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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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2022年8月の記事一覧

他人から他者へ・新しい関係:Re

他人から他者へ・新しい関係:Re

不思議なことに、カミさんは猫の気持ちを代弁する時に、それが人であれば本人と言うべきところを、なぜか本ニャンと言ったりする。

例えば、「本ニャンには本ニャンなりの考えがあるらしい」とか、「本ニャン的には相当ショックだったらしい」とか。カミさん的には、このニンとニャンの音の響きが、人と猫の間をつなぐ「絆:キズニャ」ということになるらしいのだ。一方の本ニャンは気ままで、愛情など、どこ吹く風。してほしい

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カミさんの逆襲

カミさんの逆襲

これは若い頃の、まったくの愚話である。
文章中に僕がカミさんを虐待しているように思われる表現があるが、そうではなく、愛情表現と理解していただきたい。

以前に「カミさんのボケ」というのを書いたことがあって、これがカミさんにエラク不評だった。

「私はちょっと言い間違えただけなのに、あれじゃ本当に私がボケているとみんなが思うじゃない。いい加減にして!」という具合である。

僕は近年にない傑作だと思い

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市民劇場

市民劇場

就職してからしばらくの間、市民劇場という演劇を扱う団体にボランティアで参加していて、夜になると事務所に出掛けて行っては仕事をしていた。

集まる人は会社員、大工さん、教員、ペンキ屋さん、主婦など、種々様々であったが、三々五々集まっては芝居の話をしたり、パンフや機関紙を作ったり、夜中の街をまわってポスターを貼ったり、時には酒を飲み、キャンプに行ったりと楽しく過ごした。

僕は企画部という部署に所

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第17話:飾る

第17話:飾る

トシゴロの娘は自分をきれいに見せたいものらしく、また男の子も自分を格好よく見せたいものらしい。双方の思惑が成功すれば男女の仲というのはうまくいくはずなのだが、そうは問屋がおろさないのがまた世の中というものらしい。

僕の生まれにはそもそも「飾る」という観念が存在しなかった。片田舎の百姓家で育ち、オフクロはたまの外出の折にはそれでも口紅など付け、オバアチャンは白髪を染めていたりするくらいで、身近にい

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守るべきもの

守るべきもの

僕は何故かぬいぐるみが好きで、かわいいぬいぐるみがあるとすぐに買いたくなってしまう。カミさんには「またこんなものを買って来てどうするの」と言われるのだが、なんだかつい手が伸びてしまいそのたびに顰蹙を買う有り様なのである。

かわいいものを素直にかわいいと思える心というのはとても大切なことだと僕は思い、ロバやウシやオルゴール付きの人形などをそばにおいて眺めては「かわいい」と温かい気持ちになるのだが、

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お金

お金

缶ジュースを自分がいつから飲むようになったのか定かな記憶はない。

S29に日本初の缶ジュースが東京限定で発売され、32年には全国発売。42年には自動販売機が登場していたらしい。コカ・コーラが缶の自販機を始めたのが45年で、以後急速に広まったという。

36年生まれの僕はこの高度経済成長の恩恵に浴していたはずだが、普及するのに時間がかかっただろうし田舎であったから、家でお中元とかのいただき物か何か

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