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和菓子のアン~読書記録325~


『和菓子のアン』は坂木司による日本のミステリー小説、ならびに本作を第1作目とするシリーズ名。作者の坂木は、舞台をデパ地下とする和菓子ミステリーは記憶にないので、これを題材にしたと述べている。

将来の進路を考えず漠然と学生生活を送り、進路の決まっていない中を街頭インタビューを曖昧に受け流し、高校を卒業。顔の知れた地元東京の商店街での勤務を良しとせず、無職に甘んじる気もなくアルバイトで働き口を探していた梅本杏子(うめもと きょうこ)は、突然降ってきた雨の雨樋に入ったデパート「東京百貨店」の中から、自分が気落ちせずに働けそうな同じ女性が働いていた和菓子屋「みつ屋」を選ぶ。百貨店テナントの都合から採用は東京百貨店の様式に沿う必要があり明日履歴書を持ってくるように言われる。当日の面接では2、3のやり取りの後、即決。晴れて「みつ屋」でアルバイト生活を開始することになった。

仕事上の不安は、泥酔客の接客中に同席の立花が客に放った一言で決定的となるが、後日沈む梅本を不審に思った椿が立花に尋ねたところ、椿に誤解を解くように促す。立花との対話で誤解が解けた梅本は、これからもみつ屋で働き続けることを選ぶ!

単行本収録作(全てシリーズもの)
和菓子のアン
一年に一度のデート
萩と牡丹
甘露家
辻占いの行方

坂木司の作品は、ミステリーなのだが凄惨な殺人などが起こらない、そんな安心感がある。
読んでいてほっとするのだ。それでいて、「謎解き」も気になるし、登場人物のキャラクターも実に設定が良い。

主人公のアンちゃんは、周りの人間に恵まれているな。実際、百貨店や駅ビルのテナントなどで働くのは、こんなにいいもんじゃないぞと元経験者(クビになった)のお婆さんは思うのであった。
立花さん、店長、同じ年のアルバイトの桜井さん、立花さんが以前働いていた店の店主。皆、良い人だらけ。

と、生協のカタログにあった全国の和菓子を気が付くと幾つもWebで注文していた。私が好きなのは金沢の和菓子かなあ。
ああ、京都の八つ橋も食べたくなるう。
そんな本であった。


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