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すてきなさんにんぐみ
3人組というのは奇数だから難しいとはよく聞くけれど、私は完璧な組み合わせの3人組に所属している。
そのメンバーのひとりは私の後輩の女の子で、中学生のときに出会った。
吹奏楽部の低音パートとして日々を共有し、そこから親睦を深めてきた、もろくて強い彼女。手がきれいで今では煙草を吸う、1歳年下の彼女。
noteにも彼女のことを書いたことがある。
そしてもうひとりは、保育園から高校までずっと一緒だった男の子。
彼のことは今回初めて書くのだが、いわゆる幼馴染というくくりに入る、昔から互いを知っていてなんの気兼ねもない相手だ(とはいえ、私たちは田舎に生まれ育ったので、ほとんどの同級生は幼馴染と言えてしまう)。
海という字をその名に宿す彼は、保育園児のとき、昆虫や乗りものにとても詳しかった。
絵や字がうまくて、何であれ物事に対して真摯に、丁寧に取り組む、お調子者だけど繊細なひとだなあと今は思っている。
彼と話すとき、私はいつも気が楽だ。
一緒に育ってきたおかげで記憶の多くを共有しているせいか、軽い話も腹を割ってする話ものびのびとできる。そこがよいと思う。
そしてここが最も重要なのだが、私は彼を今まで友人以上の異性として意識したことはない。たった1度もだ。
もちろん、ときどき不意に背の高さや体格の違いを意識して、
「ああ、私たちって性別が違うんだな」
と思うことはあるけど、その程度だ。
おそらく彼もそうだろうと思う。
互いの好きなひとや恋人の話もたくさんしてきたし、なにより、私と私の恋人の唯一の共通の友人が彼なので、恋人は彼のことを信頼している。
だから「明日3人で会ってくるよ」などと恋人に言っても「行ってらっしゃい!」と送り出してもらえるのだ。彼は特別枠なのだろう。
そんな私たちがなぜ3人で遊ぶようになったのか、言葉にしようとすると難しい。決定的な何かがあったというよりは、いつの間にかそういう感じになっていたから。
私にとっては彼は幼馴染だし、彼女は中学で出会った大切なひとだけど、彼女と彼の間にも実にいろいろなことがあった。
でも年下の彼女は私と彼を、中学卒業後も心から慕ってくれていて、だから彼女がいなければ私たちはこうして定期的に絡むこともなかっただろう。
3人のうち、まだ学生なのは私だけで、ふたりとももう既に社会人なので、3人の休日が合ったときにはすかさず会うことにしている。
1年に2度ほどは必ず会うけれど、それは多すぎず、少なすぎない、ちょうどいいペースだと思う。
そして会う季節は問わないので、ある年には春と夏に会ったり、また別の年には春と冬に会ったりする。桜並木の下を散歩したり、彼女の運転ですこし遠出したり、海辺で話をしたり、大体そんな風にして私たちは3人で過ごす。
そして私は年下の彼女とは約束してふたりで会うけど、彼とはふたりきりでは会わない。
でも彼は私となかよくしてくれるし、私も彼となかよくしている。それが心地よい。
私は昔から、男の子ふたり、女の子ひとりという3人組の構成がやたら好きで、漫画やアニメに出てくるたび「いいなあ」と思っていた。
1番最初に思いつくのは「ハリー・ポッター」に登場するハリー、ロン、ハーマイオニーの3人だけど、世の中には他にもたくさんの3人組であふれている。
私が男の子の数が多い3人組に憧れていたのは、男の子の中にたったひとりだけ女の子が混じっているというのが格好いいと感じているからだと思う。紅一点というやつへの憧れ。
しかし自分が一員になるならば、男の子ひとり、女の子ふたりの3人組がいいなあと思う。
3人組というのは絶妙なバランスが必要で、下手をすると1人と2人になってしまうし、ましてやその中で恋愛が起きたりすると3という数の意味が崩壊してしまう可能性もある。
その点、彼女と彼と私はとても安定していて、私にとってはまさにベストなバランスなのだ。
おそらく今後恋愛の要素が入ってきて破綻することはないだろうし、3人でいるとつい楽しくて声が大きくなってしまう。
この前の金曜には春ぶりに3人でお昼ごはんを食べに行って、道路や浜辺を歩きながらとりとめもないおしゃべりをした。
水切りをしたり、浜で小さな丸い石を拾って名前をつけたりした(そらまめとか、あずきとか、そんな名前)。
予定を合わせるのが大変だと思うときもあるけど、3人で過ごすその時間、私たちはたしかにそれぞれのしがらみから解放されている。
私にとって3人組というのは彼と彼女と私を指すものであり、そういう意味においては、私たちは実にすてきな3人組なのだ。
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