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弟は偉大な兄を越えられるか。秋田の金足農が6年ぶり夏の甲子園。エースは2年生吉田大輝投手。兄は6年前の全国準Ⅴ右腕、現在プロで活躍する輝星投手

6年前の夏を思い出す。高校野球は全国選手権100回目の節目だった。秋田の金足農業高が「カナノウ旋風」の快進撃で甲子園決勝まで勝ち進んだ。そして今年、あの年以来となる夏切符をつかんだ。エースは2年生右腕吉田大輝投手。6年前のエースは兄の輝星投手(現オリックス)だった。弟は兄を越えることができるだろうか。夏の楽しみが一つ増えた。

今夏の金足農はノーシードからの勝ち上がりだった。初戦で第1シードの明桜を下して波に乗る。次の3回戦、準々決勝まで、エースの大輝投手が完投。2年生が3試合連続で投げ抜いた。

準決勝では一転、エースを温存して、3年生4人の投手による零封リレー。ついに決勝まで勝ち進んだ。

決勝のマウンドに上がった大輝投手。味方打線が二回裏に3点を先制してくれた。しかし直後に2点を返される苦しいピッチングに。八回にも1点を返され、6-4で九回のマウンドに上がった。

最終回も1点を返され、なお1死満塁。この日16安打を打たれ、140球以上投げていた。

準決勝で3年生の4投手がつないでくれた。そして、頂上決戦で味方打線が6点も取ってくれた。

あとはエースが決めないと。大輝投手のギアが挙がった。後続の打者をセンターフライに打ち取り2アウト。あと一つ。

そして次の打者を追い込み、最後は外角へのスライダーで勝負。空振り三振に斬って取り、甲子園切符を手にした。

金足農の選手たちの歓喜の輪が広がる。2018年以来6年ぶりの夏の甲子園だ。

あの夏、甲子園には「カナノウ旋風」が吹き荒れた。その立役者は大輝投手の7学年上の兄、輝星投手だった。甲子園決勝まで勝ち上がり、秋田県勢では第1回大会以来となる準優勝を手にした。

輝星投手はその後、日本ハムにドラフト1位指名され入団。今季、オリックスにトレードされ、ブルペン陣の一角として2勝をマークしている。

兄が甲子園で光り輝いていた時、当時11歳の大輝投手はスタンドから応援していた。兄は憧れの存在だった。その後、比べられることにとまどいがあったが、次第に兄を越えたいと思うように。

そのために選んだ進学先はカナノウだった。そして兄よりも早く2年生で甲子園の夢舞台に立つ。

弟の大輝投手は偉大な兄輝星投手を越えられるだろうか。シンプルな比較としては、カナノウが優勝できるかどうかにかかっている。

東北勢は2年前に仙台育英高が夏の頂点に輝いた。もう悲願ではない。秋田のカナノウにとっても現実的な目標となった。

弟が兄を越える瞬間を楽しみにしている。

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