7

思いたくても思えなかったことがある。

書きたくても書けなかったものがある。


父の命日は、7日だ。

月が変わり、季節が変わり、年が変わった。そのうち日付を意識することがなくなった。

なのにどうしてなのか、ふとカレンダーを見て気づくと、明日が7日だったりする。

その瞬間が、とてつもなく痛い。 苦しいとか悲しいのではなくて、痛い。


父を思うことが出来るようになったのは、最近だ。

ずっと、思うことができなかった。

それこそ仏壇やお墓に手を合わせてみても、何を思えばいいのか分からなかった。

いないのは、長い出張だからだと、半ば本気で思っていた。

そんなわけがあるはずもないのに。


ずっと、父を思うことができなかった。

それが最近、ふとした瞬間に父を思う自分を認めることができるようになった。

何があったわけでもない。

痛みも変わらない。


父はたぶん、私が大好きだった。


そう思える瞬間が、ふと訪れた。 

それがなんだかおかしくて、久しぶりに少し泣いた。


また月が変わる。 

もうすぐ、7日が来る。

晴れるだろうか。

晴れればいいな、と思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?