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【映画感想文】「期待はずれでクソつまらない」と腹を立てる我々もまたジョーカーであると伝えるため、巨額の予算を費やした世紀の大駄作! 素晴らしい! - 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』監督: トッド・フィリップス
待望の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が公開された。 ホアキン・フェニックスが前作で演じた悲壮感たっぷりのジョーカーは衝撃だった。なにを考えているのかわからない危ないやつという既存イメージを保ちつつ、ピエロのメイクに描かれている笑いと涙の共存を実現させていた。 このジョーカーはわたしたちの気持ちをわかってくれる。このジョーカーはこのクソみたいな世界をひっくり返してくれる。もっとやれ、ジョーカー! 作中のみならず、その熱狂はリアルな世界にも広がった。日本でも202
【映画感想文】それでも荻上直子は閉鎖的なユートピア世界を描き続けるし、描き続けなくてはいけない - 『まる』監督:荻上直子
荻上直子監督の新作『まる』が凄かった。堂本剛を主演に迎え、現代アートのスタジオをクビになった画家がなんとなく描いた丸がたちまち評価されてしまって、正直しんどい状態に陥っていく不条理劇だった。 この丸は円相と呼ばれ、禅の世界では悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任されるとWikipediaに書いてあった。劇中でも、堂本剛が「あなたの円相を100万円で買い取りたい」と言われ、「……えんそう?」となりながらWikipedi
【映画感想文】マルチ商法で狂っていく母親が女ジョーカーって感じでヤバかった! 詐欺ダメ、絶対! - 『西湖畔に生きる』監督:グー・シャオガン
これは凄いものを見てしまった。 中国の山水画を彷彿とさせる壮大な自然描写で定評のあるグー・シャオガン監督の新作『西湖畔に生きる』を見てきた。タイトルからして山間に暮らす人々の古き良き伝統が映し出されているのだろうと想像していた。 ところがどっこい全然違った! いや、冒頭こそ、たしかに美しい畑でお茶の葉を摘み、丁寧に釜炒りをする職人技が示されるのだけれど、そこで働くシングルマザーがクビになったところから物語は急展開。マルチ商法にどっぷりハマり、おかしくなってしまうのだ
【映画感想文】ゲームのような設定と演出でリアリティこそないけれど…… - 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』監督:アレックス・ガーランド
それは、今日、起こるかもしれないというキャッチコピーに惹かれて『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を見たら、きっと肩透かしを食らうだろう。というのも、そこで描かれているアメリカ内戦はまったくもってリアリティがないのだから。 宣伝などで公開されている設定としてはテキサスとカリフォルニアが連邦政府に独立戦争を仕掛けるというもの。さも、現代のアメリカで内戦が発生したらを描いているように感じられる。 実際、2021年には議会襲撃事件もあったし、大統領選ではトランプとハリスが