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身体活動×精神。うつ/不安/心理的苦痛に効果

📖 文献情報 と 抄録和訳

抑うつ、不安、苦痛を改善するための身体活動介入の有効性:系統的レビューの概要

📕Singh, Ben, et al. "Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews." British Journal of Sports Medicine (2023). http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2022-106195
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[背景・目的] 成人集団におけるうつ病、不安、心理的苦痛の症状に対する身体活動の効果に関するエビデンスを総合すること。

[方法] デザイン アンブレラレビュー。データ情報源 開始から2022年1月1日までに発表された適格な研究を12の電子データベースで検索した。研究選択の適格基準 成人集団における身体活動の増加を目的にデザインされ、うつ病、不安、または心理的苦痛を評価したランダム化対照試験のメタアナリシスによる系統的レビューが適格であった。研究の選択は、2人の独立したレビュアーが重複して行った。

[結果] 97件のレビュー(1039件の試験、128 119人の参加者)が対象となった。対象者は、健康な成人、精神疾患のある人、様々な慢性疾患のある人であった。ほとんどのレビュー(n=77)は、A MeaSurement Tool to Assess systematic Reviewsのスコアが極めて低かった。身体活動は、うつ病(効果量中央値-0.43、IQR=-0.66~-0.27)、不安(効果量中央値-0.42、IQR=-0.66~-0.26)、心理的苦痛(効果量-0.60、95%CI-0.78~-0.42)に対して、すべての集団において通常のケアと比較して中程度の効果を示した。

最も効果が大きかったのは、うつ病、HIV、腎臓病を有する人、妊娠中および産後の女性、健康な人であった。より強度の高い身体活動は、症状のより大きな改善と関連していた。身体活動介入の有効性は、介入期間が長くなるほど減少した。

[結論] 身体活動は、一般集団、精神疾患と診断された人々、慢性疾患を有する人々を含む幅広い成人集団において、抑うつ、不安、苦痛の症状の改善に非常に有益である。身体活動は、うつ病、不安、心理的苦痛の管理において主要なアプローチであるべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

治療効果には「即効型」「遅効型」の2種類があると思う。
即効型は、たとえば減量に対する脂肪除去術のように治療のその場で効果が出る、あるいはごく短時間で効果が現れるような治療。
遅効型は、たとえば減量に対する食事療法、運動療法のように、その場では効果があるのかないのかはっきりとは分からないが、徐々に微差が見えだして、長時間かけて大差となっていくような治療。

さて、そんな中で、今回のアンブレラレビューで示された身体活動(運動)の精神への効果はどうだろう?
僕は、自分自身がアクティブトランスポーター(自転車通勤者;🌱note)である経験から、運動の精神への効果は、即効型と遅効型の両輪の効果を有すると感じている。
1回の運動によって、コップの水を入れ替えたような精神の浄化と高揚を得ることもできる(即効型)。
また、日々の運動によって、バスタブに清廉な1滴1滴が徐々に溜まっていくような、長期的な精神的強靭さを得る感覚もある(遅効型)。

精神をガラス玉のように透明に、また鋼のように強靭に。
精神自体を動かすというよりはむしろ、身体を動かすなかで精神を精錬するイメージで。

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