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エッセイ

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サブカルや日常のあれこれをキリスト教の視点から書いています。
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#ウルトラマン

「君たちはどう生きるか」とアオサギ

「君たちはどう生きるか」とアオサギ

宮崎駿監督のアニメ映画「君たちはどう生きるか」に鳥のアオサギをモチーフにしたキャラクターが登場するらしい。アオサギは半ば妖怪めいた扱いをされてきた鳥で、「青鷺火」という妖怪も伝承されているし「うぶめ」という妖怪とも同一視されてきた。

そう言えば平成ウルトラマンのダイナに珍しくカタカナではなく漢字名称の怪獣、姑獲鳥が登場して、古代中国の鳥の妖怪をモチーフにしているから。西晋の「玄中記」という本が初

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青天を衝け 8

青天を衝け 8

大河ドラマ「青天を衝け」の主人公渋沢栄一と、作家でフランス文学者、翻訳家の澁澤龍彦が親戚だというのが、あまりにも世界が異なり過ぎて、どうも頭の中で繋がらないが本当らしい。澁澤龍彦の高祖父、つまり、祖父の祖父にあたる渋沢宗助の甥が渋沢栄一という関係性だ。渋沢栄一のほうが分家筋で、澁澤龍彦のほうが本家筋になる。かたや実業家、かたや異彩を放つ文学者。しかし、すごい一族ですね。澁澤龍彦少年は、渋沢栄一翁に

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ウルトラQとイングランド国教会の関係

ウルトラQとイングランド国教会の関係

ウルトラマンシリーズの原点、ウルトラQを現役でご覧になっておられた世代の方もおられるのではないでしょうか。1960年代、まだテレビも白黒の時代でした。2020年はウルトラQのケムール人が宇宙からやって来た年。当時は2020年なんて遥か未来のことに思われたのでしょう。2020年に放送されたウルトラマンzにケムール人が出てきたときはまさかと驚きました。令和の世にケムール人に会えるとは。

ケムール人の

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ウルトラマンあれこれ

ウルトラマンあれこれ

ファンの間では有名な話だがウルトラマンのシリーズ、特に初期の「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」を考察しようとする時に、沖縄の存在抜きに語ることは難しい。なぜなら、メインの脚本を書いておられた方が沖縄県民だからだ。
ひとりは金城哲夫。南風原、現在の南城市出身。ウルトラセブンに出てくるロボット怪獣、キングジョーのネーミングの元になった人だ。金城哲夫の母親、金城つ

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初代ウルトラマンと旧約聖書ヨブ記

初代ウルトラマンと旧約聖書ヨブ記

初代ウルトラマンに「バラージの青い石」という無国籍風の砂漠の都市を舞台にした幻想的エピソードがあります。昆虫型の怪獣アントラーが登場します。
アントラーはおそらく英語のアントライオンに由来するのでしょう。ウスバカゲロウの幼虫アリジゴクのことです。
このアントライオンがヨブ記に関係します。ヨブ記4章11節に雄獅子は獲物を得ずに滅びとあります。ヘブル語にはライオンを表す単語はいくつかありますが、雄獅子

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メトロン星人とカトリックと台湾

メトロン星人とカトリックと台湾

わたしの母校、中央聖書神学校の近くに滝野川があります。ここ出身の方にウルトラマンやウルトラセブンの監督だった実相寺昭雄さんがおられます。わたしの世代では有名なモロボシダンとメトロン星人がちゃぶ台を囲むシーン。あの演出をされた方です。メトロン星人編の後日談は平成ウルトラマンのウルトラマンマックスでも作られていて、あの回ももちろん、実相寺監督でした。推理小説ファンのわたしとしては京極夏彦の「姑獲鳥の夏

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ウルトラマンと讃美歌

ウルトラマンと讃美歌

私は、第二次怪獣ブームの世代。帰ってきたウルトラマンからウルトラマンレオまで、現役で見ています。初代ウルトラマンとウルトラセブンは再放送で見ました。あの頃、毎晩ゴールデンタイムに特撮番組やっていた記憶がある。裏番組で特撮がかぶることもしょっちゅう。その中の一つ、ウルトラマンタロウに讃美歌が流れた回があるのが記憶に残っています。タロウが強敵、怪鳥バードンによって倒された時。讃美歌380番「立てよいざ

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平成ウルトラマンのキリスト教モチーフ

平成ウルトラマンのキリスト教モチーフ

平成も間もなく終わりますが、平成ウルトラマンのキリスト教モチーフについて少し書いてみようかと。1996年に始まった「ウルトラマンティガ」の敵キャラにキリエル人(キリエロイド)という異次元人がいます。このネーミングそのものがキリスト教の祈りの言葉「キリエエレイソン」に着想を得ているのではないかとも想像するのですが。(古代の邪神という設定で偽預言者の風貌で登場する)

ティガがキリエル人に倒された時に

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ウルトラマンと大河ドラマ「いだてん」との接点

ウルトラマンと大河ドラマ「いだてん」との接点

初代ウルトラマン第一話の設定には、元ネタがあります。ハル・クレメントというSF作家の「二十億の針」。宇宙の刑事が地球に逃げ込んだ逃亡犯を地球人のからだを借りながら探すというストーリーは、ウルトラマンが怪獣ベムラーを追い、ハヤタ隊員のからだを借りるという設定に生かされています。原案の段階でこの小説読んでいる方がスタッフの中にいたはず。

平成ウルトラマンも元ネタを隠す気はないようで、ハル・クレメント

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ウィンダムの元ネタ

ウィンダムの元ネタ

以前「ウィンダム」という語が検索ワードに上昇してきて、なぜと不思議だった。どうも、当時放送中のウルトラマンZに、ウルトラセブンに出てきた昔懐かしいカプセル怪獣「ウィンダム」が登場したからのようでなるほどと疑問が氷解。カプセル怪獣。ポケモンの発想の原点になったカプセルに入った怪獣ですね。

この怪獣の名前の由来はイギリスのSF作家ジョンウィンダム。代表作に「トリフィド時代」があります。知性があるらし

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バルタン星人のルーツ

バルタン星人のルーツ

初代ウルトラマンに登場したバルタン星人。この宇宙人のネーミングについては二つの説が拮抗しています。バルカン半島由来説と歌手のシルビーヴァルタン由来説。どちらも根強いのですが、シルビーヴァルタン説について検討してみます。

この歌手は先祖がアルメニア系。実際、アルメニアにはヴァルタン姓の方が結構おられます。歴史を振り返るとオスマントルコ時代に領土内で起こったアルメニア人大虐殺の悲劇は有名。サバイバー

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ブラッドベリと日本

ブラッドベリと日本

子どもの頃、漫画もアニメも映画もSFブームだった。東西冷戦の時代背景からだろう。SFジャンルは冷戦の中で深まっていったジャンルという面もあるので。ブームだった松本零士もそうなのだが、自分の中で印象に残っているのが石ノ森章太郎の「サイボーグ009」。

当時、何度目かのアニメ化がされ、それに連動するように少年サンデーで009の新連載も始まった。1979年だったと思う。ネオブラックゴースト団編とでも言

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