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双星たかはるの詩歌などテキストを集めたマガジンです。2020年以前の作品は、テキストブログかカクヨムをご覧ください。
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2021年2月の記事一覧

詩『洒』

詩『洒』

小花の丘を綺麗と言って
星の咲くような緑の丘を
横たわるわたしを

瀟洒な閨だと言ってください
わたしの体を包み込む
いつかのグリーンスリーブス

なにが過不足なのかなど
誰も問うてはいないでしょう
あなたの思い出だけでいい

太陽の落ちた草に跪き
夜が来る意味に落涙すれば
わたしは再び生まれるでしょう

白い小花の姿をして
陽気にジグを踊るから
あなたは得意の笛を吹いてよ

小花の丘を綺麗と言っ

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詩『打』

詩『打』

真実はそのまま言うべきではない
写実的に切り出すのは得策ではない

技巧的に表現するのが詩歌
読者のために書くのが小説
きれいにきれいに包む本音

馬鹿正直は社会性を疑問視される
集団心理のなかでは思考停止も正義

自分をごり押しするのはよくない
他人を思いやるべきである
きれいにきれいに包む建前

心の輪郭にあるささくれは
砕けたばかりのオブシディアンだ
鋭利で己も傷を負うから
決して晒してまわ

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詩『昧』

詩『昧』

まったくの蛇足である
しかしなくてはならないのである

ショートケーキの小ぶりのイチゴ
フルーツサンドのキウイフルーツ
正直すっぱくないですか

見栄と嘘は星のあかりだ
過去を塗り込めた遺影の投射で
今の姿が判らない

入れ知恵をしたのは誰なのか
無邪気な子供でいたかったのにと
勘違いをする大人でいたかった

独立している生命体で
溶けあうこともできないままに
侵食しようと躍起になっている

無意

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詩『続』

詩『続』

ごきげんよう

こんにちはにもさようならにも使える言葉
その意図はめぐりめぐって途切れない
果てのない糸をつむいで輪る糸ぐるま
二十三・四度かたむいている糸巻きに
今日も明日も巻かれていくよ

六文字のネバーエンディングストーリー
わたしたちが詠うことをやめないかぎりは
この世界が点滅を繰り返しているかぎりは
誰にも終止符は打てないだろう
今日も明日も記していくよ

いつだって挨拶をして挨拶をする

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詩『粋』

詩『粋』

御神籤が大吉であろうがなかろうが
これまでどおりに生きるのだろう
神様を信じようが信じまいが日々はすぎてゆく
病が流行ろうが容赦なく時がゆくのと一緒だ

ならばどんな小さなことにも目を見張る
降る結晶を六花と季語で言い換える
ほかの言葉もあたったりそのまま俳句を練ってみる
詩的なことに気づいた心は案外やわらかく動く

本当のさいわいがなにかは判らない
宮沢賢治も言っていた
尊い犠牲か日常のどちらが

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詩『共』

詩『共』

離すわけにはいかないの
だけどチグハグな心と体
だいたい心はどこにあるのか

苦しいのは胸 指令は頭
体の不調を伝える神経
生きる心臓 宿る魂

心は鎹 命と体の
シナプスみたいに繋いでいる
だからどこにもあるはずなのに
わたしは悩む
途方に暮れる
痛む心を治せずにいて
投げ出すこともできなくて

死がそれぞれを別つまで
鎹はなくならないのなら
それなら心は死ではないのか

生ですらなく死ではない

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俳句『冬』五句

俳句『冬』五句

お風呂場の褪せたシールよ春隣

犬と散歩しながら探す霜柱

初恋のきみ微笑みし冬の虹

陰鬱な日を焼き給え冬茜

一面のレフ板照らし冬の月

20210122

詩『改』

詩『改』

耳に流れ込んできたくぐもった音色は
わずかなメロディとジェット音にも似た海中音
(マイクで拾う胎児の心音)
ひとりで生きてきたという思いあがりを
よくあるヒーリングミュージックがほどく
息をする方法は胎内で教えられていた
回帰したいという願望はない
それでも遠い昔に伝えられていたことを
ようやく取り戻して深呼吸をする

20210117
第103回 詩コン『改』

詩『吹』

詩『吹』

わたしのなかにはいないのです
私情を綴るだけで至情はなくて
詩情が見えたと嘯くばかり
わたしは藻抜けの腑抜けですので
架空の空を事細かには語れません
詩人が存在しないのです

どこかの誰かのレゾンデートル
叙情のかけらすらもない押売り
自ら曝して枯らした庭木
アンビションという悪夢が笑う
走れど走れど逃げきれないと
皮膚の隅々で感じます

童謡の金糸雀は救われますが
わたしにその手はあるのでしょう

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詩『進』

詩『進』

時がわたしを連れていくので
留まることはできないのだが
知ったかぶりの外野は言うのだ
(前を向いたら?)
(足許見たら?)
大手を振って踏み出していく
確かな軌跡を軽やかに刻もう
キレイに生きられなくていい
(変わらないよね)
(頑固だよね)
進歩がないのはどちらだろう
思考停止は安易な手段
お眼鏡に適わずごめん遊ばせ

時がわたしの背なかを押すから
否が応でも前のめりなほど
生きていくとは進むと

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