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彼、もしくは彼女について

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うつくしく、たくましいひとびと
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#友人

眼鏡の彼

眼鏡の彼

眼鏡の彼というのは、私が大学2回生の秋に仲良くなりはじめた男の子である。

その名の由来は非常に単純で、彼がいつも眼鏡をかけている男の子だからだ。このネーミングはあまりに安直なので、もし本人に聞かれたら「もっと他になかったの?」と怒られてしまうだろう。

私は誰かに狙いを定めてから実際に話しかけて仲良くなるまでの期間が割と短い方だ。しかし彼と満足に仲良くなるために、私はとても時間をかけたと思ってい

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ワニの筆箱の彼

ワニの筆箱の彼

大学にワニの筆箱を持っている男の子がいる。

こういう一文を、一体私は何度noteで書いたことだろう。

もうそろそろ「ワニの筆箱の彼が…」という普通の書き出しで文章を始めても問題ないような気はする。でもこの「大学に〇〇な××がいる」という書き出し、結構気に入っているのでつい使いたくなっちゃうんだな。

(彼のことが書いてある記事はこちら↑)

このたび、今までは断片的に書くだけにおさまっていた彼

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あまくてやさしい

あまくてやさしい

マッシュボブの彼に、好きだと言われた。

去年の水無月に、研究室でぴたっと目があってから話すようになった彼。学部学科もゼミも、取っている教職科目も一緒の彼。去年の秋の終わり、私が熱を出したらお見舞いにりんごジュースをもってきてくれた彼。

その彼に好きだと言われた。ゼミのみんな(もちろん先生が主催)とのはじめて飲み会の帰り道、アパートの前まで送ってくれたマッシュボブの彼に言われたのだ。もちろん夜だ

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すてきなさんにんぐみ

すてきなさんにんぐみ

3人組というのは奇数だから難しいとはよく聞くけれど、私は完璧な組み合わせの3人組に所属している。

そのメンバーのひとりは私の後輩の女の子で、中学生のときに出会った。

吹奏楽部の低音パートとして日々を共有し、そこから親睦を深めてきた、もろくて強い彼女。手がきれいで今では煙草を吸う、1歳年下の彼女。

noteにも彼女のことを書いたことがある。

そしてもうひとりは、保育園から高校までずっと一緒だ

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10時間もぐっすり眠るほどに

10時間もぐっすり眠るほどに

9月のはじめごろ、帰省していたお友だちと春ぶりに再会した。ちょっと時間が空いてしまったけど、そのときのことを書きとめておこうと思う。

彼女は初夏生まれらしい、瑞々しい若葉がすくすくと伸びていくような様子を連想させる名を持つ女の子だ。瞳がきらきらしていて屈託なく笑う。

私たちは中学生1年生のときに同級生として出会った。けれど当時はそれほどなかよしというわけでもなく、行動していたグループは別だった

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気休めでも味方でいるから

気休めでも味方でいるから

「何があってもあなたの味方でいる」という言葉があまり好きじゃなかった。

ぽんぽんと、紙風船で遊ぶみたいに軽やかにその言葉を口にする人もいると思うし、それが悪いことだとも思わないけれど、私はこの言葉をとても重たいものとして捉えている。

だってどんなに近しくて愛している人でも、その人が明らかに間違ったことや、許すことのできないことをしていれば、私は「それは違う、あなたは間違っているよ」と言ってしま

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