雨は嫌いだ。 頭は痛いし、出歩けば足元は濡れて汚れるし、傘は邪魔だし。 私は傘をさすのが上手くない。そう言うと、傘のさし方に良し悪しがあるのか、と笑われる。あるに…
カフェでの過ごし方が分からない。 正しくは、おしゃれなお店での身の置き方が分からない。 好きに過ごせばいい、と分かってはいても、普段私はどんな風に振る舞っていた…
私はほとんど夢を見ない。 それでも稀に、目覚めたときに、形にならない夢が指の間からすり抜けていく、そんな感覚を覚えることがある。 目覚めた瞬間に、強烈な感情を持っ…
何に繋がるか分からなくても、知りたいことを知りたいときに学ぶこと。 これができるようになったことが、私の人生をたぶん、少し豊かにしている。 福祉の資格を取るため…
ずいぶん久しぶりになった。 最後に書いたときから、色々なことがあった。 まず、故郷に帰ってきた。故郷と書くとなにかしっくりこないのだけれど、好きな街に戻ってきたと…
ひそかに500円玉貯金をしている。 はじめてから、ちょうど5年たった。 数えてみたら、5万円貯まっていた。 5、という数は、なんだか中途半端な気がする。 直線のようで…
思いたくても思えなかったことがある。 書きたくても書けなかったものがある。 父の命日は、7日だ。 月が変わり、季節が変わり、年が変わった。そのうち日付を意識する…
大事な人を亡くした。 30年も生きれば、大抵の出来事には出会うだろうと思っていた。 大抵の出来事は、やり過ごしていくだろうと感じていた。 事実、やり過ごして一年が…
まだ4年、と思ったと同時に、もう4年、と言葉が浮かぶ。 あの日病室に満ちていた生ぬるい空気は、忘れたようで時々ふと溢れだす。 もう声も思い出せないのに、痩せ細った…
香水を買った。 9。 添えられた物語も、その香りも、深い大人の色をしていた。大人。 私は成人を迎えて久しいけれど、果たして心は大人ではないと思う。いつも背伸びし…
2という数字は、いつも恋人を連想させる。 私はねちっこいくせに飽きっぽい。同じ相手と2年を共に過ごせたことがない。 そんな私も、長い片想いをしていたことがある。タ…
青
2024年6月2日 18:06
雨は嫌いだ。頭は痛いし、出歩けば足元は濡れて汚れるし、傘は邪魔だし。私は傘をさすのが上手くない。そう言うと、傘のさし方に良し悪しがあるのか、と笑われる。あるに決まっている、と思いながら曖昧な笑いで誤魔化したりする。傘をさすのがうまくない。まず、どこを持つのかが曖昧だ。まっすぐなところ?曲がっているところ?なんとか落ち着く場所を持ってみると、今度は頭が骨につかえる。あげく、細い骨に髪
2024年5月22日 14:16
カフェでの過ごし方が分からない。正しくは、おしゃれなお店での身の置き方が分からない。好きに過ごせばいい、と分かってはいても、普段私はどんな風に振る舞っていたかが途端に分からなくなる。挙動不審に周りを見回してしまったり、近くのお客さんと目があって気まずくなったり。そんなことばかり、繰り返している。同じお金を払うなら、スーパーでお惣菜を買い込んで、こたつでお酒を飲みながらゴロゴロした方が
2024年5月19日 08:57
私はほとんど夢を見ない。それでも稀に、目覚めたときに、形にならない夢が指の間からすり抜けていく、そんな感覚を覚えることがある。目覚めた瞬間に、強烈な感情を持っていることがある。それは反芻しているうちに、跡形もなく溶けてなくなってしまう。残るのは、なんとも言えない後味の悪さ。夢は願望の現れだとか、処理しきれない思考のガス抜きだとか、そんなコトを聞いたことがある。私が夢を見ないのは、
2024年2月25日 07:19
何に繋がるか分からなくても、知りたいことを知りたいときに学ぶこと。これができるようになったことが、私の人生をたぶん、少し豊かにしている。福祉の資格を取るために通信制大学に進学したこと。好きになったスポーツをもう少し深く知りたくて、アナリストの勉強をしてみていること。たぶん他人から見たら少し愚かで、無駄なことをしているのかもしれない。でも、知りたいと思ったことを知ろうとすること、それは私に
2024年2月23日 19:03
ずいぶん久しぶりになった。最後に書いたときから、色々なことがあった。まず、故郷に帰ってきた。故郷と書くとなにかしっくりこないのだけれど、好きな街に戻ってきたということだ。水がいい、空がいい、道がいい、空気がいい。立っていて、歩いていて、しっくりくる。そんな街に帰ってきた。次に、転職をした。そこまで立派な理由があったわけではないけれど、それなりに今までの経験やできることを活かして仕事ができてい
2020年5月31日 23:12
ひそかに500円玉貯金をしている。はじめてから、ちょうど5年たった。数えてみたら、5万円貯まっていた。5、という数は、なんだか中途半端な気がする。直線のようで曲線。曲線のようで角がある。大きいようでいて、足りない。足りないようでいて、なんだか持て余す。そんなイメージだ。5。気がついてみれば、今までの人生でそんなに縁のない数だった。それがどうしてか、ここに来て目に
2020年5月31日 23:03
思いたくても思えなかったことがある。書きたくても書けなかったものがある。父の命日は、7日だ。月が変わり、季節が変わり、年が変わった。そのうち日付を意識することがなくなった。なのにどうしてなのか、ふとカレンダーを見て気づくと、明日が7日だったりする。その瞬間が、とてつもなく痛い。 苦しいとか悲しいのではなくて、痛い。父を思うことが出来るようになったのは、最近だ。ずっと、思
2020年5月30日 21:10
大事な人を亡くした。30年も生きれば、大抵の出来事には出会うだろうと思っていた。大抵の出来事は、やり過ごしていくだろうと感じていた。事実、やり過ごして一年がもうすぐ過ぎる。職場の上司だった。友達に声をかけられて転職を考えていたあの頃、初めて出会った。すごい人だと思った。 変な人だったけれど、猛烈に惹き付けられる人だった。人生で初めて、この人と仕事がしたいと思った。す
2020年5月22日 20:46
まだ4年、と思ったと同時に、もう4年、と言葉が浮かぶ。あの日病室に満ちていた生ぬるい空気は、忘れたようで時々ふと溢れだす。もう声も思い出せないのに、痩せ細った顔も思い出せないのに。写真のなかで笑う父は、いつまでもそのままだ。後悔はたぶん、きっとないけれど、ふとしたときに胸が締め付けられる気がする。肩に置かれた手を感じる気がする。4年。短いような、長いような。あの日無理やり進
2020年5月22日 07:12
香水を買った。9。添えられた物語も、その香りも、深い大人の色をしていた。大人。私は成人を迎えて久しいけれど、果たして心は大人ではないと思う。いつも背伸びしているだけの、小さな子ども。わがままな、幼くもろいもの。人はどうやって大人になるのだろう。いまだにその答えを見つけられないまま、私は明日もひとり背伸びをする。9の香りとともに。
2020年5月22日 07:11
2という数字は、いつも恋人を連想させる。私はねちっこいくせに飽きっぽい。同じ相手と2年を共に過ごせたことがない。そんな私も、長い片想いをしていたことがある。タイミングの合わない彼と自分を、恋物語のようだと自惚れたこともある。ずっと、運命のように思っていたところもあるのだろう。そんな彼は、もうすぐ結婚する。2年ぶりに私の誕生日に届いたメッセージでそれを知った。悲しくはなかった。でもようや