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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第2章 謎のシスター少女編 8】

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ーフィールド リベール街道ー

リベール街道


リリアルが現れた!



マサアキ
HP 76
MP 0
LV.8



「……えい……」


ギュイィィィン……!!
【リリアルの攻撃!】


どわぁ!

サッ……!
【マサアキは間一髪ひらりと身をかわした!】


「……?……バラし損ねました……」


あ……あぶねぇ……!こんなもん一発でも食らったら即アウトだ

何だよ相棒って……!適当な屁理屈こきやがって……!


こうげき
とくぎ
ぼうぎょ
どうぐ
にげる


さて、どうす──

「……やぁ……」


ギィィィィィン……!!
【リリアルの攻撃!】


ぬお!?ちょっと俺のターンは!?

ササッ……!
【マサアキはひらりと身をかわした!】


なに当たり前のように連続攻撃してんだこの女!

戦闘時のマナー位守れよ!社会に出たら恥ずかしいって村娘が言ってたぞ!


「……あ……またバラし損ねました……」


それと怖いから途中途中にバラし損ねたって言うのやめてくんない!?



ーフィールド リベール街道 エリア2ー

リベール街道

「大丈夫っすか?グリル君?」


「…ん~…ウマオ~マサアキ言ってたのってこれか~?」


【グリルは毒消し草を手に入れた!】

毒消し草

「はい…たぶんそれが毒消し草だと思うっすけど」


【グリルは毒消し草を使った!】


「うげ~…!美味しくないよウマオ~…ぺっぺっ…!」


「あぁ~吐き出しちゃダメっすよちゃんと飲み込まないと」


バキバキ……!!

「ん?なんすかこの音…」


バキバキバキ…!
【リリアルは木を薙ぎ倒した!】


ギュイィィィィ!!!
【リリアルの攻撃!】


ズル…!
【マサアキは足を滑らせた!】

うわっやべ!?


「……!…」

ピッ…
【チェーンソーがギリギリマサアキの頬をかすめた!】


【マサアキは19のダメージを受けた!】


ギャアァァァ!!血だァァ!!血が出たァァ!!死んだァァァ!!


「………クス……良い声できますね……ゾクゾクしちゃいます…」


く…くっそ…!


「マサアキさんがちょっと見ない間にえらい状況に追い込まれてるっす!」



─────────────────
─────────
─────


ーフィールド リベール街道 エリア3ー



マサアキ
HP 35
MP 0
LV.8


はぁ……はぁ…っ…


「…はぁ……えほっ……逃げてばかりでは…勝負になりませんよ…」


最初から…勝負になってねーよこんなもん…

ギャリギャリギャリギャリ、木やら何やら削り倒しやがって…派手な戦い方だぜ全く…


「…それはあなたが避けるからです…これ以上苦しい思いをしたくなかったら観念して立ち向かって来て下さい…」

「…それが出来ないなら…」


ダンッ…!
【リリアルの攻撃!】

「…大人しく…降伏して下さい…!…」


冗談───うおっ!?

ガッ!
【マサアキは切り倒された大木につまずきバランスを崩した!】

まっず…!?死……!


「………っ!…」

スカ…!
【リリアルの攻撃は外れた!】


……?は…?


「………運のいい…命拾いしましたね…」


いや…お前……


「…二度はありませんよ…大怪我したくはないでしょう…降参して下さい…」


…………




………もうやめようぜ


「……それは…負けの宣告と取ってよろしいのですか?…」


違う。こんな勝負に意味なんか無いって言ってんだ


「………何を根拠に…」


いやだってお前、本気で切るつもりないだろ?

今この場で座ったっていいぞ


「………」


破壊の無駄な多さとか、萎縮させるような脅し文句には何となく違和感を感じてた

大方、俺をとことんビビらせて白旗を振らせたかったんだろうが、もう気付いちまったよ

さっきのでやらないのは決定的だった


「………はぁ……」


「……これも失敗……ですか…」


………なぁ、そろそろはっきりさせようぜ

こんな回りくどいことまでして、一体何が目的なんだよ。お前

「………」



「…まずは…身勝手な私の意見を色々汲んでいただき…ありがとうございました……」

「…この真剣勝負における私の狙いは…主に二つありました…」


「…一つは…あなたの実力…力量を見ること…先ほど動きを止めさせて頂いた時…並以上の体格は持ち合わせていらしたので…能力を計らせていただきました…」

「…結果…子うさぎのように逃げ惑うだけで大したデータは得られませんでしたが…」

悪かったな

ただ逃げる一択だろ。同じ状況なら誰だって



「…もう一つは…この勝負に勝って…あるお願いを申し上げようと思っていました…」


あるお願い?


「…はい……」


「…それは…私の村に訪れてもらうこと…形はどうであれ構いませんでした…」


最初怪我したふりをして村まで送って貰おうとしてたのはそういうことか


「…はい…それがパターンA…弱った女の子に近づくエロエロもヘじを捕まえよう大作戦です…」


あぁ…引っ掛からなくて良かったぁ

あとお前がアホで


「…その節は騙そうとして申し訳ありませんでした…」


まるで騙せてなかったし、その節で謝ること他に山ほどあるだろ



──で、そうまでして俺たちを村に引き入れようとした理由ってのは何なんだよ?


「…私たちの村が…ある魔族の二人組に目を付けられてしまったからです…」


魔族?


「…えぇ…」

「…魔族の名前はバミラルーボ…」

「…強欲で凶暴な二人組で…数日前に突然私たちの村に現れ…襲われたのです…」


襲われた……


「…私の村はラスンと言って…元々人も少なく…その上大多数が女性で…貧しいながらも皆で一致団結して慎ましく暮らしていました…」

「…そんな中…その二人組が現れ…金品や食料…他にも質の良い武器や防具…装飾品…家畜など…生活に必須なものは大抵奪われてしまったのです…」


じゃあ、その魔族をどうにかしてもらおうと、お前はわざわざフィールドに繰り出して道行く人を吟味してたわけか?

能力を計らせてもらうってのも、その一環で


「…それは…半分あたりで半分はずれです…」

「…もしも魔族をどうにかできるような人なら…私程度が腕を試すことに何の意味もありませんし…おそらく…相手にもされないでしょう……」

「…ともすれば…フィールドに寝転がっているような金品の一つもない女など…もてあそばれて終わりですよ…」

…………



「…能力を計らせてもらったのは…バミラが若く威勢のいい男性を所望しているからです…」

「…これの理由は不明ですが…おそらくは奴隷か…とても好戦的な魔族なので…自分と戦わせるための相手としてか…その辺りでしょう…」


でも、お前の村って大多数が女性ってさっき…


「…はい…」

「…私の村に若い男の人などいません…いても中年から高年にかけての男性…他は大抵がシスターです…私もですが…」


シスター?お前が?


「…言われてみれば…とは思いませんか?…」


ギュイィイィイン…!


いや、こんなシスターはいねぇ



「…以上がざっくりですが事の顛末てんまつになります…長々と聞いて頂きありがとうございました…」

「…ご理解されたでしょうか?…」


まぁ、なんとなくな


「…それならば良かったです…」

「…全てを話してしまったので…もうあなた方に執着する理由は無くなってしまいましたね…」

「……なので私はそろそろ失礼します…これまでの数々の無礼…申し訳ありませんでした…」


おい、まだ肝心なことを聞いてねぇぞ


「……?…肝心なこと…ですか?…」


そのバミラとか言うやつの要求、叶えられなかったらどうなる?


「………そんなこと…わざわざ聞かなくても何となく察しはつきませんか?…」


だからまたお前は、俺たちじゃない他の誰かを騙すような真似を繰り返すってのか?

何度も何度もよ


「……………では…他にどうすれば良いのですか?…」

「……お金も食料もない…人にすがる術を奪われた私達が出来ることって何がありますか…」

「…あなたがラスンをどうにかしてくれるとでも言うのですか?…ねぇ…」

「…教えて下さいよ…」

ギリ…ッ!
【リリアルは惨鬼を強く握りしめた!】


…………


「…私達の村は皆で協力し…一から村をおこしてきたため…絆も深くとても仲良しなのです…一人だって犠牲を出したくはありません…」

「…余所者よそものが…安全地帯から正論を並べてシスターに説法をすればそれで満足ですか?…」

「…綺麗事でお腹は膨れません…新品のお洋服だって着れない…年端としはも行かない子供達が自由に外に出て…太陽の下を目一杯に駆け回ることも…許してあげられない…」

「…これが神から与えられた試練なんて…平和ボケした人の戯言たわごとです…」

「…贅沢をしたいなど思った事はありません…どれだけ貧困だって文句は無かった…誰かのお腹が鳴り…それをまた誰かが笑って…お腹空いたねって言い合える日常さえあれば十分なのに…」

「…そんな些細な幸せを願うのすら…私達には高望みだと言うのですか…」


リリアル……


グイ…!
【リリアルは涙を拭った!】

「…いくら非人道的だと揶揄やゆされようが…手段を選んではいられないのです…あなたとはやはり決着をつけようと思います…」


ギュイィイィィン…ッ!!
【慘鬼は力を最大まで溜めている!】


……!


「…構えて下さい…次は外しませんよ…」

「…腕の一本でも切り落として…無理やり村に連れて行けば…私の覚悟も伝わりますか?…」

「…いやなら…また脱兎だっとのようにこの場から逃げ去ってください…」


ガチガチ…!
【リリアルは怯えている!】


はっ……チェーンソーより震えてるぜ。大丈夫かよ

そんな状態のお前に、何が成し遂げられるって言うんだ?


「…だ…黙ってください…!…私は本気ですよ…!…」

「…逃げるばっかりの…何の覚悟も持っていない人が…偉そうに人のやり方に口を挟まないで下さい…!…」


逆上した女は怖いってのはマジだなこりゃ、何しでかすか分かったもんじゃねぇ

こんなやつフィールドに野放しにしたら、他の旅人が災難だ


だから……ちょっと頭を冷やさせてやるよ。リリアル

来な


タンッ!
【リリアルの渾身の一撃!】


こうげき
とくぎ    ◀
ぼうぎょ
どうぐ
にげる
???    ◀
やめる



【マサアキは???を発動した!】


〜To be continued〜

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