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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年9月の記事一覧

お坊さんが隠すお寺の話 村井幸三~読書記録335~

お坊さんが隠すお寺の話 村井幸三~読書記録335~

2010年 仏教研究家の村井幸三氏による著書。

日本人から信心が失われて久しい。それでもお寺は、「葬式仏教」を頼みに、かろうじて生き延びてきた。しかし、法外なお布施や戒名料ばかりを要求する一部住職に、檀家さんの我慢は限界寸前。結果、仏教に頼らない葬儀が急増、さらに過疎化や後継者難の影響もあって、地方の末寺は崩壊の危機に……。自業自得の日本仏教に、再生の道はあるのか。お坊さんが黙して語らない、それ

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幽霊列車 赤川次郎~読書記録334~

幽霊列車 赤川次郎~読書記録334~

赤川次郎のデビュー作となるのが、こちらの作品だ。

『幽霊シリーズ』(ゆうれいシリーズ)は、赤川次郎による日本の推理小説のシリーズ、及びそれを原作としたテレビドラマのシリーズ。シリーズ第1作「幽霊列車」は、第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞した、作者のデビュー作。

女子大生・永井夕子と、事件を通じて20歳も年下の彼女に惚れてしまった捜査一課の宇野警部のコンビが活躍するシリーズ。
山間の温泉町

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人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧の問答~読書記録333~

人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧の問答~読書記録333~

2009年 茂木健一郎/南直哉僧侶 対談集だ。

我々はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか----。人類誕生以来、問われ続けてきたアポリアに、脳科学者と禅僧が挑む。死はすべての者に平等に訪れる。けれど誰もが望んでこの世に生まれてくることはできない。つまり、「私」に根拠はないのだ。だからこその苦、だからこその人生。それでも、その苦しみを引き受け、より良く生きるための方法はある。無常の闇に射す一筋

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加田伶太郎全集 福永武彦~読書記録332~

加田伶太郎全集 福永武彦~読書記録332~

純文学作家・福永武彦が加田怜太郎というペンネームで発表した推理小説集である。短編ばかりで読みやすい。

福永武彦が加田伶太郎(かだれいたろう)のペンネームで発表した「完全犯罪」「幽霊事件」「温室事件」「失踪事件」「電話事件」「眠りの誘惑」「湖畔事件」「赤い靴」の傑作探偵小説8編に、随筆「素人探偵誕生記」を併せ収めた異色の一巻。文化大学古典文学科の助教授で、自ら安楽椅子探偵を以て任ずる伊丹英典(いた

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未来の年表~読書記録331~

未来の年表~読書記録331~

2022年、元産経新聞記者でジャーナリストの河合雅司氏による著書。

人口減少日本で各業種・職種や公共サービスに何が起こるのか?
実人数が減り消費量が落ち込む「ダブルの縮小」に見舞われるこの国は一体どうすればいいのか?
瀬戸際の日本にこれから起きる大変化を詳細かつ大胆に描きつつ、「戦略的に縮む」という成長モデルの手順を深掘りし、「未来のトリセツ」として具体的に示す。

この図を見ていただけると、大

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ママ、嘘を見抜く~読書記録330~

ママ、嘘を見抜く~読書記録330~

ジェームズ・ヤッフェによる安楽椅子探偵ママシリーズだ。

三年に一度の地方検事選挙を控え、町はなにかと騒がしい。そんなある日、デイヴたちは殺人容疑をかけられたホームレスの弁護を引き受ける。彼の話はあまりにもうさんくさく、とても勝ち目があるとは思えなかった。しかし、ママの推理は選挙の行方をも左右する、思いも寄らぬ事実を明らかにしていくのだった。シリーズ第四弾。

ママシリーズは、これで終わりとなる。

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寺よ、変われ~読書記録329~

寺よ、変われ~読書記録329~

2009年当時、長野県松本市・臨済宗妙心寺派神宮寺住職であった高橋卓志僧侶による著書。

日本の寺は、いまや死にかけている。形骸化した葬儀・法事のあり方を改めるだけでなく、さまざまな「苦」を抱えて生きる人々を支える拠点となるべきではないか。「いのち」と向き合って幅広い社会活動や文化行事を重ね、地域の高齢者福祉の場づくりにも努めてきた僧侶が、その実践を語り、コンビニの倍、八万余もある寺の変革を訴える

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ハーメルンの笛吹きと完全犯罪: 昔ばなし×ミステリー~読書記録328~

ハーメルンの笛吹きと完全犯罪: 昔ばなし×ミステリー~読書記録328~

白雪姫、ハーメルンの笛吹き、みにくいアヒルの子……誰もが知っている世界の童話や伝説から生まれた傑作ミステリーアンソロジー。昔ばなしが呼び覚ます残酷な罠! 8篇を収録。

 全8篇
「空色の魔女」 仁木悦子
「笛吹けば人が死ぬ」 角田喜久雄
「メルヘン街道」 石川喬司
「絵のない絵本」 鮎川哲也
「青ひげよ、我に帰れ」赤川次郎
「遠い美しい声」 小泉喜美子
「みにくいアヒル」 結城昌治
「赤い靴」

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アンと青春 坂木司~読書記録327~

アンと青春 坂木司~読書記録327~

和菓子のアンの続編。

果てしない未来と、果てしない不安。甘いお菓子が、必要だ。待望の続編!

美人で頼りがいのある椿店長。
「乙女」なイケメン立花さん。元ヤン人妻大学生の桜井さん。
そして、食べるの大好きアンちゃん。
『みつ屋』のみんなに、また会えます──。
50万部突破のベストセラー、待望の続編ができあがりました!

収録作品

空の春告鳥
女子の節句
男子のセック
甘いお荷物
秋の道行き

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死はこわくない 立花隆~読書記録326~

死はこわくない 立花隆~読書記録326~

2015年出版。立花隆氏のインタビュー、講演、対談などをまとめた本である。

「死ぬというのは夢の世界に入っていくのに近い体験だから、いい夢を見ようという気持ちで人間は自然に死んでいくことができるんじゃないか」。
自殺、安楽死、脳死、臨死体験研究…。長きにわたり、人の「死」とは何かをいうテーマを追い続けてきた「知の巨人」、75歳。がん、心臓手術を乗り越え、到達した心境とは?

立花 隆(たちばな

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和菓子のアン~読書記録325~

和菓子のアン~読書記録325~

『和菓子のアン』は坂木司による日本のミステリー小説、ならびに本作を第1作目とするシリーズ名。作者の坂木は、舞台をデパ地下とする和菓子ミステリーは記憶にないので、これを題材にしたと述べている。

将来の進路を考えず漠然と学生生活を送り、進路の決まっていない中を街頭インタビューを曖昧に受け流し、高校を卒業。顔の知れた地元東京の商店街での勤務を良しとせず、無職に甘んじる気もなくアルバイトで働き口を探して

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