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私的な日記と、誰かに読まれることを前提とした日記について
①手帳類図書館友人にオススメされ、手帳類図書館という施設へ行って来ました。
一般の人によって書かれた手書きの日記・スケジュール帳・メモ帳などがコレクションされた、世にも変わった閉架式図書館です。
最寄駅は東京の参宮橋駅。小さなギャラリー内の一区画の、ごくごく小さなスペースでした。
それらの手帳類は館長によってPOP的なものが作られており、例えば
みたいなあらましが書かれています。
POPを読ん
本『映画を早送りで観る人たち』を読んで
この新書のタイトルを目にして、「私のことやんけ…!」と思いました。
以前、こんな記事↓(エンタメ不感症について)を書いたY世代の私としては、非常に身につまされる一冊でした。
本書は「映画を早送りで観るなんて一体どういうこと!?宇宙人なの!?」という感覚を抱く稲田豊史さん(現在51歳のライター)によって書かれたものです。
前書きには早送り派への違和感が率直に綴られ、続く第1章には集められた早送り派
西川美和「映画にまつわるxについて2」②〜適量の孤独が、鬼を踊らせる〜
引き続き、西川監督のエッセイの感想です。
感想、というほどのものでもないのですが、おっ!と思った箇所を備忘録のためにメモしたいと思います。
カット割の奥深さカット割によって、どこの台詞に力点をおくべきなのか、誰の感情でドラマを観て行けば良いのかも変化する。(略)つまりカット割は演出意図そのものであり、作り手の作為やセンスの結晶だ。シナリオは最高で、役者も良い芝居をしても、カメラポジションが悪けれ
西川美和「映画にまつわるxについて2」①〜撮る(shoot)ことは、撃つ(shoot)ことに似ている〜
1巻が大変面白かったので、2巻も読んでみました。
私は読書をする際、グッときた箇所には付箋を貼ることを習慣にしているのですが、2巻もまたまた付箋だらけになりました。という訳で、今回も2回に分けて記事を書いていきたいと思います。
この本の概要映画『永い言い訳』の制作過程をベースとしたエッセイです。読む前に一度映画を観て、読んだ後にもう一度観ると、「この撮影の時、あんなこと考えていたんだなぁ」とか「
西川美和「映画にまつわるxについて」②〜音響が映画の質を左右する〜
前回の記事の続きです。
このエッセイを読んで「おお〜」と思ったのは音響にまつわるエピソードでした。
映画というと注目されやすいのは、キャスティングの妙や役者の芝居、素敵な衣装やおしゃれなセット、エンドロールの主題歌なんかだと思います。
「この映画、音響が素晴らしいよね!」という感想ってあまり聞かないですよね。音は目に見えない、だから気づかれにくい。けれど、映画の質を左右するのは音である!と言っても
西川美和「映画にまつわるxについて」①〜映画作りへの矜持と恥じらい〜
「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売る二人」等で知られる映画監督の西川美和さんのエッセイがめちゃくちゃ面白かったので、noteに備忘録を書きたいと思います。(人気だったようで、2巻も出版されています)
言葉選びの細部に宿るこだわりとセンス豊かな語彙力がありながらそれをひけらかすのではなく、軽妙で分かり易い文章でした。真に頭のいい人は小難しい文章ではなく、読み易い文章を書くのだなぁと思います。
め
絵本風エッセイ「MY DAVIS'S STORY」を読んで〜頑張りすぎてしまう、全ての人に捧ぐ〜
絵本作家Nabechaaanの新作「MY DAVIS'S STORY」を読みました。
もうほんと素晴らしい作品だったので、レビューを書きたいと思います。
本作は、不器用すぎるほど頑張り屋な著者・Nabechaaanの自伝的物語です。
“絵本”と呼ぶには文章が多めですが、可愛らしくポップなイラストと読者に語りかけるような文体は非常に“絵本的”。
強いてジャンル分けするならば【絵本風エッセイ】でしょ
「死にがいを求めて生きているの」を読んで④〜失恋ショコラティエとの類似点〜
引き続き朝井リョウさん著「死にがいを求めて生きているの」の感想です。
前回の記事では、この作品のテーマが【対立は人生に意味を与えてくれるツールになり得る】だというお話をしました。
現代は、自力で自分の人生に意味を与えなければならなくなった時代です。
対立を(無理に)見つけ出すことで「これさえ考えていればOK!」という逃げ道を確保し続けてきた雄介。
そんな雄介によく似た性質も持つ人物を、主役に据え
「死にがいを求めて生きているの」を読んで③〜自分の人生に自分で意味を与える〜
引き続き、朝井リョウさんの小説「死にがいを求めて生きているの」の感想です。
前回の記事で、この小説のメインテーマが【対立】であることに触れました。
では、朝井さんは【対立】というテーマををどう料理したのでしょうか。
興味深いインタビュー記事を見つけました。↓
例えば、中世・近世を担当された天野純希さんは源氏と平氏、信長と光秀などの対立関係を書く、昭和・近未来を担当された伊坂さんは昭和で嫁姑の対