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2012 to 2022〜10年分の年間ベストアルバムトップ10を振り返る

「2012 to 2022」は10年前に発表された作品を起点にして、この10年間の作り手やシーンの変容についてあれこれ記していく記事のシリーズです。

「2012 to 2022」をやろうと思ったのは、自分が意識的に多くのカルチャーに触れようとし始めたのが2012年だったことに由来しているので、"年間ベストアルバム"というのも2012年から勝手に書き留めていました。今回の記事は2012年~2021年までの10年間の年間ベストアルバムトップ10を総まとめ。


2012年ベストアルバム

1位 クリープハイプ 『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』
2位 米津玄師『diorama』
3位 きのこ帝国『渦になる』
4位 ザ・なつやすみバンド『TNB!』
5位 The Mirraz『言いたいことはなくなった』
6位 SAKANAMON『na』
7位 パスピエ『ONOMIMONO』
8位 Galileo Galilei『PORTAL 』
9位 BIGMAMA『君がまたブラウスのボタンを留めるまで』
10位 モーモールルギャバン『僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ』

この10年を通して見ると1番異色な感じがする。受験期の抑圧から解き放たれていたので、上半期の作品が多いのはそういうことか。高校時代にギターロックにやや飽きする時期があったのだけど、1位はもう聴いた瞬間にガッツポーズしちゃったし、米津の1stは時代が動く音が聞こえた気がした。どんどん若手が出てくる時期だったのでデビュー作とかメジャー1stとかが多め。きのこ帝国はここから活休まで全作トップ10入りする大好きなバンドになる。



2013年ベストアルバム

1位 パスピエ『演出家出演』
2位 UNISON SQUARE GARDEN『CIDER ROAD』
3位 私立恵比寿中学『中人』
4位 さよならポニーテール『青春ファンタジア』
5位 きのこ帝国『eureka』
6位 星野源『Stranger』
7位 ももいろクローバーZ『5TH DIMENSION』
8位 サカナクション『sakanaction』
9位 でんぱ組.inc『WORLD WIDE DEMPA』
10位 クリープハイプ『吹き零れる程のI、哀、愛』

フェスブームが本格的に到来する中、僕にはアイドルブームが到来していたことがよく分かるラインナップ。振り切れたようにポップなものが好きになってるのよね。1位のパスピエはロックバンドとしてもカッコいい音だし、ガールズポップ的魅力もあってその両刀っぷりが良かった。未だに最高傑作だと思う。あと星野源とサカナクションの、ここから一気に駆け上がっていくきっかけになった2作ね。ギラギラしたアルバムをにやにや聴いてた時期。




2014年 ベストアルバム


1位 Base Ball Bear『二十九歳』
2位 きのこ帝国『フェイクワールドワンダーランド』
3位 フジファブリック『LIFE』
4位 Gotch『Can't Be Forever Young』
5位 大森靖子『洗脳』
6位 赤い公園『猛烈リトミック』
7位 パスピエ『幕の内ISM』
8位 米津玄師『YANKEE』
9位 チームしゃちほこ『ひまつぶし』
10位 The Mirraz『OPPORTUNITY』

アルバムとしての強度という点でベボベの『二十九歳』は衝撃的だったし"ベストなアルバム"を考える上でのこの年以降の基準になったように思う。あとコア向けなバンドが外に開けていく時期の作品にとても魅力を感じるのだと、きのこ帝国と赤い公園のランク作を振り返ってみて思う。フジファブリックやGotchなど親しんできたバンド/シンガーの濃い部分が出た作品も好き。そういう意味で、自己表現を極める大森靖子にハマるのは必然だった。




2015年ベストアルバム

1位 私立恵比寿中学『金八』
2位 Base Ball Bear『C2』
3位 LILI LIMIT『Etudes』
4位 ASIAN KUNG-FU GENERATION『 Wonder Future』
5位 きのこ帝国『猫とアレルギー』
6位 パスピエ『娑婆ラバ』
7位 アカシック『DANGEROUS くノ一』
8位 星野源『YELLOW DANCER』
9位 さよならポニーテール『円盤ゆ〜とぴあ』
10位 ねごと『VISION』

エビ中ブームが巻き起こった結果、というよりはこの『金八』があまりにも凄すぎてエビ中にハマらざるを得なかった。いまだに、J-POPグループのアルバムの最高傑作だと確信している。ベストアルバムを決め始めてからアジカンが初めて入ったけど、やっぱ好みどんぴしゃなアルバムではなかったのかな、という順位。だいぶ好みの方向性が定まってくる中、アカシックが初めてランクイン。良いメロディこそが良い曲、という意識はこの頃から強い。



2016年ベストアルバム

1位 LILI LIMIT『a.k.a』
2位 大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』 
3位 私立恵比寿中学『穴空』 
4位 UNISON SQUARE GARDEN『Dr.Izzy』
5位 きのこ帝国『愛のゆくえ』 
6位 赤い公園『純情ランドセル』 
7位 ASIAN KUNG-FU GENERATION『ソルファ(2016)』
8位 04 Limited Sazabys『eureka』
9位 ふくろうず『だって、あたしたちエバーグリーン』 
10位 ザ・なつやすみバンド『PHANTASIA』

前年から推していたLILI LIMITが格別な1枚を出してベストアルバムに。いやしかしまさかこの1枚で解散するとは思わなかった。こういうのも記録してるとふと思い出して聴き返すことができるから良い。『ソルファ(2016)』の順位は再録盤を評価する難しさを示唆している。トピックスとしては、ここにきて急にフォーリミとふくろうずが存在感を示してきたこと。聴き始めた時期の衝撃を超える作品がその後にふと出てくるバンドって大好きになれる。



2017年ベストアルバム

1位 Base Ball Bear『光源』
2位 私立恵比寿中学『エビクラシー』
 3位 米津玄師『BOOTLEG』 
4位 ねごと『SOAK』
5位 赤い公園『熱唱サマー』 
6位 さよならポニーテール『夢みる惑星』 
7位 ねごと『ETERNALBEAT』 
8位 フレンズ『ベビー誕生!』
9位 スカート『20/20』
10位 アカシック『エロティシズム』

個人的な気分が大きく反映されるのもベストアルバム選考の興味深い点。1、2位はこの年に起きたひどく悲しい出来事を反映しているのは間違いない。あとはねごとの2作ランクイン。年2枚出すグループはこの後も出てくるけど、2作とも10位以内に入れたいと強く思えるのは今のところねごとだけ。しかしこちらもラストアルバムに。去り際の美しさってあるのよな、、、フレンズはルーキー大賞。スカートは後追いで過去作を聴きまくるくらい夢中に。




2018年ベストアルバム

1位 ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』
2位 きのこ帝国『タイム・ラプス』
3位 UNISON SQUARE GARDEN 『MODE MOOD MODE』
4位 AL『NOW PLAYING』
5位 フレンズ『コン・パーチ!』
6位 蓮沼執太フィル『アントロポセン』
7位 クリープハイプ『泣きたくなるほど嬉しい日々に』
8位 羊文学『若者たちへ』
9位 星野源『POP VIRUS』
10位 ネクライトーキー『ONE!』

音楽サブスクを嗜み始めたのがこの年から。蓮沼執太フィルみたいな新ジャンルもあったり聴く幅も広がった。長澤知之とandymoriのドリームバンドやクリープハイプ久々の快作、またネクライトーキーのインパクトなど、とはいえやはりポップな歌モノを大事にした年。象徴的なのはアジカン。キャリア20年を超えるバンドがここにきてフレッシュな1枚を届けてくれる嬉しさよ。きのこ帝国と羊文学が唯一共生した年というのは世代交代感があった。



2019年ベストアルバム

1位 For Tracy Hyde『New Young City』
2位 スカート『トワイライト』
3位 カネコアヤノ『燦々』
4位 サカナクション『834.194』
5位 teto『超現実至上主義宣言』
6位 眉村ちあき『めじゃめじゃもんじゃ』
7位 ナードマグネット『透明になったあなたへ』
8位 MONO NO AWARE『かけがえのないもの』
9位 ズーカラデル『ズーカラデル』
10位 Maison book girl『海と宇宙の子供たち』

スカートとサカナクション以外は全員初めて。かなり新たな風が吹く1年だった。1位のフォトハイは久々に何の予備知識もないまま曲の素晴らしさだけで大好きになった。まだこういう出会い方をできるのか、という喜びもあった。カネコアヤノはこれ以降どんどん愛着を増していくシンガーになっていく。teto、ナード、ズーカラあたりにはロックバンド復権の狼煙も感じるし、あとはブクガや眉村ちあきといった気鋭のアイドルの秀作も光った。


2020年ベストアルバム

1位 UNISON SQUARE GARDEN『Patrick Vegee』
2位 赤い公園『THE PARK』
3位 Base Ball Bear『C3』
4位 羊文学『POWERS』
5位 眉村ちあき『劇団オギャリズム』
6位 ネクライトーキー 『ZOO!!』
7位 tricot『10』
8位 リーガルリリー『bedtime story』
9位 パスピエ『synonym』
10位 Gotch『Lives By The Sea』

時はコロナ禍突入。今まで以上にアルバムを聴く時間は増えたように思うけど、ライブやレコ発ツアーを通してアルバムを好きになるというプロセスが失われたのは大きかった。やはり、アルバム単体で完結するということは僕の選考上少ないのだ。そして結果としては慣れ親しんだバンドが多め。とはいえ、ユニゾンは初めての1位だし、パスピエも久しぶりに。赤い公園はこのアルバムからまた羽ばたいていくだろう、と思っていた矢先だったな、と。




2021年ベストアルバム

1 位 クリープハイプ 『夜にしがみついて、朝で溶かして』
2位 Base Ball Bear『DIARY KEY』
3位 カネコアヤノ『よすが』
4位 For Tracy Hyde『Ethernity』
5位 吉澤嘉代子『赤星青星』
6位 DIALOGUE+『DIALOGUE+1』
7位 peanut butters『peanut butters』
8位 ネクライトーキー『FREAK』
9位 OKAMOTO’S『KNOWHERE』
10位 MONO NO AWARE『行列のできる方舟』

偶然だけども10年前同様にクリープハイプが1位になった。世間的なブレイクとか注目を浴びる時期を通過してもなお、まだグッと先にいける彼らの凄さを思い知った。実際、最近のほうがフェスでトリとか増えてるし。そういう意味ではOKAMOTO'Sも。実は最初の頃はむしろ苦手なくらいに思っていたのだけどいつの間にか大好きなバンドになっていた。長く追っていくと、どこでどのバンドを強く思っていたのか、の証になってくるのでグッとくる。



2022年の年間ベストアルバムは絶賛選考中。12月末アップ予定です。


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