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うつ病に対する運動の効果

📖 文献情報 と 抄録和訳

うつ病に対する運動の効果:無作為化対照試験の系統的レビューとネットワークメタ分析

📕Noetel, Michael, et al. "Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials." bmj 384 (2024). https://doi.org/10.1136/bmj-2023-075847
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[背景・目的] 心理療法、抗うつ薬、および対照条件と比較して、大うつ病性障害の治療における運動の最適な用量および様式を同定すること。

[方法] デザイン:システマティックレビューおよびネットワークメタ解析。方法:スクリーニング、データ抽出、コーディング、バイアスのリスク評価を独立して二重に実施した。主要解析では、ベイズ群ベースのマルチレベルネットワークメタ解析を実施した。各群のエビデンスの質は、confidence in network meta-analysis(CINeMA)オンラインツールを用いて評価した。データ情報源 Cochrane Library、Medline、Embase、SPORTDiscus、PsycINFOデータベース。研究選択の適格基準:大うつ病の臨床的カットオフを満たした参加者を対象とした運動群のある無作為化試験。

[結果] 合計495群、14,170人の参加者を含む218の研究が組み入れられた。活動的な対照(例、通常のケア、プラセボ錠剤)と比較して、うつ病の中等度の減少が、以下の項目で認められた。
・ウォーキングまたはジョギング(n=1210、κ=51、Hedgesのg -0.62、95%信頼区間-0.80~-0.45)
・ヨガ(n=1047、κ=33、g -0.55、-0.73~-0.45)
・筋力トレーニング(n=643、κ=22、g -0.49、-0.69~-0.29)
・複数の有酸素運動(n=1286、κ=51、g -0.43、-0.61~-0.24)
・太極拳または気功(n=343、κ=12、g -0.42、-0.65~-0.21)

モダリティを問わず、処方された運動強度には明確な用量反応曲線が観察された。軽い運動(例えば、ウォーキング、ハタ・ヨガ)でも臨床的に意味のある効果が得られたが(g=-0.58、-0.82~-0.33)、期待される効果は激しい運動(例えば、ランニング、インターバル・トレーニング)の方が強かった(g=-0.74、-1.10~-0.38)。

筋力トレーニングとヨガが最も受け入れやすい方法であるようであった。結果は出版バイアスに頑健なようであったが、バイアスのリスクが低いというコクラン基準を満たした研究は1件のみであった。その結果、CINeMAによる信頼度は、ウォーキングまたはジョギングについては低く、その他の治療法については非常に低かった。

[結論] 運動はうつ病の効果的な治療法であり、ウォーキングまたはジョギング、ヨガ、筋力トレーニングは、特に激しい場合には他の運動よりも効果的であった。ヨガと筋力トレーニングは他の治療法と比較して忍容性が高かった。運動は、併存疾患の有無やベースラインのうつ病レベルが異なる人々に対しても同様に有効であるように思われた。予期効果を軽減するために、今後の研究では参加者とスタッフに盲検化を目指すことができる。これらの運動は、うつ病の中心的な治療法として、心理療法や抗うつ薬と並んで考慮されうる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前に、運動による抗うつ、抗不安効果の仕組みについて文献抄読を行った。

今回のメタ解析は、さらに効果的な運動内容を特定するのに役立つ論文だった。
それによれば、ウォーキング、ジョギング、ヨガ、筋力トレーニングは特に効果が大きそうだ。
加えて、運動強度が強い方がうつ病には効果が大きくなるという点も重要だと感じた。
精神的な問題に対する運動処方がより具体的になりそうだ。

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