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小話 6

 この前、夏も終わったぽいので、リビングの照明の掃除をした。照明は天井に取り付けたライトに傘のカバーをはめ込むタイプのもので、傘の中には小虫の死骸が大量にいた。
 
 一通り掃除が終わり、天井に戻そうとした時、傘の縁の部分に結構大きめの死骸があった。それは傘の周りの透明なプラスチックの部分をはずさないと取れない。面倒ではあったが、気づいてしまった以上やらない訳にはいられない性分だ。
 
 5分ほどかけて傘と透明な部分を外した瞬間、傘の部分が机から床へと落ちた。
 パキッという明らかに割れた音がして、慌てて見ると2cm×4cmぐらいの穴が空いていた。ゲンナリして、しょうがなくその割れた破片を探した。リビングは余計なものはなく、探すと言っても机に向かって後ろの2m×2mの範囲だ。しかし20分探してもその破片は見つからない。
 
 その時、これはこの世界のバグなんじゃないかとふと気づいた。傘の破片が消えたことで、プログラムされた世界の気付きのヒントを突きつけられた気がした。
 
  その後、照明の傘を取り付け数日過ごしているが、傘の穴を見る度に僕は消えた破片のバグを思い出し、疑りの目でこのプログラムされた世界を見ている。

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