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【某JAZZ喫茶の2代目のママは、パリコレのデザイナーだった】

雨の日のビル・エヴァンス…」  

【プロフィール(旧姓:岡田)】

新所沢ジャズハウス・スワン・ママ

2月7日生まれ 0型 水瓶座
豊島岡女子学園高等学校
文化服装学院アパレルデザイン科卒業後

1989年渡仏。
ソルボンヌ大学文明講座
パリ・オートクチュール組合付属学校卒業

 ・エルメス・デザイン・コンペ入賞候補
               パリ・エルメス本社での実習
 ・世界若手クリエーターコンクール・2回
                フランス代表候補etc.

ニナ・リッチ:オートクチュール・アトリエを経て、MAKI OKADA PARIS 設立。

オートクチュール作品
Robe de mariée
横から見た作品


自己のクチュールデザインを始め、
複数のブランドのパリ・コレの
デザイン・立体裁断も多く請け負う。

在仏日本人の為の日本語新聞の
デザイン・レイアウトや、
日本の雑誌へのパリ情報なども、毎月寄稿。

1996年、スワン先代ママ(実母)の死により、
一時帰国

スワン2代目ママ業を始める。

フランスと日本を行き来しながら、スワンも切り盛り。

1999年、永住帰国。

スワンを継いで、18年・・・。

その間、結婚・出産・子育ての為、
夫:義雄(現マスター)に、全面的に店を任せる。
現在は、月に数回、スワンに顔を出すのみであるが、
復帰も近いかも!?



♪♪ その日は、朝から ♪♪

その日は、朝から、しとしと雨が降っていた…。

ああ、いやになっちゃうな、
雨だとお客さんが来ない…
と思いつつ、
いつものようにスワン開店。
お湯が沸いたケトルから、蒸気が上がって、
さて、コーヒーを淹れよう


まだ、音は鳴らさない…。
しーんと静まり返った店内…。
昨夜のライブの音が、みんなのお喋りが、
まるで浮遊物のように、
浮かんでは消え浮かんでは消え…。
余韻が残っている…。

ドリップされた珈琲が良い香りを放ちながら、
ポトポトと落ちてゆく。

ああ~何にしようかな?今日の一曲目は…。
珈琲が出来る前までに決めよう…毎日の日課…。

雨か…

スワンのレコード棚は、カウンターの後ろの壁面全部。
その前にある、お酒のボトルが入っている棚は、
可動式で、左右にスライドする。
動かすと、そこにもびっしりレコードで
埋まった棚が見える。
まるで、隠し扉のようだという人もいる。


そして、それらはリーダーの楽器別に、
アルトサックス、テナーサックス、
トランペット、トロンボーン、その他のリード楽器、
ビッグバンド、ピアノ、ベース、ドラム、
ヴォーカル、その他のバンド・・・
に分けられている。

そして、その楽器別から、
次はミュージシャン別に分けられている。
中には、先代マスターが何故か
買わなかったレコードも多々ある。
なので、CDも3千枚以上は、あるだろう・・・。
CDは、レコードが無い場合
(特に最近のもの)、しばしば、かける。


♪♪ リクエストがあると ♪♪

リクエストがあると、
その中から、一発で探すのは、
最初のうちは、結構大変だった。
天井近くにあるレコードは
椅子に登って探す。
まあ、1年も探し回っていると
どうにか分かる様になってきた…

先代マスターは、秒速で探しあてていたけれど、
気分が乗らないと、
「そんなものは、あ~りません」と
せっかくのリクエストも断っていたようだ。

現マスターも、もちろん、スーッと出てくる…。
流石だ…。

そう、その中から、選ぶのは、ドキドキする…。
特に気難しそうな、
自分はジャズ喫茶で青春を送って、
なんでも知っているぞ!
というような半分道場破りのような方の場合は…。
ま、でも、リクエストが無い限り、
私好みのものをかけるのだが…。

雨か…

アナログレコード&CDから、
今日の気分で選ぶことができる、
贅沢な時間…。

すーっと、手が伸びるのは、ピアニストの棚…。
丁度、ラックの真ん中辺にある一枚のCD…。

「You Must Believe in Spring」・・・Bill Evans
 

You Must Believe In Spring


 
このアルバムは、死の香りがする…。
アルバム全体に静かな哀愁の漂う雰囲気…。
レクイエムといってもよい深い叙情感…。
1977年に録音した晩年の傑作と言われている。
飲酒・薬物の常用による肝硬変などが原因で、
このアルバムを録音した3年後の
1980年に51歳で亡くなった。

その中から、3曲を紹介しよう…。


☆ B Minor Waltz (For Ellaine)
   
  録音の前年に亡くなった妻
       エレインに捧げられた曲
       エヴァンスと別れてから数日後、
        地下鉄で投身自殺した。

☆ You Must Believe In Spring
           アルバムのタイトル曲。
   前半は哀しげな静かなトーン。
   後半はテンポが上がってリズミカルで明るいが
   最後はまた静かな雰囲気に。

☆ We Will Meet Again
         鬱病を患い、
           この録音の4ヶ月前に拳銃自殺した
   音楽教師だった兄への追悼歌。


雨が、しとしと降り続けている…。

このアルバムのメランコリックな美しさが、
雨と融合して、
何とも言えないけだるさを覚えながら、
今日もスワンに音が流れ始めた…。

春を待ちわびて…。

          2014年2月 スワンにて


10年前のいい感じの文があったので
載せてみた…

1965年創業の JAZZハウス・スワンは
来年2025年、60周年を迎える…

いろいろなパリの思い出と、
JAZZと、美学を語る…


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