記事一覧
性衝動と特異点の元型論~映画『ペンギン・ハイウェイ』を題材にして~
映画 2018年の映画『ペンギン・ハイウェイ』は、森見登美彦による同名の小説を原作とするアニメ映画であり、性衝動の構造を非常に明晰に表現していると私は考えるものである。私は原作を読む前に映画を観たが、その洞察の鋭さは映画だけでも十分確信できた。人間の無意識の構造や、そこからやってくる欲望について考えようとする者は観て損はない。諸君はアオヤマ君を通して、男という生き物の底の底を浚うことになるだろう
小説『仮想美少女シンギュラリティ』感想:美少女と多神教
感想電子で読むか、紙で読むか
2022年9月、バーチャル美少女ねむ『仮想美少女シンギュラリティ』を読んだ。これは『メタバース進化論』の第7章のファントムセンスの話を掘り下げたものだが、書かれた時期は『メタバース進化論』から三年遡る。私は『メタバース進化論』を著者の博士論文と呼んでおり、そこに書かれた内容はソーシャルVR国勢調査2021の結果を除いて著者の活動の初期に既に構想されていたものだ。『
性衝動と無限性~ルギアの太腿から出発して~
性的さの本質を再考する 美少女の文化に関わっていると、「“性的である”とはどういうことか」ということを再考せずにはいられない。性表現としての側面が美少女表象の文化全体を支えていることは無視できないし、美少女という言葉の定義も「性的」という言葉の定義もどうやら時と共に拡張していくように見えるからだ。
「“性的である”とはどういうことか」という議論の例として、例えば美少女がどこまで服を脱げば性的か
Philia analysis Case-2: Structure of Sizefetishism
This article is a translation of my previous essay. Translation was partly supported by ChatGPT.
Do you know sizefetish?Size fetishism, also known as macrophilia or giantess fetishism, is a fetish ch
Review of "Theory of Evolution in Metaverse"/書籍『メタバース進化論』感想の英訳
This article is an English translation of my book review of "Metaverse Shinka-Ron" published in Japan.
Original Japanese review is here: it was a thread of my tweets.
BibliographyTitle: Metabāsu shi
twitterアーカイブ+:書籍『創造と情報』感想
『創造と情報』(道躰章弘、水声社)を読み終えた。現代形而上学叙説と銘打っているが、護教書である。形而上学史をある側面から概観する役には立つが、肝心の著者の主張は誤った自然科学観に基づいてキリスト教以外の哲学を排撃するに留まる。かわいそうに、というのが正直な感想だ。
私は著者の主張(つまり、キリスト教神学)のうち、宇宙は被造でありまた今なお不断の創造の渦中にあるという部分には同意するが、造物主が
twitterアーカイブ+:ゲーム『Pokémon LEGENDS アルセウス』感想
初報(2021.02.27):錯乱期 ……まず、私の思うダイパの魅力とは第一にシンオウ地方の危うさを孕んだ「雰囲気」なのであり、既に剣盾で円熟に至った臨場感演出の技法が投入されるなら非常に期待が持てる。そして、アルセウスの物語がアンノーンとレジ系とウルトラホールの謎を解く鍵になることを私は期待する。
アンノーンとアルセウスとミュウはどのような系統関係を持つのか。レジギガスはウルトラビーストなの
twitterアーカイブ+:映画『すずめの戸締まり』感想:神は神らしく
『すずめの戸締まり』を観た。扉を閉めることは確かに今と地続きの未来を追認することではあったが、同時にすずめにとっては母への憧憬を男によって塗り替える話であるから、これが前作の陽菜の祈り――今と地続きでありながらも良くなる未来への祈り――と通じていると言えなくもない。
その草太は、よくもまあ新海誠、男は美少女によらなければ救われないということをこれほど潔く開き直ったものよな。欲望を脱臭し、自己犠
twitterアーカイブ+:映画『Joker』感想
『ジョーカー』を観た。私はバットマンの予備知識が全くないのだが、音楽の使い方は良かった。しかし……分からんな。この映画のどこに、そこまで騒ぐほどの「衝撃」がある。正義は人を見捨て、見捨てられた人は正義を見捨てる。当たり前のことであり、繰り返し言われていることだ。
悪が珍しいか? 人の道を踏み外すことが珍しいか? 酒鬼薔薇聖斗! 『黒子のバスケ』脅迫事件! 時代はずっとその可能性を示してきたのに