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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第3章 ラスン救済編 7】

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ーフィールド リーベル街道ー


リリアルは治癒魔法[ヒアリス]を覚えた!



マサアキ     リリアル
HP 2          HP 34
MP 0         MP 4
LV.9           LV.8


「…治癒魔法…?…」

「…今私が覚えたのですか?…」

 

おお……ちょうど良いじゃねぇか…

それで……怪我した部分…治しちまおうぜ


「…しかし…現在の私の魔力ではおそらく一回が限度かと思われます…」


………ああそうか、魔力…ほとんど無いんだったな…

……じゃあいいや、お前だけ…先に治して、ラスンに向かってろよ

俺も……グリルを連れて……すぐに向かうからよ…


「……………分かりました…」

「…治癒魔法…ヒアリス…」


ポゥ…
【リリアルはヒアリスを唱えた!】

【マサアキは体力が回復した!】


……なっ!?


マサアキ     リリアル
HP 47       HP 34
MP 0         MP 0
LV.9           LV.8


お前、なんでこっちに…!分かったって言ったろうが!


「……はぁ…あまり馬鹿なことをおっしゃらないで下さい…今はあなたの方が余程重症でしょうに……」

「…このくらいの足の怪我…ただ歩くだけなら問題ありませんよ…」


スク…
【リリアルはぎこちなく立ち上がった!】


ヨロヨロじゃねぇか…痩せ我慢すんじゃねぇよ


「…痩せ我慢なんかじゃ──…」

「…あ………」


ガシッ!
【マサアキは倒れそうなリリアルの体を支えた!】


……っと、ほらみろ。言わんこっちゃねぇ

強情っ張りなやつだな。全くよ


「……….…」



ほっ…と!

【マサアキはリリアルをおんぶした!】


「………ッ!…ちょちょちょマサアキさん!?……一体何を!?…」


何って、おんぶだろうが

ラスンまでおぶってやるよ。歩けないんじゃ、しょうがねぇだろ


「……けけ…結構です!…今すぐ降ろして下さい!…」

「…おんぶされる位なら置いて行かれた方がまだマシです!…早く……早く降ろして!…」


なんだぁお前?いきなり慌てふためいてよ 


もしかして……恥ずかしがってるのか?


「…………///…」


……ははっ!マジか

なんだよ、案外かわいいとこあるじゃん


「…う…うるさいです!大体なんであなたは一片の恥じらいも無いのですか!?それも少しムカつきます!…」


あ?だって別に…動けなくて困ってるやつ助けてるだけだしな


「……くぅ…っ///……認めません…私認めませんから!…」


いや、何をだよ…



よっ……


「ZZZ……」


【マサアキはグリルを抱えた!】


色々欠損してるからか、流石に軽いなこいつ


「……………」


………あのさ


「…は…はい!?……なんでしょう!?…」


そんな服だけつまむようにしてたら落ちるぞ?

俺もグリルで片手が塞がってんだ。しっかり掴んでろよ


「…これ…これ以上密着しろって言うのですか!?…ついに本性を現しましたね!?…助けてるだけと言いつつこの機に乗じて下心が爆発──…」

あーあー、そういうのもういいから


分かった分かった。変態でもなんでも呼んでくれていいって

とにかくしっかり掴まってろ。落ちたらさらに足が悪化するかもしんないじゃねぇか


「…うぅ…///…」


「……〜〜っ///…」

ギュウゥゥ…!
【リリアルはマサアキにしがみついた!】


ぐぇぇぇ!?首、苦し…!?

強い強い強いって!一回離せ!!


「…何なのですか!…掴めと言ったり離せと言ったり!…」


首を絞めろとは言ってねぇ!


「…マサアキさんおんぶ下手ですッ!…」


おめーがおぶられんの下手なんだよ!



…ったく、なんて不器用なやつだ

たかだかおんぶで取り乱しすぎだろ

こんなん初めてなのか?


「………村で子供たち相手にする事はあっても…される経験は……ほぼ無いのです…」

「…しかも同年代くらいの人なんて特に…村にいませんし…」


ふーん……

ま、何でも良いけどよ…俺も全快じゃねぇんだ

頼むから、後ろであんまり暴れてくれんなよ───

《グオォォォォォ……!!》


……ッ!?
「………ッ!?…」


ヒュオォォ…!!
【突然イーグルベア(凶)を邪悪なオーラが包み込んでいく!】


うおっ!?なん…っ!?

何だ何だ何だッ!?死んだんじゃねぇのか!?あの熊ッ!


「…分かりません!…嫌な予感がします!…急いでこの場を離れた方が良さそうです!…」


んなこと言われても…!グリルを抱えたまんま、お前をおぶった状態で軽快に動けるか…!


「…いいから早く!…ぐずぐずしないで下さい!…ハイヤーッ!…」


さっきまでモジモジしてた癖に急に乗りこなすんじゃねぇ!


《…………ォォォ……ォ》


シュウゥゥゥ……
【イーグルベア(凶)は消失していく!】


キラ…
【イーグルベア(凶)は一つの鉱石となった!】


……何…だ?あれは……

宝石…?


「……ッ!…あれは…《マギアの結晶》!?…」


……マギアの結晶?


「…先程の熊さんは《マギアブレイク》という一種の覚醒状態に陥っていたのですが…この状態の魔物を倒すと…稀に体内で生成された魔力が結晶化し形を成すことがあるのです…」

「…それがマギアの結晶…売れば20万Rルークは下らない希少なアイテムです…」


マジ!?超ラッキーじゃねぇか!


「…えぇ…それはもう…とてもとても…」

「…おめでとうございます…倒すのも難しいし…これは凄いことですよ…」


【マサアキはマギアの結晶を手に入れた!】

マギアの結晶


おぉ、スッゲェ〜……20万、か

こりゃ当面の生活には困らな………


……………


「……お金も食料もない…人に縋すがる術を奪われた私達が出来ることって何がありますか…」

「…あなたがラスンをどうにかしてくれるとでも言うのですか…」

第2章 8話より


マギアの結晶を懐に入れる
マギアの結晶をリリアルに渡す  


………




マギアの結晶を懐に入れる
マギアの結晶をリリアルに渡す  ◀︎


ほれ


【マサアキはリリアルにマギアの結晶を渡した!】


「………え?…」

「…ど…どういうおつもりですか?…」


やるよ

村の、何かの足しにはなるだろ


「…し…しかし魔物を倒したのはマサアキさんです…受け取る権利があるのは当然あなたで…」


だから、その俺がお前にやるって言ってんだよ

色んな要因が重なって、倒せたのも…たまたまだしな

俺の気が変わらないうちに貰っとけよ


「………あ…ありがと…ございます…」

【リリアルはマギアの結晶を受け取った!】


何だよ。もっと喜ぶと思ったのに


「…いえ…少し整理が追いつかないだけです…こんな事になるなんて…思ってなかったですから…」


「…これで…村を襲うバミラ達を退ける傭兵を雇うことが出来る…」

「……皆を…救えます…期待に…また応えられる…」


はは…!もうフィールドに寝っ転がらなくて済みそうだな


「…ーーーッ!!…」

ガバッ!
【リリアルは背中から勢いよく抱きついた!】


うおっと…!?



「…ありがとうございます!…本当にありがとうございます!…」

「……マサアキさんは…村の恩人です…!…」


ギュウゥゥ…!


絞めてる絞めてるって首…ッ!恩人の…!


ーフィールド ラスン周辺区域ー

ラスン周辺区域


お、景色変わってきた

そろそろか?ラスン


「…そうですね…街道は抜けたようです…」

「……あぁ…村に着いたらお母様や…村の皆…シスターズに伝えたいことがたくさんあります…」


シスターズ?


「…村にある修道院で共に暮らしている…私と同じような比較的若い見習いのシスターのことです…」


同じようなって…

………もしかして別の所でリリアルみたいな事してる連中がたくさんいるってのか?


「…いやまさか…今回の件は率先して私が引き受けただけですよ…こんな危ないこと…他の皆には任せられません…」

「…まぁ皆の方からも散々止められましたが…誰かがやらなければこのように現状を打破する機会にも恵まれませんでしたし…やむを得ないですよね…」


……………


「………マサアキさん?…」


いや、なんかお前さ……

周りさえ良ければっていう自己犠牲の感覚、流石に強すぎねぇか?


「……え?…」


村の皆のためっていうのは百歩譲って分かるよ

でも俺達みたいな、一介の旅人相手にも自分から囮引き受けて優先して逃がそうとするし、人の事庇って怪我して動けなくなるし

一回しか使えない回復魔法も、結局俺に使ってるしよ

そんなん続いたら、身ぃ持たなくねーか?


「…だからそれは…迷惑をかけた分のお詫びとして………」


お詫びになってるかそれ?

今回は結果上手くいったから良かったものの、取り返しがつかない事態になってたらどうすんだよ?


「………しかし…シスターとはそういうもので…」


他の人達も、本当に普段からそうしてんのか?


「……………」


なんか俺…お前の考え方、あんま好きじゃねーかも


「………………すいません…」


あ、違う!怒ってるんじゃなくてな!?

あ〜……俺が言いたいのは


もっと自分自身の事、大切にしてやった方がいいぞ


「………!…」


シスターとして、長く世の為人の為に尽くしたいと思ってんなら、尚更だ


「……………」


リリアル?聞こえてる?


「…………はい……」


キュ…
【リリアルは後ろから優しく抱きついた!】


………!


「……ありがとうございます…善処しますね…」


…お、おう……ならいい、けど…

な…んだよ、普通に出来んじゃねぇか……


〜To be continued〜

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