Base Ball Bear、最新作『C3』で提示するバンドの特別さ/異端さ[増補改訂版]
Real SoundにBase Ball Bear『C3』に関してのコラムを寄稿しました。
事前に音源を頂いて書くという試みを始めて行ったのですが、もう早く曲について喋りたくて仕方なかった笑。未公開だった3曲があまりにもとんでもない曲すぎて。情報が出た時は、正直、新曲少ないなぁと思ったのだけど、むしろ少ないからこそ映えるというか、重要性がしっかりと伝わるのです。コラムでは『C』シリーズのみに絞ってプレイバックレビューしたけど、このnoteではもっと語りたかったことを増補改訂というか補足する感じで。ひとまずは未公開だった3曲の、初聴時の衝撃をメモした感じの内容を記載。↓
M5「L.I.L」
「LIVE IN LIVE」っていうモチーフ自体、「Tabibito In The Dark」の頃からのライブ観であるし、《19時の約束》とはもろにその曲の指定時刻なわけで、ここにきてもう一度、ライブという営みを明朗に歌おう!という心意気が感じられる。これは、ベボベファンでなくともグッとくる部分がある曲かと。ライブに行くという行為、それ自体を愛する歌なので。《生きている 僕も君も 完全に》と思い合えているステージとフロア、最高の景色でしかないよ。
《夕暮れのバス停で 君のこと待ってた》という往年のシチュエーションを描きつつ、《ときめきが きらめきが 時を渡る》という部分で、昔の曲を今もなお瑞々しく鳴らせる証明をしているようだ。ベボベって『十七歳』を筆頭に青春のイメージが根強いし、もどかしさを感じることもあっただろうけど、やっぱ今のモードも《ルーズリーフに書きなぐってた 作文みたいな詩》の続きなんだ、と。《何度でも なぞるから》と歌えるの、本当に真摯だ。
M7「EIGHT BEAT 詩」
ここまでBase Ball Bearを聴き続けてきた人にとっては涙なしで聴けないし、その昔にBase Ball Bearを聴いていた人にとってもハッとなる箇所があるし、今までBase Ball Bearを聴いてこなかった人にとってはヒストリーガイドだ。チャップマンスティックのループの中、ギターレスでほぼオケはドラムの展開のみという衝撃曲。ミニマルだけど激情が迸っているし、きっとこれハンドマイクで歌うだろうし、ライブだとこの曲一体どうなっちゃうんだ~?!
登場する固有名詞・エピソード、語り出せばキリがないからさておくけど、曲順の妙味としては、この後に同じラップ曲「PARK」が来るかと思いきや「セプテンバー・ステップス」を挟むのが実に心地よい。チャップマンスティックの音色と、セプテンバー~のギターのとろみがよくマッチしてる。
M12「風来」
こういう曲がベボベで聴けるとは、、っていう曲がいっぱいある『C3』なのだけど、その締めくくりであるコレはその最たるもの。こんなにこやかで、エネルギッシュで、生きた心地"しか"しない歌を小出祐介が歌うなんて。『(WHAT IS THE)LOVE&POP?』『新呼吸』『二十九歳』といった作品群で、自身の業と向き合うようなシリアスで冷静な自分語りをしてきた彼の、健やかでありのままな、ある種の新しい響きの自分語り的な楽曲であると思う。
《動くベルトの上で維持してるスタイルに いま接吻を送る》っていう部分の気持ち良さ、字面じゃ分からないけど聴いて口にすると分かるのだけど、こういう言葉選びってホントどうなってるんだ、って鳥肌立つ。その後の《ふかふかの 白い飯かきこむ》でふっと力抜けてほろっと泣ける感じも、ね!
その他、諸々の雑感はこれ以降に↓
昨年書いた「Base Ball Bearがくれた眼差し」内で「いまは僕の目を見て」の根源的すぎるテーマにうち震えてたけど、その先に「Cross Words」が待ち受けていたのが、ね。より生活的な中でこの"伝える"議題に向き合ってる。
意味性を排した「Grape juice」とかがあるからこそ、こういう意味そのものを歌ったような言葉が輝き出す。この辺りのバランスの取り方はこれまでも抜群なバンドだったけど、これだけBase Ball Bearそのもののことを描いてもそれが独りよがりにならない作品に仕上がっていて、感服する他ないです。
昨年末に終了したギドべツアー↑の曲順通りに「Flame」から「Summer Melt」という流れが収められたのも、なんだか制作過程を覗き見れたような気がして、決してファンと馴れ合いをしてるわけじゃないんだけど、"近い"感じは凄くする。ライブでの実感を得て「試される」のギターソロが付け足されたり、「PARK」のミックスが変わったり。ツアーやライブを含めたドキュメント性というのは、歌詞からも音像からもびしびし伝わってくる。あと今振り返ると、「EIGHT BEAT詩」で「GIRL FRIEND」と「chages」が出てくるから、ギドべツアーのセトリに入ってたのかなぁ、とか、楽しい話だ。
レーベルとかマネジメントとか含めて新体制・初なのは『C3』なのだけど、忘れてはいけないのが前作『光源』で。完全にスリーピース編成になった以上、きっとこの路線はこれきりなんだろうなぁと思うとレアめに聴こえてくる。パラレルワールドをテーマにした『光源』が『C3』が出たことで本当にパラレルワールドのベボベが作ったみたいなポジションになったのが興味深い。結果としてちゃんとディスコグラフィーに意義深く収まったの、凄い。
ちなみにReal Soundの記事では、ベボベ公式アカウントにリツイートしてもらえたこともあってアクセス数的にもようやく少し貢献できたかなぁと。一瞬、9位になっただけだけど。ジャニーズ、坂道、アニメ、V系の壁は厚い!
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