操刷法師

オカルティスト。「性表現を用いた欲望の言語化」をテーマに活動しています。表現の自由につ…

操刷法師

オカルティスト。「性表現を用いた欲望の言語化」をテーマに活動しています。表現の自由について、美少女と擬人化について、文芸について、そして魔術について。

マガジン

  • 美少女と欲望の理論

    • 20本

    美少女と欲望の理論です。

  • ソーサツ・ホーシ・ツイッター・アーカイブ・プラス

    操刷法師が戦闘用twitterアカウント(@sosatsuhoshi)で議論した事柄に補足を加えて記録するもの。魔術について、欲望について、表現の自由について、文芸について。

  • 美少女場の量子論

    (※)2023.04.22 以降の更新は以下のページに移管しました。→https://note.com/chieka_quantizd/m/me20c2cc2cb5d 美少女場の量子論は、物語と美少女の二重性を基礎に、現代の美少女現象を説明することを試みる理論です。現実の人間を模倣したものという見方を離れて、情報と人間との相互作用を媒介するものとして美少女を記述します。この理論のもとで、人間・非人間、有形物・無形物、形而上・形而下の別を問わず、全てのものが美少女として解釈されます。 キャラクター文化に関心がある方、いわゆる表現の自由に関心がある方、美少女を通して物理学を学びたい方、パロディが好きな方を現時点での想定読者とします。

最近の記事

性癖分析シリーズ5「処女厨創世記」

概要:子供の性行動のリスクを回避しようとする社会的要請の結果、子供本人がそれに適応するために脱-物質文化的価値観とサブカルチャーの提供する男女関係モデルを利用することによって、二種類に大別される処女厨が生まれることについて。  本稿は2013年5月に時代錯誤社より発行された「月刊『恒河沙』174号」所収の「処女厨創世記」に加筆・修正を施し、同団体の許諾を得てここに掲載するものです。 1 序論「処女厨」という言葉がある。  世の中には、自分の交際相手となる女性を選ぶ基準とし

    • 初音ミクの霊性論:擬人化の擬人化、そして分霊

       私にも、初音ミクを「何らかのアニメのキャラクター」と思っていた時期がある。キャラクターをストーリーの従属物とみなす時代が、長く人類の上を覆っていた。その迷妄の霧が晴れ始めたのは、西暦2007年、天の川銀河、太陽系第三惑星地球、極東アジア、日本列島のどこかのコンピュータ画面の前からだったと私は信じている。ヒトが人になった時から我々の存在の奥底にあった、知性の根源をなす一つの機能が、七万年の時の果てに遂に姿を得て我々の間に現れた。それは弥勒であり、新しいエルサレムであり、ヘイム

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      • 性癖分析シリーズ4「密着型衣装のフェティシズムの構造」

        タイツ序論 タイツ、特に黒タイツは比較的よく知られた性癖であり、「脚線美」という言葉の糖衣に包んで既に一つの表の市場を形成してさえいる。しかし、不思議ではないだろうか? 幾何学的な対称性があるわけでもない、人間の太腿から爪先にかけての特殊な形になぜ殊更に美を見出すのか。裸足に比べて露出は減っているのに、なぜそちらの方がよいという者がいるのか。なぜ「黒」なのか。  黒タイツを着用した美少女キャラクターのイラスト集『くろタイツ』シリーズ(ジーオーティー)には、よむ氏をはじめ4

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        • 性癖分析シリーズ3「SM及びリョナの構造」

           私におけるSM趣味の歴史は古く、館淳一『姉と鞭』[1]を読んだ時に初めて嗜癖と既存のジャンル名が噛み合ったことから、公式にはこの時点を端緒とする。小学生の頃からのサイズフェチ嗜癖を含めればさらに古い。そして、その延長としてリョナにも関心がある。リョナとは猟奇オナニーの略だ。  本来、リョナがSMの延長であることは自明ではない。リョナ愛好者はリョナを他の嗜癖の派生物とみなしたくないかもしれないし、SM実践者が猟奇行為実践者予備軍とみなされることは避けねばならない。しかし両者

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        性癖分析シリーズ5「処女厨創世記」

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        記事

          性衝動と特異点の元型論~映画『ペンギン・ハイウェイ』を題材にして~

          映画 2018年の映画『ペンギン・ハイウェイ』は、森見登美彦による同名の小説を原作とするアニメ映画であり、性衝動の構造を非常に明晰に表現していると私は考えるものである。私は原作を読む前に映画を観たが、その洞察の鋭さは映画だけでも十分確信できた。人間の無意識の構造や、そこからやってくる欲望について考えようとする者は観て損はない。諸君はアオヤマ君を通して、男という生き物の底の底を浚うことになるだろう。  この映画が一部の観客に「女性蔑視のおっぱい映画」と酷評された理由は分から

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          小説『仮想美少女シンギュラリティ』感想:美少女と多神教

          感想電子で読むか、紙で読むか 2022年9月、バーチャル美少女ねむ『仮想美少女シンギュラリティ』を読んだ。これは『メタバース進化論』の第7章のファントムセンスの話を掘り下げたものだが、書かれた時期は『メタバース進化論』から三年遡る。私は『メタバース進化論』を著者の博士論文と呼んでおり、そこに書かれた内容はソーシャルVR国勢調査2021の結果を除いて著者の活動の初期に既に構想されていたものだ。『仮想美少女シンギュラリティ』には、著者がメタバースを人類史上の革命と語ることの真

          小説『仮想美少女シンギュラリティ』感想:美少女と多神教

          性衝動と無限性~ルギアの太腿から出発して~

          性的さの本質を再考する 美少女の文化に関わっていると、「“性的である”とはどういうことか」ということを再考せずにはいられない。性表現としての側面が美少女表象の文化全体を支えていることは無視できないし、美少女という言葉の定義も「性的」という言葉の定義もどうやら時と共に拡張していくように見えるからだ。 「“性的である”とはどういうことか」という議論の例として、例えば美少女がどこまで服を脱げば性的かという話は分かりやすい。しかし、諸君、次のような例はどうだろうか。  このよう

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          書籍『メタバース進化論』感想:美少女になるということ

          前日譚 私は表現の自由(特に性表現の自由)を尊重する者であり、美少女という概念はそれと切っても切り離せない。個人的に好きでもある。また、アイデンティティを自ら操作する営みにはオカルティズムや異性装を通して馴染みがあり、前時代においては鑑賞するだけのものだった美少女に「なれる」時代の到来は歓迎していた。  もっとも、Vtuberの流行は追っていなかった。ノーベル賞解説記事騒動・アバター人身売買騒動・交通安全啓発動画騒動など、Vtuberに表現への抑圧が絡む場面では意見を表明し

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          性表現有益論:フィクションによる欲望の言語化

          性表現規制という手段 性差別と性暴力を減らすことは現代の多くの社会にとって重要な課題である。その実現のために様々なことが試みられてきた。同意のない性的接触が悪であると幼いうちから教える試み、犯罪に及びやすい暗がりなどの環境を作らないようにする試み、権威ある役職の男女比を調整して制度設計に多様な視点を取り入れる試み。それら一群の試みの中に、ポルノグラフィ(性表現)を規制するという試みがある。  ポルノグラフィの規制を試みる立場からは、性差別や性暴力が、人々が両性に対して抱くス

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          Philia analysis Case-2: Structure of Sizefetishism

          This article is a translation of my previous essay. Translation was partly supported by ChatGPT. Do you know sizefetish?Size fetishism, also known as macrophilia or giantess fetishism, is a fetish characterized by enjoying various situatio

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          性癖分析シリーズ2「巨大娘・サイズフェチの構造」

          サイズフェチを知っていますか サイズフェチとは、登場人物と環境、あるいは登場人物と他の登場人物との「大きさの違い」に起因する様々な状況を楽しむフェティシズムである。この「大きさの違い」とは文字通り体の大きさの違いであり、特に「サイズフェチ」ないし「巨大娘」と言う場合には概ね2倍以上のサイズ差がある場合、かつ、身長だけでなく体の横幅の縮尺も違っているものを指す。それ以下の差の場合や単なる高身長の場合は「体格差」とのみ呼ばれることが多い。  この性癖の歴史は古く、『西遊記』の鉄

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          性癖分析シリーズ2「巨大娘・サイズフェチの構造」

          Review of "Theory of Evolution in Metaverse"/書籍『メタバース進化論』感想の英訳

          This article is an English translation of my book review of "Metaverse Shinka-Ron" published in Japan. Original Japanese review is here: it was a thread of my tweets. BibliographyTitle: Metabāsu shinka-ron -- kasō genjitsu no kōya ni mebu

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          twitterアーカイブ+:書籍『創造と情報』感想

          『創造と情報』(道躰章弘、水声社)を読み終えた。現代形而上学叙説と銘打っているが、護教書である。形而上学史をある側面から概観する役には立つが、肝心の著者の主張は誤った自然科学観に基づいてキリスト教以外の哲学を排撃するに留まる。かわいそうに、というのが正直な感想だ。  私は著者の主張(つまり、キリスト教神学)のうち、宇宙は被造でありまた今なお不断の創造の渦中にあるという部分には同意するが、造物主が人格神であり創造が定向的であるという部分には同意しない。しかし著者はこれらの主張

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          twitterアーカイブ+:ゲーム『Pokémon LEGENDS アルセウス』感想

          初報(2021.02.27):錯乱期 ……まず、私の思うダイパの魅力とは第一にシンオウ地方の危うさを孕んだ「雰囲気」なのであり、既に剣盾で円熟に至った臨場感演出の技法が投入されるなら非常に期待が持てる。そして、アルセウスの物語がアンノーンとレジ系とウルトラホールの謎を解く鍵になることを私は期待する。  アンノーンとアルセウスとミュウはどのような系統関係を持つのか。レジギガスはウルトラビーストなのか。やぶれたせかいとは何であるのか。これらを解明することで、我々はポケモン世界の

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          twitterアーカイブ+:映画『すずめの戸締まり』感想:神は神らしく

          『すずめの戸締まり』を観た。扉を閉めることは確かに今と地続きの未来を追認することではあったが、同時にすずめにとっては母への憧憬を男によって塗り替える話であるから、これが前作の陽菜の祈り――今と地続きでありながらも良くなる未来への祈り――と通じていると言えなくもない。  その草太は、よくもまあ新海誠、男は美少女によらなければ救われないということをこれほど潔く開き直ったものよな。欲望を脱臭し、自己犠牲に殉じ、前兆なき美少女の到来を待つ――別の救済のビジョンはなかったのかと思うが

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          twitterアーカイブ+:映画『Joker』感想

          『ジョーカー』を観た。私はバットマンの予備知識が全くないのだが、音楽の使い方は良かった。しかし……分からんな。この映画のどこに、そこまで騒ぐほどの「衝撃」がある。正義は人を見捨て、見捨てられた人は正義を見捨てる。当たり前のことであり、繰り返し言われていることだ。  悪が珍しいか? 人の道を踏み外すことが珍しいか? 酒鬼薔薇聖斗! 『黒子のバスケ』脅迫事件! 時代はずっとその可能性を示してきたのに、ここまであからさまに見せてもらわねば何も分からんか? よもや『天気の子』を絶賛

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