ピピのつばさ・1ページ絵本「蜘蛛のクロニエルの冒険」
ピピのつばさ
投げ銭方式ですので無料で読むことが出来ます
どこか
遠い 遠い 世界の
広い 広い 海の上に
小さな かわいい 島がありました。
その島には
心やさしい 果物の妖精たちが
住んでいたのです・・・。
「蜘蛛のクロニエルの冒険」
フルーツ島のリンゴさんの家から、そう遠くない場所に、1本の、ハルニレの木がありました。
そのハルニレの木には、凧が1つ引っ掛かっていたのです。
その凧は、ピピとリスのチキチキが、凧揚げをしている時に糸が切れてしまって、ハルニレの木の枝に引っ掛かってしまったのでした。
その凧から、少しだけ下がったところの、太い枝と細い枝の間にクモの巣があって。
その巣に、クモのクロニエルは住んでいました。
クモのクロニエルは、このハルニレの木で生まれて育ったのでした。
クモのクロニエルは、このハルニレの木に、何か不満があったわけではありませんが。
ある時、遠くの丘から、赤くキレイな朝日が昇るのを見た朝に。
もっと近くで、あのキレイな朝日が見られる丘の近くの木で暮らしてみたくなったのでした。
クロニエルは、規則正しく編まれたクモの巣の、ハンモックの中で思いました。
「あの、丘の上にある木からは。 きっと、ここよりももっと美しい朝日が見えるに違いない・・・」と。
いったん、そう考えると。
クロニエルの頭の中は、あの、丘の上にある木の事でいっぱいになってしまいました。
ある風の強い日の事です。
クロニエルは、ついにある事を実行する事にしました。
風は、ハルニレの木の葉を激しく揺り動かしています。
クロニエルは、枝を伝わって先端まで行くと。
葉に、クモの糸をしっかりと括りつけました。
それから今度は、糸を風に乗せてどんどんと伸ばしてゆきました。
クロニエルの出す糸は、風に乗って空中を運ばれてゆきました。
糸が、ある程度の長さに成ると。
クロニエルは、葉を押さえていた手を放しました。
すると、クロニエルの小さなからだは、風に運ばれて、まるで凧のように空へと昇ってゆきました。
空に昇ったクロニエルからは、丘の上に見える木が、以前よりもずっと近くに思えました。
クロニエルは、
「このまま糸を出し続けて、風が止んできたら。きっと、あの丘の木に下りられるはずだ」
と思いました。
ところが、クロニエルの糸は、強い風にあおられて途中からプッツリと切れてしまいました。
クロニエルの小さな体は、風に運ばれて丘の上の木を通り過ぎてしまったのです。
クロニエルは、
「あっ、ああああー」
と叫びました。
もう、クロニエルには、どうする事も出来ません。
丘の上の木は、どんどんと遠ざかってゆきます・・・。
その時です。
1羽の鳥が、口ばしを大きく開けてクロニエルめがけて飛んできました。
それを見て、クロニエルは、クモの糸を必死に手繰りました。
クロニエルが、糸を手繰った事で、鳥のくちばしは空を切りました。
その代わりに、鳥の足に、クロニエルの糸が絡みつきました。
そして、鳥が、ちょうどあの丘の上の木に差しかかった時に、クロニエルは糸を切りました。
クロニエルの、体は木の上に落ちてゆきました・・・。
それからのクロニエルは、丘の上の木で楽しく暮らしました。
ですが、クロニエルは、最近、別の木が気になっているようですので。
もしかしたら、また冒険の旅に出るかもしれませんね・・・。
(画像内の文章と、書かれた文章では多少の違いがあります)
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使用画像 ACイラスト22366203より 加工
2022.7.5 7.6加筆 7.7加筆 7.10加筆
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