていた。しまいには自殺願望までが僕の精神を蝕み始めていた。他にも理由があったが、ありすぎて上手く書けない。
ただその時だけは違った。草の質が良かったとかそ
「昔々、ある緊縛師が・・・」
前に知り合いの緊縛師が言っていたんですけど、「S」と「M」ってあるじゃないですか。あれってSがMを痛めつけて楽しんでるって勘違いしている人いませんか? MがSに奉仕してるって思っていませんか?
真逆らしいんです。Mがやられて喜ぶことをSが提供しているんです。言わばSはMにサービスしてるんです。
「この人、こう言われたら喜ぶだろうな。これされたら喜ぶだろうな。」
と常に先読みしてプレイしてい
創作 「ニシンの味」
「父がよく身欠きニシンを買ってくる。それを晩御飯に、父と母と僕で食べる。
正直な話、子供の頃からずっと食べてるけど、1度も美味しいと思ったことはない。ただそのことを父に言ったことはない。母に聞くと、北海道出身の父と母は、子供の頃からずっと身欠きニシンを食べてるらしい。いわゆる「ソウルフード」というやつだ。
今日も身欠きニシンが、晩御飯のおかずの1つに出た。そして今日も変わらず、美味しくなか
小説 「Bad Trip」
NETbRAINの年越しライブが長稔で行われることを知ったのは、12月に入ってから何日か過ぎた後のことだった。この時期毎年インダへの徒歩旅行に出る友人の間宮大輔は、今年はその予定をキャンセルして、僕と一緒にNETbRAINのライブに行く様である(間宮は1日1000km移動できる強靭な足を持っている。しかしその足を持ってしても、ミマラヤ山脈越えは毎回厳しいらしい)。
今回長稔へは、起業家として成