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諏訪聖二、房の駅を立ち上げるまで。全20話

20
房の駅がオープンするまでの2年間を20話にまとめて綴ってみました
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記事一覧

やらなくて良い理由しかないオープン Vol.20

やらなくて良い理由しかないオープン Vol.20

いよいよ房の駅になる建物ができた。そこから冷蔵庫や陳列台やレジが設置され、事務所づくりや商品陳列がはじまった。無我夢中で準備をして気づいたら社員は自分1人。そしてオープンを迎えた。

恥ずかしい話、オープンしたあと どう運営するかなんて考えることすらできないほど力がなかった。

自分が思い描いているお店には遠く及ばなかった。
照明が全部 雰囲気のない蛍光灯だった。
店内の電気のスイッチの位置やコン

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自分がつくる房の駅の未来に賭けてみませんか?Vol.19

自分がつくる房の駅の未来に賭けてみませんか?Vol.19

野菜、果物の生産者開拓がはじまった。
生産者たちは口を揃えて同じことを言った。
「市場に行けば全部買ってくれるから」
「おまえのとこが売れる保証はあるのか?」
「農協優先だからそっちにはだせない」
「道の駅ができるからそっちに出荷するからさー」
「農家にはいろんなシガラミがあるんだよ!」
出荷することを何度も断られた。
諏訪商店という名前は一切通用しなかった。

房の駅に出してくれたら他の生産者は

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こんなところに店を出しても人が来るわけない Vol.18

こんなところに店を出しても人が来るわけない Vol.18

房の駅のオープン日が決まった。房の駅の「ふさ」をとって最初は2002年3月23日が候補だった。でもお彼岸ということもあり縁起が良くないということから開けた3月26日になった。普段 神頼みなんてしないのに 大安とか こういうところはやけに気にする笑

そして自分自身の役職が「房の駅」だから「駅長」となった。そう考えたら自分は「初代駅長」なんだな!!

そして建築もどんどん進む。
設計士が現場説明会の

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「房の駅(ふさのえき)」という名前  Vol. 17

「房の駅(ふさのえき)」という名前 Vol. 17

スーパーの退職が決まりお世話になった人たちに挨拶まわりがはじまった。まわりの人の驚きは自分の人生の中で1番のサプライズを与えていた。すると店長もレジのチーフも含めて同じ店から5人の退職が決まった。自分のせいじゃないからね! タイミング悪すぎでしょ! 社長がもっと怒っちゃうじゃん!!いっぱい退職者がいるから散々断ったのに送別会が開かれた。すごく居心地が悪かった。残る人たちは送別会を開きたいらしい。去

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父を2度と父として呼ばない理由 Vol.16

父を2度と父として呼ばない理由 Vol.16

退職が決まり、同時進行で休みの日に房の駅の準備をすることがはじまった。

兄である株式会社諏訪商店 専務との約束。

・兄からの約束は3つ。
卸先さまには迷惑をかけないこと。
地元に恩返しができるようなお店にすること。
諏訪商店の商品を扱うこと。

・自分から兄への約束は1つ。
やるなら口出しは一切しないこと。

そして自分自身との約束。
数ヶ月前に諏訪商店との訣別をしたのに 前職の社長との約束を

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お前のことは一生許さない Vol.15

お前のことは一生許さない Vol.15

大事な話があると社長に伝えると
焼肉屋で待ち合わせをすることになった。

社長・・・場所選び 完全に失敗です。。。

大衆食堂みたいな感じだし
切り出すタイミングもわからないし
何より ざわついて人がいっぱいだ。

完全に場違いだけど 思い切って切り出した。
「会社を辞めさせてください」
「どういうことだ?」
「兄がお店をやりたいと言ってきたんです」
「会社を辞めさせてください」

とてつもない時

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人生で1番、素敵なものを捨てる決断 Vol.14

人生で1番、素敵なものを捨てる決断 Vol.14

仕事が絶好調の真っ只中、
突然、兄が電話をかけてきた。
「話があるんだけど 今週空いてる?」
人生ではじめての兄からの用事だった。
嫌な予感がした。
父の具合いがわるいのか
それとも母か。

数日後、2人で会った。
兄が開口一番
「お店をやりたいんだ」と
そこに大きな白紙の図面を広げた。

「お前にやってほしいんだけど」と兄がサラッと言ってきた。

数ヶ月前、諏訪商店と訣別したことや スーパーの社

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とことんやった先にしか「何とかなる」はない。Vol.13

とことんやった先にしか「何とかなる」はない。Vol.13

出世街道に入った自分は経営学などいろいろなことをおしえてもらっていた。在庫を減らすとキャッシュが増え、、、、今でこそはっきりわかるけど当時はチンプンカンプン。とりあえず在庫 減らせば良いんでしょ?と考えバックヤードの冷凍庫も冷蔵庫も一般食品も在庫を強引にゼロにした。きっとスーパーで働いてる人はわかるとおもうけど冷凍食品も冷蔵商品も一般食品もバックヤードの在庫ゼロにするって絶対できないとおもうでしょ

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何もかもが縦横無尽の理由 Vol.12

何もかもが縦横無尽の理由 Vol.12

スーパーの社長に連れられて久しぶりの実家だった。実家の応接室には父がソファーに座っていた。母がお茶をだして沈黙が流れた。

そこで社長が沈黙をさき「お宅の息子さんを私に預けるのではなくください」と言った。

母親が
「甘えん坊の息子ですが是非、鍛えてやってください」と床に正座をしながら頭をさげた。
まるで結婚挨拶だ笑。

父はこの先、卸売業も先行きが明るくない気がする的な話をしていた。
社長は自分

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アホかお前アホだろ。Vol.11

アホかお前アホだろ。Vol.11

部門の垣根の越え方を知った自分はスーパーの枠にとらわれないことをしようと思いついた。シーゾナルバイヤーという権限をもらっていた自分は全国の駅弁や空弁、全国の銘菓を仕入れ、限定販売をする計画をはじめる。小さいお店で店長的な仕事を小さいながらさせてもらったことも礎になり、1チーフでありながら縦横無尽に動くことができた。

商品が届いたら売場づくりのはじまりだ。
売場づくりにはお金がかかる。
当時、各部

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仲良しこよしでは物事は変わらない。 Vol.10

仲良しこよしでは物事は変わらない。 Vol.10

スーパーで働いていた時
1番楽しかったのは売場をつくっているときだった。自分でプランを立てて お客様からどうみえてるのか? 買いたい!って思わせたい!、スタッフを驚かせたい、店長をびっくりさせたい、社長に何も言わせん!などモチベーションはいくらでもあった。正直、買いやすいとか わかりやすいとかどうでも良かった。立てたプランがカタチになっていくのがなんとも言えない快感だった。

売場づくりに自信を持

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結局、指示なんてどうでも良い。Vol.9

結局、指示なんてどうでも良い。Vol.9

月に1度、社長訪問という日があった。
社長が来て一斉にダメ出しをする。
白い巨塔でいう「総回診」だ。
店長も各チーフも緊張感がすごい。
バッチリ売場をつくるからほとんど怒られない。

でも自分はそういうのがすごく嫌いだから
いつも通りの売場でのぞんだ。
すると「こんなんじゃダメだ!お客様をもっと喜ばせろ!」「売場が汚い!」「お買い得がわかりずらい!」「お前のユニフォームはだらしない!」「なんだ?!

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会議に自分がいる意味はなかった。Vol.8

会議に自分がいる意味はなかった。Vol.8

ナイトクルーたちの協力のおかげで売場がどんどん変わっていき、売上も順調に伸びていった。

数字が伸びている自分は「自分の発言の影響力」もあるとおもい、チーフ会議の中で青果 鮮魚 精肉 デイリー 一般食品の垣根がない売場を提案した。そんなアイデアはスーパーで働いてる人なら1万人中1万人おもっている。理想論を語る自分とチーフたちから嫌われてる自分がうまく融合して誰も聞く耳を持たないし議題にすらならなか

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人間関係の八方ふさがり。Vol.7

人間関係の八方ふさがり。Vol.7

散々もめた大型店への異動命令。
デイリー部門、一般食品部門、リカー部門、雑貨部門への配属だった。役職はなし。

すると店長がいきなり本社に電話をかけ
「聖二がチーフなら送り出すがただの社員ならこの配属は無効にしてくれ」と副社長に進言した。

すると翌日、異動命令が白紙になり、その後、自分にはチーフという役職がつき、大型店への異動命令が再配布された。店長に評価してもらった嬉しさの反面、反則技を使った

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