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短編

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#創作

魚籠

野ざらしで薄黒くなっているコンクリートの上に簡易の椅子を開いて、すっくりと座り込んだ。ふぅと息を吐きながら、近くにおいていた釣り竿やらなにやらを手繰り寄せた。ちまりちまりと、針先にゴカイを半分にプッチりと切ったものをつけてシュッと海に投げた。潮風と波の音ばかりでない人の語らいが聞こえる。家族連れやら友人連れやら、賑やかにやっている。
ぷはぁと、空に息を投げては、浅くやってくる微睡みに付き合いながら

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脊柱

高い天井を見上げている。驚くほど真っ白だ。清潔感よりかは、いっそ、自分自身の色を吸い上げられてしまうような吸引力を感じた。
頭の中の宝箱にしまった、過去の鮮烈な記憶が、極彩色の映像となって投影された。
ああ、可愛らしい彼女の横顔だ。いじらしく気になって、ばれるかもと怖がりながら見つめていたことを覚えている。
ちょっと照れた引きつりを顔に感じて、隣で彼女が笑っている。彼女が頼まれた荷物を、勇気を出し

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湯の花

心地が良い。耳をくすぐる湯の音が、己に貯まる凝り固まった淀んだものを砕いて、押し流していく。
肺に渦巻く暗いものを、己を見下ろす空へと向けて投げ出した。自然は全てを受け止めてくれた。少なくとも私は、そう感じた。
ゴツゴツと不揃いの岩が、体に食い込み、小さくない痛みを感じることもあるが、生きることに比べれば、大したことのない刺激にすぎない。
あまり強くはないが、今日という日のために、一等よいお酒を買

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隠している

隠している
隠している。色々と。
実を言うと、隠さなくてもいいものも、結構あったりする。
隠しとかないと、どうしようもない物もあったりする。
隠していると、嬉しいものもある。
隠したくないものも、あるにはある。
隠していたら、変わっていたものもある。
どちらにせよ隠している。
多分どこにでも隠している。
一挙手一投足、隠している。
隠していないときがない。
むしろ隠していないものってなんだろう。

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