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自主映画を、撮る。その25

深夜、4時過ぎから怒涛の追い込み。(2022年執筆)

株式会社MOVEDOORのCIOとマンツーマン体制で迎えた48時間映画祭最終日。途中帰宅した音声担当が生まれ変わったような表情でオフィスに訪れ「すいません、ぐっすり眠れました」の第一声を披露してくれたのは何よりの数いで。程なく監督とカラグレ、スチール担当の後輩まで目覚めまして最終日の試写組アテンド。時間差でネタバレなく執り行う難しさを思い知る。

本祭に携わってみてこそ、見える景色があった。つまり我々は現場ベースで全てのスケジュール管理を行なってきたがしかし、撮影風景を知らない状態で荒編集から見てもらえる第三者的目線の存在があまりに大きいという事実を今回見せつけられたのです。真っさらな目線から意見してもらえることで広がる作品性がある。来年以降の課題ですね、この辺りは。

深夜テンションの産物。

作中にもありとあらゆる場面で散りばめられておりますが、比較的屋内ベースのシーンが続きますから当方メインアクトの撮了後も「インサート」素材の撮り増しに全力投球してもらってて。それが存分に活かせた形か、つまり「撮れるだけ撮っておく」姿勢を最終盤まで崩さなかったからこそ編集段階で拾える要素を確保できた。今一度、完成版をお待ち下さい。

診療所の内装外観まで作品性に落とし込むことに成功した。当初テロップを一切排除した荒削りな「モキュメンタリー」作品を軸に編集を進めていたが結果、泡沫YouTuberあるいは相応の「今っぽい映像作品」へと大きく舵取りできたこと。より本祭をカジュアルに楽しんでいただける層へ向けたある種の大衆映画性を纏えたのではという実感がある。今一度、完成版をば。

しかし事務作業中、思わぬ落とし穴が。

本祭では予め決められた「最終報告書」フォームがあって。それにしたって入力事項はあまりにも多岐に渡っており、せっかく試写勢も多数揃っていたのでとりま必要事項だけさらってしまおうと一旦全項目を「あ」とだけ打ち込み読み進めていた刹那。受付番号と共に「送信が完了しました」なる表示が現れ、制作班に激震が走ります。これってもしや。

ひょっとして全部「あ」のまま最終報告されちゃった可能性まであるのか。慌てて本祭プロデューサーへ鬼電、やっとのタイミングで繋がったと思えばやはり悪い予感が的中し。つまりこの後数時間後に無事投稿されるはずの、タイトル入りの完成版との紐付けがなされぬまま「あ」として提出されて。もれなく事務的な必要事項欄も全て「あ」のまま出力される恐れ。

次回以降への課題点。

あれだけ一生懸命考えようと根回ししていた最中、それでも運営トップには事情を理解していただき何とか事なきを得ました。ふとした操作ミスがここまで甚大な被害を生むとは、細部まで抜かりなく48時間映画祭を乗り切ってこそカンヌへと続く道が開かれるもの。細かな情報共有の大切さと、報連相のありがたみに気付かされた数分間でした。急ぎの用事はまず、電話で。

とはいえ参加メンの柔らかいアタマに後押しされ、ログラインやタグラインまた当作の英語表記までものの数分で出来上がりました。参加メンバー17人全員と最後までイメージ共有が深まっていったことで生み出せた世界観で。これまで15年来、母校映画部と付き合って来ましたが正直ここまでの達成感を味わえた瞬間というのもなかなかない。

ドロップオフイベントではある意味、爪痕を残せたか。

つまり先述のように本作が無事提出できたかの確認を含めたイベントでしたが案の定、プロデューサーとは共有し得た諸問題でもこの時点では「あ」のまま本作はエントリーされていました。しかし考え方を変えれば、十分爪痕は残せたのかなと。つまり他団体にはないイレギュラーすら映像として記録として残せたという点において、少なからず審査員には印象付けできた。

コンペの世界は一体何が起こるかわからない、加点対象も減点対象も結局はブラックボックスの中にあって。何が勝因でまた何が敗因かわからぬまま、主宰は高校3年間の吹奏楽生活を終えたので。その苦しさ、わかりますよ。後から講評用紙を何度読み返そうが正直、生み出した瞬間の喜びへと代わることはなかった。勝ちを狙ったとは言いつつも、まずはありがとうから。

消えゆく意識の中、打ち上げ敢行。

当時の挨拶した模様を、後日後輩ちゃんが動画で送ってくれましたが。正直ここまで感極まっていたのかと、延々講釈垂れていたのかと唖然とする程でしたね。主宰のありったけを話せていましたのでひとまずは良しとしよう。問題は来年以降の取り組み方について、つまり参加希望者を諸共抱え込んで臨んだ今回の「Orange Candy House」初陣ではありましたが。

より少数精鋭の部隊へと良い意味での下方修正が必要、との意見も一方では根強く。返す返すも作品をより「俯瞰できる立場」にこそ重点を置くべき?という疑念は今回本祭を経て確信へ変わった部分が大きい。直接的な関わりのみならず「周辺要素」としての携わり方等含めて、より厚みのある議論を来年以降交わすことができたら。より色々な深度や関係性を模索できるか。

完成版の味付けについて。

当初、作り込み要素を限りなく排除した「モキュメンタリー」作品を目指し編集に臨んでみたものの、改めて本テーマの難しさや奥深さに気付かされ。また多くの他団体が避けて通るテーマなのかと思いきや、蓋を開けてみれば過去のグランプリ受賞団体も同じく「モキュメンタリー」を選択し本戦へと挑んできた。上映スケジュールこそ離れたもののなかなか手強い競合他社。

そんな中、並み居るライバルを相手に差別化戦略が図れたとすればそれは、全員ミッションスクール出身生で固めて「神様」をテーマに座り芝居も立ち芝居もバランス良く盛り込んで。時に社会風刺、時に学生映画の延長線上を醸し出せた点にあるのではないかと思っています。レンタルスペースでなく後輩のご先祖様にロケーション提供いただけた部分も、大きな後押しで。

11月初旬、プレミア上映会開催。

図らずも主宰のオフ日と重なりまして、11月初旬、一路谷町線喜連瓜破駅へ降り立った。この度、48時間映画祭大阪大会に出展された全作品のお披露目の場とあって是非とも参列すべく。参加団体へそれぞれ2枚ずつ通し観可能なフリーチケットの配布がありましたが、主催は後輩世代へ譲り渡し単騎で会場まで乗り込んだ。トークセッション有との噂からそれなりの着こなし。

我々、一旦の完成版を見たのが正午過ぎ。そこから制限時間ギリギリまで、修正作業を繰り返した。この時間帯からカラグレ、MAまでやり直すのか!?とドキドキしていましたがよくよく思い返してみれば主宰は終了時刻を1時間も勘違いしており。多国籍軍で臨んだ割にタイムマネジメントは完璧だった。その辺のオフ話も含め、他団体さんと盛り上がりたい所存。次回へ続く。

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