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私的推薦盤

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個人的に選んだアーティストやアルバムを紹介していきます。あくまでも主観になります。
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2021年5月の記事一覧

私的推薦盤~Sting『Brand New Day』

私的推薦盤~Sting『Brand New Day』

 いくつになっても元気な人は元気だ。ちょっとくたびれたサラリーマンである私としては、そういう元気な人ってすごくまぶしく見えるのである。一方で近ごろ自分の頭が薄くなってきて、別な意味で周囲をまぶしく思わせ始めているわけだが、こっちの方はあんまりまぶしくなりたくないものだ。

 さて、そんなわけで(どういうわけだ?)、今回はイギリスのスターであるStingを採り上げる。「お?メジャーじゃん!」と思われ

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私的推薦盤~Pink Floyd『The Division Bell』

私的推薦盤~Pink Floyd『The Division Bell』

 ロックというものに私は偏見があった。なにせ根がフォークなヤツだもんで、「うるさい」「やかましい」「グレてる」「ワル」といった先入観があったのだ。そんなやかましい音楽をなぜ聴くのかわからなかったし、音楽って静かに聴くもんだと思っていたのである。そう、中学の前半までは。

 そんな私の考えは完全に間違っていたと知るのにそう時間はかからなかった。いろいろ音楽に触れていくうちに、ロックにはロックの良さが

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私的推薦盤~Brian Bromberg『Wood』

私的推薦盤~Brian Bromberg『Wood』

 今やメジャーリーグでは大谷選手の「二刀流」が大旋風を巻き起こしている。いやはや才能ある若者が海外で躍動する姿を見るのは頼もしく思うやら、自分の不甲斐なさ、若い頃の怠慢ぶりを呪いたいやらで、素直にすごいと驚嘆しつつもあの姿がまぶしすぎてしまうわけである。そもそも二つのこと(あるいはもっとたくさんのこと)を高いレベルでできてしまうというのはどういうことなんだろうかと思ってしまう。自分なんか1つのこと

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私的推薦盤~宮本文昭『Soul Blue』

私的推薦盤~宮本文昭『Soul Blue』

 異種格闘技戦という言葉を聞くと、私の世代だと「アントニオ猪木VSモハメド・アリ」になるのだろう。プロレスとボクシングという、一見すると接点のない競技の選手がどちらが強いかを決めるために戦うわけだ。見たことのないものを見るというのは何であれわくわくするものだ。
 あれ? なんの話しようとしてるんだったかな……。あぁ、そうだった、音楽の話だった。音楽の世界でも異種格闘技的なものというと失礼だが、演奏

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私的推薦盤~神保彰『Crossover The World』

私的推薦盤~神保彰『Crossover The World』

 もう還暦を迎えられたと言うのに実に若々しいお姿なのが世界的なドラマー、神保彰である。何度かお会いしているのだが、本当に若々しい。十歳くらい下なのに、私の方が老けて見えてしまうのが本当に嫌になってしまうくらい若々しい。いや、見かけの若々しさばかりを言ってはいけない。何から何まで若々しいのだ。

 そんな神保彰との出会いはやはり私が高校生の時のこと。だから神保彰もまだ二十代後半だったということになる

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私的推薦盤~Richard Bona『Munia / The Tale』

 世界的なベーシストの名前を挙げたらどんどん挙げられてしまうわけだけれども、その中に入れ忘れることがまずないのがこのRichard Bonaである。派手なプレイというよりは、じっくり聴くとそのすごさに舌を巻いてしまうというプレイスタイルは、世界のトップミュージシャンに愛される存在であるというのには異論はさほどないのではなかろうか。今回は彼の三枚目のアルバムである『Munia / The Tale』

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私的推薦盤~伊豆田洋之『Dreams』

私的推薦盤~伊豆田洋之『Dreams』

 最近歳をとったことを実感する。昨日めでたくなく53歳になり、自分の歳をまた思い知らされた。歳をとるとどうしても懐古趣味が出てくるというものだ。学生時代の恩師が、「学べば学ぶほどどんどん古い方へと向かっていく」とおっしゃっていたが、私の場合は不真面目なせいか古いものを追求していくようにはあまりならないようだ。いかん、もっと探求心を持たなければならない。

 とはいえ、今回も懐古趣味から一発いってみ

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私的推薦盤~大瀧詠一『A Long Vacation』

私的推薦盤~大瀧詠一『A Long Vacation』

 「え~? 今さら?」というブーイングがたくさん聞こえてきそう。まぁそうだろうなぁ、「一家に一枚『A Long Vacation』」って言われるくらい日本のスタンダードになっていたと言ってもいいくらいのものを今さら「推薦盤」なぁんてお題目で語るわけだから、そりゃぁもうブーイングの嵐になることは必至だろう。とはいえこのアルバム、ホント好きなんだわ。1981年発表なんてとても思えないくらい、今聴いても

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私的推薦盤~TETSUJINO『Double Trouble』

私的推薦盤~TETSUJINO『Double Trouble』

 自称ベーシストである私が若い時のベース・ヒーローといったらやっぱり櫻井哲夫だった。高校一年生の時にCASIOPEAでフュージョンの洗礼を受けた私だが、そこまでの私は「ベースって指二本で四本の弦を弾くんだろ?」という固定観念を持ち、弦がギターより二本少ない分だけ簡単だという周囲のベースに対する考えをそのまま受け入れていた。ところがCASIOPEAを聴いてそれを根底から覆されることになったのである。

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私的推薦盤~あんべ光俊『夢の扉』

私的推薦盤~あんべ光俊『夢の扉』

 私のルーツはフォークにあるので、ここまでいろいろと遍歴を続けてきたけれど、たまにものすごくフォーク的なものに回帰したくなるときがある。まぁ「四畳半フォーク」は残念ながら御免こうむりたいけれど(ちょっと私の青春とは時期がズレすぎているので)、アコースティックがサウンドのベースになる詩情豊かな音楽に触れると、安らかな気持ちになることもある。

 そんなわけで今回紹介するのは、あんべ光俊の『夢の扉』(

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