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建築

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#コンクリート

【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

建築家安藤忠雄氏の名目的なデビュー作が『住吉の長屋』である

1976年に完成したこの『住吉の長屋』を武器にこれまで世界中で闘ってきたと言っても過言ではない

安藤忠雄氏の建築の精神は、先日取り上げた『表参道ヒルズ』もすべて、遡れば『住吉の長屋』に繋がっている

『住吉の長屋』はその名の通り、大阪の住吉大社のすぐ近くに位置する
私は今から18年前の学生時代に『住吉』という地名だけを頼りに探し回り実

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【architecture】東京カテドラル聖マリア大聖堂|丹下健三

【architecture】東京カテドラル聖マリア大聖堂|丹下健三

いよいよ東京オリンピックがはじまった
一生に一度や二度しかない日本でやるオリンピックである
せっかくならば楽しみたいと思う

前回の東京オリンピックは1964年の57年前である
その時つくられたのが国立代々木競技場である
原宿駅からすぐの場所にあるこの競技場は建築家丹下健三氏による設計である

(写真はHPより引用)

丹下健三氏は広島平和記念資料館や香川県庁舎、大阪万博のお祭り広場、現在の東京都

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【architecture】光の教会③|安藤忠雄

【architecture】光の教会③|安藤忠雄

前回までの記事はこちら↓

教会は完成した
少しこの建築に秘められた設計意図を私なりにまとめてみようと思う

(資料は下記のHPより引用)

まずこの建築の肝は正面の十字の切り込みである
(図面の①のところ)
それであれば箱に切り込みさえあれば表現はできる
ではL字型の壁がなぜ貫通しているのか…

ひとつは光の調節である
恐らく法律上の採光を確保することと最低限の明かりをいわゆる窓を設けることなく

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【architecture】光の教会②|安藤忠雄

【architecture】光の教会②|安藤忠雄

前回の続きである(前編はこちら↓)

基本設計がまとまり、具体的な詳細設計に入ると単純な箱のはずの設計は困難を極めた

正面にある十字の切り込み
この建築の肝である

一見単純だが切り込みにより構造的には切り込みから上の壁は浮いたことになる
その浮いた壁を支えるためにこの壁の中に大量の鉄筋が埋め込まれているのだ

コンクリートは型枠の中に鉄筋があり、そこにコンクリートの塊を流し込むことでできる

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【architecture】光の教会①|安藤忠雄

【architecture】光の教会①|安藤忠雄

ところで、建築家の選択として、あなたがベストだと思うけれど、条件として、われわれにはお金がなない。したがって、これもあなたに頼むのが適当だという理由である

時は1987年。
はじめて建築家安藤忠雄の元に教会建設の依頼に訪れた施主は、建築家にこのように話した

かつて、織田裕二と財前直見が出演したドラマ『お金がない』はトレンディドラマ全盛期にヒットした

建築家の選定に『お金がない』からという理由

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【architecture】街を眺める建築|塔の家|東孝光

【architecture】街を眺める建築|塔の家|東孝光

梅雨が早く始まった上に緊急事態宣言中の岡山
日中息子と過ごす時間も多いこの頃は、よく息子に抱っこをねだられて道路側の窓辺で、通り過ぎる宅配車や郵便配達のバイク、登下校する小学生などを眺めている

抱っこをしているのはしんどいのだが、私は何気ない人間観察が好きだ
街を歩く人は、ニヤニヤしてる人や、何やら落ち込んでいる人や、小走りに急いでいる人など様々な表情をしている

その姿を見ているのは理由は分か

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【small design】塔の家|東孝光

【small design】塔の家|東孝光

渋谷区の外苑西通り(通称キラー通り)の坂道を登ったあたりに、コンクリートの塔のような住宅がある

1966年に建築家の東孝光氏によって設計された自邸である

わずか6坪の敷地に地下を含む6層の床が積まれている
内部は壁から突き出た階段を介してほぼ間仕切りのないワンルームのような構成である
あまりの狭さに階段も含めて生活の居場所であったと聞く

極限まで無駄を省いてミリ単位での設計は文字通り私の目指

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【architecture】東京アートミュージアム|安藤忠雄

【architecture】東京アートミュージアム|安藤忠雄

一切の無駄を排した空間に光だけが差し込む建築

建築家の安藤忠雄氏が2004年に東京都調布市仙川に完成させた小さなミュージアムである

甲州街道に繋がる新たに完成する幹線道路により、三角形や台形、細長いといった不整形な土地が道路沿いに出来てしまった

そこで地域から依頼を受けた安藤忠雄氏は不整形な土地を活かすように沿道に商業施設や劇場、共同住宅、保育園などを設計した

ひとりの建築家がこれほど一体

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【architecture】SHUKUGAWARA SUNNY GARDEN|安藤忠雄

【architecture】SHUKUGAWARA SUNNY GARDEN|安藤忠雄

兵庫県西宮市の夙川にある安藤建築
『SHUKUGAWARA SUNNY GARDEN』

完成は1978年である。
安藤忠雄氏の代表作である『住吉の長屋』が完成したのが1976年なのでほぼ同時並行で進められた作品なのだろう

小規模の商業施設で、小さな店舗が複雑な立体迷路状の空間構成の中に集まっている

シンプルな構成ではあるが複雑性も併せ持っているように感じた
この建築以降の安藤氏の商業施設設計

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