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エッセイ

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2023年10月の記事一覧

味噌汁と新妻の悲哀

味噌汁と新妻の悲哀

味噌汁は鍋を使わなくても作れる、というのは一人暮らし時代に知ったことだ。
スーパーには「調味みそ」という、だしの入ったチューブタイプの味噌が売っており、乾燥わかめやねぎなどの具とともにお湯で溶けば、インスタントよりも割安かつ美味しい味噌汁が食べられるのだった。

結婚してから研究はさらに進み、調味みそを買わずとも、ほんだしと普通の味噌を適当に入れれば同じようなものが作れることがわかった。
もちろん

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ケーキ屋バイトの理想と現実

ケーキ屋バイトの理想と現実

8月の終わりから、近所のケーキ屋でバイトしている。
作る方ではなくて、店番である。客の注文したケーキをトレイに取って、箱に詰め、レジを打つ。もっとも、レジはあまりに覚束ないせいか、最近あまり触らせてもらえなくなった。店主の奥さんがやってくれるのだ。

ここで働き始めた動機は単純で、前のバイトを辞めて次を探していたときに、バイト募集の張り紙を見たからだ。女子たるもの、人生で一度くらいケーキ屋さんで働

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初めて煙草を買った25歳。

初めて煙草を買った25歳。

半年前にこんな記事を書いた。煙草を吸ってみたいけど、買い方も吸い方もよくわからないし吸わないだろう、という文章だ。

毎日無性に眠たくて、今日も一日寝て過ごした。
日が暮れたのでシャッターを閉めようと窓を開けたら、夜風の涼しさに目をみはった。サンダルを突っかけてベランダに出ると、ふと、「煙草吸いたいなぁ」と思った。この夜風に当たりながら一服したら、実に気持ちが良さそうだ、と。

上着を羽織って、徒

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「無駄な語彙」?

「無駄な語彙」?

私はいま怒っているので、気分を害したくない方は以下読まざるが吉。

昨日の夜、私は鬱であった。なぜなら夜だからだ。
夫に食わせてもらっているばかりか、自分のお小遣いにも足りない額のアルバイトしかできていない私は、「私なんか穀潰しだ」と呻いた。

それを聞いた夫は笑った。なぜ笑うのかと問えば、「『穀潰し』なんて20代の子から出てくる言葉じゃないよ」と言う。
そう言われるのは慣れている。幼い頃から本を

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