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ケーキ屋バイトの理想と現実

8月の終わりから、近所のケーキ屋でバイトしている。
作る方ではなくて、店番である。客の注文したケーキをトレイに取って、箱に詰め、レジを打つ。もっとも、レジはあまりに覚束ないせいか、最近あまり触らせてもらえなくなった。店主の奥さんがやってくれるのだ。

ここで働き始めた動機は単純で、前のバイトを辞めて次を探していたときに、バイト募集の張り紙を見たからだ。女子たるもの、人生で一度くらいケーキ屋さんで働いてみたいではないか。

期待を膨らませていたわけだが、実際のところそこまでキラキラした仕事ではない。
私の勤め先は正直、人気店というわけではない。要するに、暇なのだ。

暇な時間何をするかというと、雑用である。
作業は日によって違うが、今日は焼き菓子を詰める箱を、厚紙の状態から折って組み立てる作業をした。つらかった。手が痛いし腰も痛いし。2時間半かかった。
あとはクッキーを袋詰めしたり、焼き菓子に原材料名のシールを貼ったり、領収書に店名のはんこを押したり。

私のシフトはなぜか平日の夕方という、そりゃ暇でしょうよという時間帯に入れられるので、客に応対している時間よりも雑用(内職?)をしている時間の方が圧倒的に長い。立ちっぱなしなので足腰も疲れるが、それより精神的に疲労する。楽しくない。一人なので誰かと喋りながらできるわけでもないし。

まあ、楽しいだけの仕事なんてあるわけがないのだ。
週に一度しかシフトが入らないので、もう3ヶ月経つとは思えないほど仕事に不慣れである。
ひとりで作業しながら考え事に没頭できる時間はまだいいが、常連客が店主夫妻とつまらない長話をするのには辟易する。どうしても耳が声を拾ってしまい、気が散るのだ。全く知らない他人のお子さんの近況とか、本当にどうでもいい。私が会話に入れるくらい長く勤めていたら楽しいんだろうけど。

ただ、週に一度の室内での軽作業は、私のいまの体調には非常に合っているので、辞める理由が出てくるまでは続けようかなぁと思っている次第。

ちなみに、3ヶ月働いているが、残り物のケーキをもらえたとかそんな美味しい話は一度もない。
給料日にはケーキを買って帰ろうかなぁなんて思っていたが、バイト代があまりにも雀の涙なのでそんな余裕は微塵もなかった。

ケーキ屋なのにしょっぱい話ばかりしてしまって恐縮である。
憧れのバイト先、残るは花屋かなぁなんて思うが、花屋ってあんまりバイト募集してるイメージないよなぁ、などと思ったりする。

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