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【ネスペ】令和3年春午後1問3の解説(ネットワークスペシャリスト試験)

このNoteでは、ネットワークスペシャリスト試験 令和3年春午後1問3の解説をします。

テーマは通信の優先度。L2SWが見るMACフレーム、L3SWが見るIPフレームのどこに優先度の情報を書き込むかがコアでした。

なかなか初見正解は難しいですね。

3段階の学習をすれば良いと思います。

  1. シンプル問題など正解すべき設問(緑)

  2. 出たからには覚える用語/仕様(橙)

  3. レイヤ2, 3の優先順の記述方法(赤)

とはいえ、基礎を外さなければ5割はいけるので、どれだけ粘って追加点を取れるか。

意外と浅い解答も多く、難易度バランスを取ったのも窺えはしました。目次を見れば分かりますが、知ってなきゃ無理問題、シンプルに正解できる問題がトントンな印象。

このNoteは、私の学生時代の合格体験・大学/IT専門学校での授業経験を活かして書いています。少しでも信用してくれたら嬉しいです。

それでは始めましょう!


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設問1a | 出たからには幾つか覚える1

設問1a:8

私には無理ですね。

知らないと正解できない上に、符号化がたくさんありすぎて覚えるのが現実的ではありません。私の合格教本にはビットレートは載っていませんでしたし。

合格教本より
>私の3ヶ月勉強法Note

とはいえ、今後も出る可能性があるので、調べておきます。調べた上で、テキストで取り沙汰された代表格だけでも覚えておこうかなと。

  • PCM:量子化データにそのまま符号を割り付ける方式

  • ADPCM前データとの差分で表現。PCMより容量小さい

  • CELP携帯電話のために開発。予め用意したパターンに近いものを割り当てる。

更にPCMにはSB-ADPCMがあったり、CELPは3種類(PSI-CELP, CS-ACELP, VSELP)ぐらいあったり。

電話で使用するときのビットレートは以下。

  • PCM:固定電話。64kbps

  • ADPCM:PHS。32kbps ※PHSは2023年廃止

  • CS-ACELP:8kbps

ひとまず、64kbpsと8kbpsだけ覚えておくことにします。詳しくは Wikipedia様へ

テキストを読んだ時は、覚えるべきか分かりませんよね。なので、過去問をして「覚えてなかったー」はOKです。ただ、出題された以上は、諦めて総ざらいして覚えてください。同じ問題や用語が出ることはなくても、周辺箇所が出ることは良くあります。とはいえ、覚えきれないので、重要層なものを2~3個選んで少しずつ増やしていくのが良いですね。




設問1b | プロトコル階層はネスペならでは

設問1b:UDP

正解できます。

メタ読み。「IP、【b】及びRTPヘッダ」と、ネットワーク層・【b】の層・アプリケーション層と来てるので、【b】はトランスポート層かなと推測。

トランスポート層と云えばTCPかUDP。>TCPとUDPのNote

音声通話はリアルタイム性重視。多少ノイズ・欠損があっても辞さない、というセンスでUDPと判断。知らなくても「理屈ある勘」で。

リアルタイム系のプロトコルは、UDP。RTPだけでなく、RTCPなどVoIP絡みのプロトコルは全て覚えて下さい。>VoIPのNote


ネスペでは今までの「Webページ⇔HTTP」など「用途⇔プロトコル名」だけの理解では終わりません。プロトコルの階層構造も意識します。HTTPでTCPを使っている、DNSはTCPでもUDPでも使えるなど。プロトコルの構成要素・仕様(モード)・データ構造まで覚えるのを目標にしてください。




設問1c | シンプル問題1

設問1c:廃棄, ドロップ, 損失

正解できます。

パケットが喪失する旨の言葉があれば正解にしてくれるでしょう。「ドロップ」「パケットドロップ」はIT用語として今後のために覚えます。




設問1d | 出たからには幾つか覚える2

設問1d:ToS

知らないと分からないですが、逆に言えば「IPヘッダの要素を幾つか知っておけ」という作問者からのメッセージ。

合格教本より
>私の3ヶ月勉強法Note

ひとまず、2つ。用語になってそうなので

  • 優先順位(ToS), 8ビット:今回出たので

  • TTL, 8ビット:パケットの生存期間(経由する機器の数, ホップ数

他の要素は、まぁ意味は分かるかなと思いカット、その代わりビット数は問われるかもと追加。全部は覚えられないので、目星つけてくださいね。




設問2(1) | 通信経路を図で把握する

設問2(1):拠点間の内線通話

正解できます。

会社の電話のかけ方は、外線と内線の2種類。

外線はPBXを介して公衆電話網へ。内線はPBXからIP-GWでパケットに変換され、L3SW1から広域イーサ網へ(15頁最初)。




設問2(2) | シンプル問題2

設問2(2):パケットの音声化遅延が大きくなるから

バッファはデータを一旦溜めておくメモリ・仕組みのこと。待合室みたいなものですね。

バッファを大きくするとたくさんのデータを待たすことができます。一方で待ち時間は大きくなるので遅延も大きくなります。




設問3(1) | 計算問題はなるべく取る

設問3(1):4,472

本社L3SW0のポートaから出るのは、外線電話。本社からの外線、5つの営業所からの外線。

図1の注記1より、本社の外線は80回線、各営業所の外線は10回線。よって合計は、80 + 10 × 5 = 130回線。

伝送量は16頁頭に「1回線あたり34.4kビット/秒」。

したがって、130 × 34.4kビット/秒 = 4472kビット/秒。念のため設問文の単位がビット/秒であるかは確認します。

なお内線電話は、L3SW0-hに入り、g, f, hに出力されます。




設問3(2) | シンプル問題3

設問3(2):L2SWからの給電は行われない

「PoE未対応の機器を誤って接続」したので、PoEでの電源供給がされません。

私の解答は、「ITELに電力が供給されない」14文字。たぶん正解にしてくれるかな。コンセントに電源ケーブルを接続する作業をしないと解釈して書きました。




設問4(1) | 出たからには幾つか覚える3

設問4(1):フレーム中のタグ情報内の優先ビットを使用するから

下線②が所属する箇条書きのテーマは「レイヤ2マーキングによる優先制御」。よって優先制御のためにタグVLAN(データにVLAN-IDを書く方式)を用いていると推測されます。ポートVLANでは、VLAN-IDをデータに書かず、SWの接続口で区別するので。

VLANのMACフレームに優先度(3ビット)があります。なかなかの無茶振りですね。でも出ちゃったので今回で覚えましょう。


解答には最低でも「優先度を設定するため」という旨を含めます。

VLANで音声データとPC通信を分けるのは整理のためではなく、優先処理をさせるためだったんですね。




設問4(2) | シンプル問題4

設問4(2):2つ(fとg)

情報を整理すれば正解できます。

15頁と17頁からVLANの状況をまとめます。

  • a:VLAN10  → VLAN10

  • b:VLAN15  → VLAN15

  • c:VLAN20  → VLAN20

  • d:VLAN20  → VLAN20

  • e:VLAN20  → VLAN20

  • f:VLAN100→ VLAN100, 105@本社L2SW01

  • g:VLAN150→ VLAN150, 155@本社L2SW02

  • h:VLAN25→ VLAN25

  • i:VLAN200→ VLAN200@L3SW1営業所

  • j:VLAN210→ VLAN210, 215@L2SW1営業所

ただし、j(VLAN210, 215)は営業所L2SW1が分割し、営業所L3SW1はVLAN200になっています。本社L3SW0が認識すべきVLANはa~h。

よって本社「L3SW0の内部ルータに新たに作成される」のは、VLAN105, 155。




設問4(3) | 今後の視点に加える

設問4(3):データフレームが出力中の場合

優先度が高いからと云って、中断させて割り込むほどではありません。

初見では答えられないですね。今回でゲットすべき機械的な視点でした。




設問4(4) | 今回の理解コア

これからの話。なぜ「レイヤ2マーキングによる優先制御」と「レイヤ3マーキングによる優先制御」があるのかをまとめます。

PC・ITELからの通信は、L2SWに入ってL3SWに行きます。よって、L2SWで優先度制御をするため、CoS値を使った「レイヤ2マーキングによる優先制御」をします。

逆に外側からの通信は、L3SWに入ってL2SW経由でITEL・PCに行きます。よってL3SWで優先制御するため、DSCP値を使った「レイヤ3マーキングによる優先制御」をします。


設問4(4)ア

正答は、f, g, j

L2SWで付けられた優先順位(CoS値)を参考に、DSCP値を書き込みます。

CoSの記述を探し16頁末「ITEL, L2SW01, L2SW02及びL2SW1に、CoS~」。【ア】は、L2SWでCoS値が付加されたデータが来るポートなので、f. g. j。

なお、DMZのL2SW0はCoS値を付加しません。16頁末「ITEL, L2SW01, L2SW02及びL2SW1に、CoS~」にL2SW0の記述がないですから。

さっきと同じ図


設問4(4)イ

正答は、a, b, c, d, e

まだ優先制御のためのデータが付加されていないのは、a, b, c, d, e。送信元に基いて優先順位をDSCP値に書き込みます。

さっきと同じ図


まとめ

a(IPsecルータからのVoIP)、b~d(Dパケット)、e(eLNパケット)は、優先順位が何も書かれていないので、送信元に基いてDSCP値を書き込む。

f, gは、L2SW01, 02でCoS値が付加されているので、CoS値に基づいてDSCP値を書き込む。【ア】で解答済み。

h(各店舗のL3SW1からのパケット)には、各店舗L3SW1によって既にDSCP値が付加されています。よって本社L3SW0によるマーキングが不要。

さっきと同じ図




設問4(5) | 通じるだけがネスペじゃない

設問4(5):DパケットによるeLNパケット転送への影響を少なくするため

優先度をCoS値やDSCP値で表現し、機器ではキューに振り分けて優先度に応じた伝送をしています。

下線④のように、異なるキューに入れるのは、優先制御したいから。つまりeLNパケットとDパケットのどちらかを優先します。

eLNを優先度の高いキュー2、Dパケットを優先度低いDパケットに入れています。

業務で使うVoIPはキュー1で最優先、動画eLNはキュー2で二番手、Dパケット(インターネットやメールなど)はキュー3で三番手。動画がカクカクしたら困りますが、インターネットアクセスは多少遅くなっても問題ないですからね。

ネスペでは、通信が意図・設計した通りになるだけでなく、使用に耐えられるかまで考えます。pingは通じるだけ、tracertは経路まで、更に通信速度や使用感、運用や保守面まで考えることも。




まとめ


お疲れ様でした!

なかなかキビシイ問題でしたね。

L2SW通過時、L3SW通過時にヘッダを見て優先度を判断しているのが分かりましたでしょうか。

2回、無理なら3回解けば、よく理解できるはずです。私も解説を書いているうちに、理解がすっきり洗練されていきました。

ネスペでは、優先度やルーティングなど、データのどこを見てどう判断するかがテーマになることも良くあります。初見正解・その場で理解はなかなかキビシイですが、過去問演習で耐性をつけていくしかないです。

ぜひネスペに合格してくださいね!

また他の解説でお会いしましょう。でわでわ。


\私の3ヶ月の学習記録/


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せんない
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